横尾渉-「らしさ」を持って変わり続ける、人間的なアイドル

横尾渉が気になる。

堕ちたかどうかはさておき、気になってならない。まさに#私のイチオシ だ。奥深い。

キスマイを知る前に、私が彼に抱いていた印象。

だいたいキスマイの右端にいる人。
切れ長の目の人。
あまりしゃべらない人。
いろんな資格をもっているらしい人。

いま、少しだけ分かった彼のこと。

だいたいキスマイの右端で、こっそり楽しそうにしている人。
ときどき謎のテンションで場をかっさらう人。
よくメンバーを褒める人。
嘘がつけない人。

めぐりめぐって結局、よく分からない人。

知れば知るほど横尾渉はよく分からないし、つかめないけど、言動や表現すべてに「らしさ」を感じる。
「横尾渉らしさ」とは一体なんなのか、その正体が分からないにも関わらず。

横尾渉は、一貫して「横尾渉」だ。自身について、嘘やごまかしがない。矛盾の帳尻合わせもしない。

デビュー当時のインタビューと、現在のインタビューではまるで異なる発言をしている。だけど、その過程にあった葛藤や成長を、彼は隠さなかった。

だからこそ、すべてに「らしさ」を感じるし「彼の言葉だな」と納得できる。

人は、環境や経験によって変化する。アイドルだって完璧ではないし、ファンの思い通りにばかりはならない。

けれど一本、**「らしさ」という芯があれば、変化さえも愛しく思える。

横尾渉には、表現こそ難しいが、ブレない「らしさ」がある。

それはいったい何だろうかと、少し考えてみた。

■横尾少年が「キスマイの横尾渉」になっていた

仕事の関係でキスマイに興味を持った私は、知り得るかぎりの彼らの過去を探り、知識の空白を埋めた(知りたがり気質)
そして、いつの間にか横尾さんを目で追っている自分に気づいた。

キスマイの横尾渉は知らなかったが、「横尾渉」という男は知っていた。
私は、彼がまだ「NEW FACE」と紹介されていたころ、J-support、K.K.Kity、そして初期のKis-My-Ft.が結成されたころまでは、横尾渉を認知していた。
(あくまで知っていたというだけなので、古株ぶる気はこれっぽっちもない)

醤油顔が印象的な少年だった。顔やスタイルはほとんどあのままに、身長を150cm台にギュッと縮めれば当時の横尾渉の出来上がりだ。外見はさほど変わっていないと思う。変化といえば歯並びと眉くらいだろうか。

グループに所属していたというのももちろんあるが、数多の同世代と並べば、整った容姿の子だと思っていた。だから印象に残っている。(まあ、好みの問題かもしれないが)

その後しばらく私はジャニーズを離れ、次に戻ったのはKis-My-Ft.がA.B.C.Jrと合併するタイミング。
存在は変わらず認知しながらも、深くキスマイについて知ったのはここ最近なのだから、つくづく私の目は節穴である。

■横尾さんが気になったきっかけ

「この人こんなかんじなのか」と、横尾さんを気になり始めたきっかけには、いくつか心あたりがある。
とはいえ、さかのぼった順がバラバラだから、時系列はめちゃくちゃだ。

せんべいを投げた北山さんに「食べもので遊ばない」と静かに言い放ったシーン。
ニカ玉がいつもの口喧嘩をしているすぐ隣で、黙々と鍋奉行をしていたシーン(と、メガネ姿)
壁際に散らばったローラースケートを、これまた黙々と並べていたシーン。

一歩ひいて、さりげなく周りを見ている人。それを、無理してやっていなさそうなところに好感をもった。

横尾さんはいつも、決してつまらなそうではなくて。
端にいることが多いけど、端からメンバーをよく見て、実はよく笑ってる。そういう姿がいいなと思った。

そもそもあれだけ騒がしい人たちのなかにいながらマイペースに過ごせるって、めちゃくちゃメンバーに心を許していると思う。

ダメ押しは横フェスだ。
中居さんから「藤ヶ谷のこと好きなの?」と聞かれ「大好きですね」と笑ったシーン。

このギャップがもう、ダメだった。

かつて、メンバーや番組用の仮彼女にもちょっとキレながら正論をぶちかましていた彼が、近年少しずつ丸くなってきているのを感じる。
そしてときには心の赴くまま、妙なテンションを発動し、個性を光らせている。

なんか、分かる。なんたって、私と横尾さん、ドンピシャで同い年なのだ。仕事仲間に年下が多い環境も同じ。

そういう年頃だよねって共感するとともに、年齢相応の変化をありのまま見せてくれる横尾さんが愛しくも思う。

横尾さんをなんとなく追うようになって、声が好きになった。少し鼻にかかって甘い、落ち着きのある声。

楽しそうなときにはすぐに分かる。そして、嬉しくなる。

■こじらせていたらしい過去を知って

あまり掘り返すのもアレだが、10000字インタビューで荒れた件は他担の私の耳にもしっかり届いていた。

つい先日、まさに10000字たっぷりと読み返したが、私の場合は時の流れに逆らっているからか、ほとんどダメージはなかった。

というか「横尾さんだなぁ」という印象。
嘘つけばいい、隠し通せばいいのに、それをしない……できない人なんだなとつくづく思う。

あれくらいのことは、みんな多かれ少なかれ思ってきたはず。
ジャニーズはときどき、夢と引き換えに残酷だから。

いつのまにかいなくなった人をたくさん見てきた。
「生き方」と向き合う10代。迫ってくる20代。先の見えない未来を、いつまでも信じることはできない。

続けられない。不安になる。安全な道を選ぶ。将来を考える。辞める。それが普通。
辞めてしまった人たち、辞めざるをえなかった人たちを、弱いだなんて思わない。責める言葉などなにひとつ浮かばない。

だから、辞めなかったってだけでもう、すごいんだよ。
たとえ結果論だとしても、横尾さんは辞めなかった。すごいじゃないか。

繰り返すけど、横尾さんと私は同い年。
彼が入所して、グループをいくつか経てキスマイになって、デビューして……。その期間に、たかがファンの私は何度もジャニーズを離れたり戻ったりしている。

受験、就職、恋愛、環境の変化、将来の不安。ちょうど、いろんなことがある年頃。就職難の時代だったし、生き方も多様化し始めた時代。
夢を追うとか、ひとつの可能性を信じるとか、なんだかとても難しい時代だった。

だから本当に、辞めずに続けていまを勝ち取った彼らはすごい。

もちろん、彼の言葉に傷ついたり離れたファンの存在は否定しない。ショックだったと思う。
私も、人は違えど好きなアイドルの発言に大なり小なり傷ついた経験はあるから。

ただ、いまの横尾さんしか知らない人間としては、こんな時期もあったんだ、ということさえ愛しい。

それは、いまここに横尾さんがいるから言えること。

こうした経緯があっていまに至るんだと思うと、言葉として残してくれた横尾さん、キスマイのメンバー、キスマイを支えてきたファンの皆さんに感謝しかない。

だっていま横尾さん、キスマイのことめっちゃ好きじゃん。めっちゃ、頑張り屋さんだし。

ついでにこんな記事に出会った。

当時とはまるで違うことを言っている。かつての横尾さんが、いまの横尾さんを見たら「だせえ」って思うのかもしれない。

でも、ここに至るまでの横尾さんを(遅ればせながら)追ったいま、彼の言葉になんの違和感もない。

当時の横尾さんの言葉も、いまの横尾さんの言葉も、どちらも本音だと分かる。変化していく姿を隠さない。かっこつけず、そのときそのときの"ほんとう"をさらけ出す。

これができる人って、相当強いか、結構な不器用か。
横尾さんはその両方なんじゃないかな。

しっかりしていて、配慮もできる人なのに、いざというときめちゃくちゃ不器用。でも、根が頑張り屋さんで、基本的に「与えたい」人。

難しいけど、見当違いかもしれないけど……これがいま、私の思う「横尾渉」だ。

■「棚からぼたもち」、あのフレーズ

そうして、とりあえず浅めにキスマイを一周した私は、ふと思い出したように「棚からぼたもち」を聴いてみた。FNS歌謡祭で披露したものだ。

ファンじゃないころにも何度となく聴いたはずなのに、めちゃくちゃぐっときてしまった。

みんなが大好き 力になりたい 微力で何でも離れたくない

この歌詞を、横尾さんに歌わせるのか、と。
落ちサビでおいしいのは分かる。いまよりも歌唱力が不安定な横尾さんだから、バラエティ的にもきっとおいしい。

でも「みんなが大好き」「力になりたい」「離れたくない」なんて、あの横尾渉に歌わせるのかと。この人(情報によると)当時はまだ、なかなかに屈折していたころじゃないの?と。

すごいな運営。すごいな舞祭組。

あれから6年と少し。いま、横尾さんは素で、この歌詞みたいなことを言う。不意に。

……もう少し、この深そうな沼に足を踏み入れてみようと思う。

いかんせん7人もいるものだから、楽しみでならない。

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