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変わってしまう世界の中で、マーケターはいま何をするべきなのか。

アフターコロナについて書きました。あえて時事ネタは書かないと決めていたのですが、本日緊急事態宣言が解除された事もあり、この数ヶ月で世界が大きく変わってしまった事、不可逆的な変化が消費者に起こったであろう事に対し、いま感じている事を時記録しておきたいと思い、約1ヶ月ぶりにNoteを投稿させて頂きます。

自粛生活が覚醒させた人々の意識

この緊急事態宣言により、官邸や知事などから繰り返し発信されたのが、「不要不急」というワードです。どうしても今は避けられない事、どうしても今すぐ必要な事以外は、皆さん少しの間我慢しましょう。それが不要不急の主旨であったと認識しています。

そして日本人というのは素晴らしい国民であり、強制では無く、自粛要請でもあるにも関わらず、都心部では三割にまで外出が押さえられ、大多数の商業施設も自主的に店舗を閉め、経済的にも精神的にも苦しい中、皆でこの状況を乗り越えようと、暴動や大きな混乱も無く、緊急事態宣言解除の本日まで乗り切りました。

本当にすごい国民だと思いますし、日本人の一人として誇りに思います。

そしてこのわずか2ヶ月間程度の、不要不急に対する自粛は、これまで皆が意識の下にしまっていた、または気付いていたけど目を背けてきた様々なことを棚卸しする機会になったと考えています。

心の中の声、キーワードは「あれ?これって意外に・・・」です。

自粛により活動が制限される中で、これまで「惰性」で行っていた活動や消費、そして「無理」だと思って誰もが諦めていたモノ・コト。そして、「いつかやってみよう」と思っていた新しい習慣や経験。これらが、意識の表層にまで上がって「覚醒」する。そのような事が、多くの人に発生したのではないか思うのです。

・あれ? これって意外に必要無かったんじゃ・・・
・あれ? これって意外にできちゃうんじゃ・・・
・あれ? これって意外に良いんじゃ・・・

自粛生活の中で、このような言葉を心の中で呟いた人も、多いのではないでしょうか?

「これって意外に・・」で炙り出されてしまったモノ・コト

今回の自粛で、炙り出されてしまったモノ・コト。その代表格はこれまで「必要・急用」だと思いこんでいたにも関わらず、実は「不要・不急」であったと気付いてしまったモノ・コト達であると思います。

特に代表例を挙げるのであれば、皆さんお察しの通り・・・

・会社への毎日の通勤(しかも皆んな同じ時間帯に)
・物理的に皆で集まる会議(特にブレストの無い創造的じゃ無いやつ)
・リアルのセミナー(開催内容や形式には寄りますが・・)
・何となく帰りがけに買ってしまってたモノ
・大した喜びも無く食べていたランチ(今日どこ行くー?)
・付き合いで行っていた飲み会
・付き合いで行っていたゴルフやイベント

賛否両論あるかとは思いますが、このようなモノ・コトが、意外に不要だったな、または「無くても何とかなるな」という実感を感じてしまった、つまり気付いてしまったのでは無いかと思います。

そして、これらの「不要・不急のモノに気づく」という覚醒が同時に、逆に「本当に欲していたモノ・コトに気づく」という覚醒を発生させたのでは無いでしょうか?

・やっぱり1週間に一度でもいいから、職場で皆に会えるのって良いな。顔を付き合わせるっていうのが、こんなに大事とは思わなかった。
・今まで意識して来なかったけど、あの会議はリアルで集まる必然性が本当にある、貴重な場だったな。
・やっぱり、こういうセミナーは生で直に見たいな。
・やっぱり、アレが帰りがけに買えないのは辛い!
・うおー!あの店の麻婆豆腐が食いてー!!
・いや、マジであいつらと飲みたい!
・くー、そんなにゴルフ好きじゃ無かったけど、すごく行きてー!

つまり、「不要・不急」のモノ・コトに気づくという、強制棚卸しが同時に、自分にとって本当に必要であり、求めていた事に気づく、という棚卸しにも繋がったと考えています。

この事をもう少しマーケティング的な側面で捉えると、これまで企業のプロモーション活動によって、何となく行動してしまっていた人々が、一旦立ち止まり、「これって自分が本当に欲しているモノなのかな?これって本当に必要なモノなのかな?」と考える、そんな新しい習慣や意識の変化が起こる、きっかけになったのでは無いでしょうか?

私の考えすぎですかね?

ネット消費の不可逆的な増加

これはもはや書くまでも無い事ですが、今回の自粛で様々なデータからもネット消費が増加したという報告がなされています。特に注目すべきは、これまであまりネット消費を行って来なかった層や、ネット消費されて来なかったモノ・コトの消費増加です。

ご存知の通り、日用品や食料品などのネット消費はこの期間で爆増し、またシニア層のネット購入率も向上、ネットフリックスなどの会員数が記録的な増加を果たし、オンライン学習の利用者も一気に増えました。

これらの変化は、おそらく一時的なモノとはならず、今まで経験して来なかったが、やってみたら意外に簡単で便利で・・・、水は低きに流れるモノであり、一度楽で快適な経験をしてしまうと、人は中々元には戻れないモノです。よって不可逆的な変化になると見ています。

逆に、ネットではどうしても満たされない、リアル店舗ならではの付加価値、有り難さといったモノも、逆に浮き彫りになった、そんな変化が起こっているのでは無いでしょうか?

マーケティング的に考えれば、オフラインの持つ価値、オンラインの持つ価値を改めて考え直し、それらを踏まえた上でベストな顧客体験を提供するにはどうすれば良いのか、そういった事を考える大きなきっかけになったのでは無いかと思います。

防衛的な消費行動

消費行動の変化として、もう一つ大きな変化として予測されるのが「防衛的な消費行動の増加」です。これはコロナの影響がしばらくは断続的にぶり返し、消費環境や経済環境が不安定な状況が続くのでは無いか、と多くの消費者が予想する事に起因します。

具体的には、不測の事態に備える「ストック型」の消費が増加する事が想定されます。今回のコロナ騒動で真っ先に買い溜めの対象となった、マスク等の予防関連商品、そしてオムツやトイレットペーパー、インスタントラーメンといった類の物を、一定量ストックしておこうという動きです。

また、経済的な不安から、自分にとって必須性の低いモノ・コトについては、できるだけ消費を抑えるといった行動も予測されます。プチリッチな気分になれる商材や、背伸びして買えるレベルの高級車など。

完全に財布のヒモを絞り切ってしまう事は無いでしょうが、消費検討の段階で、今まで以上に慎重になる、より深く検討を行うといった行動を行うのでは無いかと予測しています。

本質的価値の見直しと、それを伝える技術の重要性

一言で言うと、「何となく・・」が少なくなる消費者意識に変わっていく、そんな世界に変化していくのでは無いかと考えており、企業のマーケティングの在り方、マーケターとしての意識の持ち方も変化が求められるのでは無いかと思うのです。

自社のサービスは、顧客のどのような課題を解決しているのか。どのような価値を本質的には提供しているのか。そして、競合や代替手段に対して、どのような点が優れているのか。それらを再度明確にする必要性があるのでは無いかと考えています。

その上で重要になるのが、上記で明らかにした「対象となる顧客課題、それに対する本質的価値、そして競合優位性の明確な理由」を、いかに顧客に伝わりやすく表現できるか、その技術がこれまで以上に重要になると思います。

もしかすると「媒体戦略」以上に「訴求戦略」が重要になって来るのかもしれません。変わってしまう世界の中では、「誰に・どの媒体で」を考える以上に、「何を・どのように」伝えるのかが重要になってくる。あくまでも肌感覚でしかありませんが、そのように感じています。

でもそれって裏を返せば、代理店任せにできない、つまりマーケターの本気が問われるって事なのかもしれません。素敵なコピーやバナーは制作会社が作ってくれますが、「訴求軸」は自社のマーケターしか作れません。

せっかくの機会とも言えるので、いま一度、皆様の職場で、以下の問いを議論してみては如何でしょうか?

【本質的価値を明らかにする為の問い(中澤メソッド)】
・我々が取り除きたいと思っている、顧客の抱える課題は何か?
・その課題を取り除くために、我々が顧客に提供している価値とは何か?
・その価値は、競合や代替手段に対して優れていると、なぜ言えるのか?

いま一度顧客とのエンゲージメントを考える必要性

本質的価値の見直しと共に重要では無いかと考えているのが、自社の顧客とのエンゲージメント(関係性)の見直しです。

OMOにおける日本の第一人者の一人、川添さんから伺ったお話は非常に興味深い内容でした。今回のコロナの状況で、主にアパレル業界を見た場合、その影響は決して均一ではなく、以下のマトリクスによって大きく異なるというお話です。

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今まで、新規集客を外部依存できる「デベロッパー」への出店は、ブランド力が低い企業においては、非常に優位に働くチャネルであったわけですが、コロナ自粛によって物理的に施設自体が閉鎖される中で、その影響を大きく受けている状況との事です。

そして路面店を持つ企業は、もちろん影響は受けているモノの、その影響はデベロッパー依存よりは比較的軽微であるとの事ですが、いずれにしろ、その影響を左右する大きな要素となっているのが、「顧客とのエンゲージメントの強さ」である、というお話です。

「何となく・・」が少なくなる消費者意識に変わっていく、これからの世界において、デベロッパーが施設の稼働を再開したとしても、このエンゲージメントが与える影響は強く残るのでは無いでしょうか?

顧客とのエンゲージメントの強い企業は、より顧客からの支持を集め、エンゲージメントの低い企業は、もしかすると、変わりゆく世界の中では大変な苦労をするコトになるのかもしれません。

いま一度、顧客との関係性の在り方、エンゲージメントをいかに深めるのか、その戦略を見直す時なのかもしれません。

最後に

1ヶ月ぶりに久しぶりに書いたNoteにもかかわらず、何だか、自分の妄想的な、感想的な文章になってしまいすいません。

もちろんここに書いた変化は、あくまでもごく一部で起きている変化なのかもしれません。特に、都市部と地方では状況は大きく異なる事でしょう。

ただ、意識の変化というのは、静かな池に石を投げ込んだ時に起きる波紋のように、何か大きなキッカケを元にして、様々なコトに影響を与えていきます。今回のコロナは、間違いなく、ここ100年に世界で起こった変化の中でも、最大級の出来事であったと思います。

私が所属するRepro(https://repro.io/)は、企業と顧客とのエンゲージメント強化を支援するマーケティング支援企業です。

最近では、ツールの提供のみならず、エンゲージメント戦略や、それに伴うDX推進のご相談も多く頂いており、総合的なコンサルティング支援もさせて頂くケースも多くなってきています。

また、少し落ち着きましたら、顧客エンゲージメントの事、マーケティングの事をあれこれ書いていきたいと思いますので、今後ともよろしくお付き合い頂けましたら幸いです。ではでは。

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