見出し画像

【気ままな読書日記】かわたまさなおコレクション 世界のシンデレラ

かわた先生はギネス世界記録に認定されたシンデレラ・コレクターで、アンティーク絵本を中心に、バレエやオペラのポスター、楽譜、映画フィルム、静物、ポストカードなど、1000点以上のシンデレラ・コレクションを所有。この本で紹介されているのはそのコレクションの一部のようだ。

シンデレラの歴史はかなり古く、最古の物語は古代エジプトの『ロドビスの靴』(とされている)。
ロドビスは攫われ売られて娼婦になる。高級娼婦として働いていた時にとあるお金持ちに身受けされ、その後ファンタジックな奇跡?が起きてファラオに見初められ、王妃様に!というストーリーだ。

なんとっ。私が知ってるのとだいぶ違う。
しかし、どんな類話も基本の構成は一緒らしくーーー

1.不幸な環境
2.援助者の出現
3.舞踏会・宴会などの非日常の舞台
4.花嫁テスト
5.結婚&ハッピーエンド

という流れを辿って物語は完結するようだ。
てことはこのエジプト版では身受けしてくれたお金持ちが『援助者』ってことになるのだろーか。なんだかとってもナマナマしいなっ(^^ゞ

ちなみに日本版シンデレラは、高等小学校の教科書にも掲載されていた『おしん物語』(坪内逍遥訳)。おしんという商家の娘が主人公だ。

実母と死別した後、おしんは義母と連れ子のおこまに虐げられていた。
ある日、華族の別宅で園遊会が催されることになる。弁天様のはからいによってパーティに参加したおしんは若殿にたいへん気に入られた。弁天様の言いつけを守っておしんは夕方6時に帰宅。その際、扇を落っことしてしまう。
おしんに会いたい若殿が再び園遊会を開催するも「おこまが気の毒だから」と言っておしんはこれを欠席。
しかし最終的には『扇の絵柄』を言い当て、おしんは若殿の元へ嫁入りを果たしたのであった。
めでたしめでたし。

 『おしん物語』を勝手に要約

夜更かし厳禁だったり、弁天様が魔法をかけてくれたりと、日本人向けにアレンジが加えられてるところが面白い。
しかし「おこまが気の毒だから」ってのはどうなの。これは謙虚? それともざまぁってやつ??

一方、グリム版ではヒロインもヒーローもすごく積極的。シンデレラは「私もパーティに行きたいのっっ」とハシバミの木に直訴しにゆくし、王子様は「彼女逃がすまじ!」の気持ちが高じて階段にタールを塗っちゃう(パーティ3日目の夜のことです)。
昭和に流行った諸々の昆虫捕獲グッズとおなじ仕掛けですねーーー大変に効率的合理的ではありますが、こんなんされたら恋が醒めてしまわないでしょうか。

シンデレラ・・・・奥深い物語だ。


123/200

この記事が参加している募集

読書感想文

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?