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事業会社におけるXOps(改善者)からBizOps(改革者)へ~改革の材料集め~

前回の記事は、まずはXOps(改善者)になろう!というテーマでした。
現場を知るために、改善し続け、信頼を得るための振る舞い方をお伝えしました。

今回は、現場からある程度信頼を得たあとのお話。
抜本的に改革を実践していくための考え方について書いてみようと思います。


BizOpsにおける改革プロジェクトとは?

BizOpsの行うべき改革、それは

事業成長を目的とし、
全体最適でToBeとAsIsのGAPを定義し、
部署間の利害が衝突しても実行するべき内容

では、こうした改革を実施するために何をしたらいいでしょうか?

STEP1: ビジネスプロセスを書き出してみる

BtoBビジネスの場合は、まずマーケティングの運用から未回収債権のプロセスを書き出します。

例えばSaaSビジネスにおける全体のプロセスは下記のようになります。
(もちろん会社によって違う部分が存在します。)

ビジネスプロセスの書き出し

ビジネスプロセスを書き出したら、次にプロセスの指標となる数値は何か?を書き出してみましょう。

会社に眠っているデータを取り出して数値をスプレッドシートなどにまとめます。
月ごとに出すなど、時系列を意識するとわかりやすくなります。

各指数のまとめ


STEP2: 事業の数値を俯瞰してみてみる

プロセスと数値推移を取っ掛かりにして、事業全体の何がボトルネックなのか?を見極めていきます。

この見極めに当たって重要となるのが、データと定性情報

まずはデータを集めます。

すでにまとめてあるプロセスの指標となる数値以外にも、定量的な数値データは必ず見ましょう。

現在の事業の状態がわからなければ、問題を定義できないからです。

MA、SFA、プロダクトのデータ、経理のデータ、スプレッドシートなど…
データは様々なところに存在していますが、自社の管理会計の数値(=最も信頼できる数値)をベースにしましょう。

それらの数値から率換算したり、推移を見たり、比較をしたりして洞察を得ていきます。

例えば、

  • 転換率(次の工程の数値/前の工程の数値)を計算

  • 月ごとの変化、比較

  • 同業種との比較(情報があれば)

といったことから「あれ?」って気づくことが1つはあるはずです。

また、実情を把握するには定性的な情報も欠かせません。

ここで活きてくるのが前回の記事でお伝えした、「改善者」として積み上げてきた現場の信頼です。

日々の業務の中で相談されることから、「おや?」と思うものがあればメモしておきましょう。
特に注力する部分は「部署間を跨ぐとき」

具体例を挙げてみましょう。

【マーケ⇔IS間】

  • 各部署から報告されているリード数の値が違う

  • リードに架電してもつながらない、連絡が取れない

【IS⇔営業】

  • 各部署から報告されているアポ獲得数が違う

  • ISから供給されたアポイントメントが進まず停滞する

  • 既契約のリードが混ざり込んでいて、気づかず連絡をしてしまう

【営業⇔受注や請求】

  • 注文書の不備が度々発生して手戻りが発生する

  • 受注の金額が営業と受注を管理している部署や人の認識が異なる

  • 未回収債権発生時の回収プロセスが滞る

【営業⇔カスタマーサクセス】

  • 受注時に約束した内容がカスタマーサクセスに引き継がれず、お客様からクレームを頂く機会が増えた

  • サービス利用開始までにスムーズに準備ができず、オンボーディングに支障が出ている

こうした定性的な情報を手がかりに、関連する定量的なデータを見て実際に問題なのかどうか?を判断していきましょう。

徐々に数値が低下している
転換率が悪くなってきている
といった傾向を見つけたら問題定義をしていきます。

現状の問題定義だけをして報告しても
「で、おまえはどうしたい?(リクルート風)」
と切り返されるのがオチです。

なので議論のベースとなるためのToBeの叩き台を作成することをお勧めします。

口頭で話をするだけでは相手方にイメージが付きづらく、議論が停滞しがちです。
同じものを見て共通認識を作っていくこと重要になります。


STEP3: ベンチマーク先の一次情報を取りに行く

Webメディアや事例記事をベースに、自社のベンチマーク先となる企業をピックアップします。

  • 事業的に自社より先に行っている企業(数年先がベスト)

  • 対象となる業務改革において、特に秀でている企業

上記2点に基づいて3~4社ピックアップ。
その中からヒアリング対象企業を絞っていきます。

最重要目的は、自社にとってベンチマークとなる企業から有意義な情報を得ることです。
決して仲の良い人がいる企業や、自分のツテがある聞きやすい企業ではないことに注意してください。

自分の人脈があればそれに越したことが無いですが、当然ピックアップした中にはツテがない企業も存在します。

その時は自分以外の人脈など様々なルートを通じて、協力をお願いする形を取ります。

  • 共通して利用しているサービスの営業担当に依頼する

  • 自社内の人たちに紹介してもらえないか、声がけしてみる

  • 所属している会社の経営陣に依頼してみる

など、やり方はいかようにでもあります。

意外と多いのが、経営陣に依頼せず「ベンチマーク先のツテがない」とおっしゃる方。

経営陣は他社の人と合うことが多いため人脈が広い。
なので、「ビジネスを伸ばすための改革案を検討したいので、XX社のYY部署の方を紹介してください」と依頼したら協力してくれるはずです。

また、他にもSalesforceを使っていればSalesforce社に聞きに行く、Hubspotを利用している人はHubspot社に聞きに行くというのもありです。
ツテ探しとしてではなく、イチ成功企業としてSalesforce社やHubSpot社自体の話を聞く。
彼らは自分たちが事業成長し続けているからこそ自信をもってツールを販売しているのですから、間違いなく有力なヒアリング相手です。
ただし、営業トークも多分に含まれていることに注意しましょう。

対象の企業が決まったらコンタクトし、実際にヒアリングしにいきます。

既にある程度問題定義をしているので、問題定義をした資料をベースに話をして壁打ちしていただく気持ちで臨みましょう。

  • 当時御社ではどうなっていたのか?

  • なぜ現状のビジネスプロセスやシステム構成なのか?

といった点をを中心に聞くと良いでしょう。
(先方のお時間を無駄にしないためにも、事前にヒアリング項目は整理して書き出しておきましょう。)

気を付けておきたいのが相手への配慮です。
相手は貴重な情報を提供してくれています。
できれば相手が聞きたい情報をこちらからも提示できる、Give and Takeの関係で時間を使えるのがベストです。

相手もMTG前に「何の会社の誰が来るのか?」をインターネットで調べています。
ですから会社として直近公開された内容を調べて、自社のことも深く語れるようにしておくのが望ましいです。

決して自分が聞きたい内容だけ聞いてMTGを終えるような、Takerになってはいけません

営業経験のある方は、BizOpsでのこうした動きを取っていくにあたり経験があるので動きやすいかもしれないですね。
営業経験がない、または経験が浅いBizOpsの方は、アポ獲得から商談までの一連のプロセスに何度か同行させてもらってからこうした動きを取るとやりやすいかもしれません。

改革案を形にしていこう

全体を俯瞰し、現状の問題点を定義して、他社にヒアリングしたことで材料が集まってきました。

では集まった材料をもとに、何をどう料理していくのか。

次回は「事業会社におけるXOps(改善者)からBizOps(改革者)へ~改革計画編~」をテーマに記事を書く予定です。

集めてきた材料をもとに、あぶり出した課題をビジネスプロセス改革のプロジェクト計画にどのように落としていくのか、詳しく書いてみようと思います。

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