見出し画像

2024/2/5週|未来の痛みを先読みするべき4つの領域とは

悪夢と呼んでいい夢を見ました、天変地異系の。目覚めはいいとは言えませんが、夢の中で「もっとxxしておけばよかった、、」というのを割と現実味のある形で思わされました。

未来の痛みを先読みする効用

ダニエル・ピンクの『THE POWER OF REGRET 振り返るからこそ、前に進める』の中にも上記のようなケースに近いことが出てきます。
「未来の後悔」を前もって予測し、それに基づいて現在の行動を改めることができる。ただし、そのアプローチの弊害もあるので、それも理解した上で使うことが人生における強力な薬になる、というものです。

特に下記の逸話が分かりやすい例でした。

一八八八年のある朝、アルフレッド・ノーベルは新聞を見て驚いた。そこには、自分の死亡記事が載っていた。死去したのは兄のルドヴィグだったが、あるフランスの新聞記者が兄と弟を取り違えて記事を書いたのだ。(中略)
しかし、ノーベルが最も心を痛めたのは、自分が死んだものと思われたことではなく、その死亡記事の見出しの言葉だった。伝えられているところによると、そこにはこう記されていたという──「死の商人、死す」
スウェーデン出身で五カ国語を話したノーベルは、独創的な精神に富んだ化学者で、発明家として目覚ましい成果を挙げ、爆薬や起爆装置などの発明に成功した。とくによく知られている発明がダイナマイトだ。ノーベルは一八六〇年代に特許を取得し、世界の国々にダイナマイト工場を建設した。そして、そのビジネスで巨万の富を築き、ヨーロッパで屈指の実業家に数えられるまでになった。
しかし、問題の死亡記事は、発明家としての才能と実業家としての決断力を称えるものではなかった。その記事は、恥ずべきことをおこなった、汚らわしい人物として、ノーベルを描いていた。人々が殺し合うための道具を売ることにより、目がくらむような富を蓄えた、強欲で非道徳的な人物と評されていたのである。
それから八年後、ノーベルが本当に死去したとき、遺言書に記されていた内容が世を驚かせた。家族に財産を遺すのではなく、遺産を基に基金を設立し、「前の年に人類に対して最も大きな恩恵をもたらした人たち」に賞を授与するものとしたのである。こうして「ノーベル賞」が誕生した。
この遺言が書かれるきっかけになったのは、あの日の早すぎる死亡記事だったと言われている。

本書より

Amazonのジェフ・ベゾスの「後悔最小化のフレームワーク」としても知られる考え方ですね。以下は2001年のベゾスのインタビューです。

八〇歳になって人生を振り返ったときに、「人生で経験する後悔の数を最小化できた」と言いたいと考えたのです。その点、八〇歳になったときに、この挑戦を後悔することはないと思えました。インターネットという新しい世界に挑んだことを後悔するとは、思えなかったのです。インターネットには大きな可能性があると、私は考えていました。挑戦が失敗に終わったとしても、私は後悔しないだろうと思いました。後悔するとすれば、それは挑戦しなかった場合だとわかっていました。しかも、その後悔は私を毎日悩ませ続けるだろうと予想できました。このように考えると、決断はいたって簡単でした。

本書より

副作用について

上記の未来の後悔を予測し、現在の行動を変えていくことは一見すると有用に感じますが、以下のような副作用があることもダニエル・ピンクは指摘します。

  • 意思決定の機能不全:後悔をしないために無難な選択に終始する傾向になる

  • 過度なリスク回避の姿勢:合理的な選択まで後悔したくないがためにしなくなる。身動きが取れない状態に陥る可能性

  • 最初の直感をめぐる錯誤:考え直して選択したものが間違っていた場合の方が大きく後悔を感じるため、後悔を想像すると最初の直感に囚われやすくなる

  • あらゆる時点であらゆることを後悔する:全ての事象にこのフレームワークを当てはめてしまう

総じて、「未来の後悔を過大評価する」という副作用があり、それによってむしろ良いとは言えない選択をしてしまう可能性がある、というのが後悔最小化フレームワークの弱点であるとの指摘です。

用いる対象を絞る

では、その上でどう使うと良いのか?についても本書では提示されています。曰く、「後悔最適化フレームワーク」と呼ばれるもののまとめは以下です。

1.  ほとんどの意思決定に関しては、ある程度でよしとする。
四種類の中核的な領域以外では、あまり深くこだわらずに選択し、あとでくよくよ考えずに前に進む。

2. とくに重要な意思決定に関しては、幸福の最大化を目指す
四種類の中核的な領域では、頭の中で未来の特定の時点にタイムトラベルし、いまどのような選択をすれば、人生の安定した土台を築き、理にかなったリスクを取り、道徳的に正しい行動を取り、充実した人間関係をはぐくめるかを考えればいい。

本書より

上記で「四種類の中核的な領域」と表現されているのは、世界中の人々が打ち明ける後悔を分析、分類すると4つのカテゴリーに集約されるというもので、具体的には下記と紹介されています。

基盤に関わる後悔:責任感ある行動、まじめな行動、注意深い行動をとらなかったことに対する後悔
勇気に関わる後悔:思い切った行動をとらなかったことに対する後悔
道徳に関わる後悔:道徳的に好ましくない行動をとってしまったことに対する後悔
つながりに関わる後悔:近しい人との関係が壊れたり、関係が築けずに終わったことへの後悔

後悔最適化フレームワークにおいては、この四領域にのみ絞って未来の後悔を使うと良い、という提案がされています。

感想メモ

先を生きた人たちの後悔からの学びを、今生きるものの一人として活用できる良書でした。
個人的には、転職、就職、受験といったタイミングでの選択は、後知恵かもしれませんが😅、「後悔最小化フレームワーク」っぽく「未来の後悔を考えながら、周りからはやや大胆(無謀?)に思われる選択を重ねてきた」という自負があり、かつ、その人生に山あり谷ありの中での満足・幸せも感じているので、このフレームワークの強力さは身をもって体感しております。(蛇足ですが、「それなりに考えて、自分自身で納得して、大胆に選ぶ!」が今のところ良い方針)

また、社会生活を送る上で、❶基盤や❸道徳のカテゴリーに属することで後ろめたいことがない状態でいることは、自分自身のコンディションを維持する意味でも、誰かと信頼関係を築く意味でも非常に重要な領域だと、これまでの経験則からも感じる次第ですので、より意識的にやっていきたいところです。(健康のためにジム行こう)

最後に、個人的にちょっと優先度下がりがちなのが、❹つながり のところだなぁというのは改めて感じました。過去含めつながりについて後悔することも経験してきているので、未来の後悔を予測しながら今の行動を変えていきたいと思います。


一部のポイントだけ紹介しましたが、他にもたくさんのことが記載されていますのでご興味あればぜひ手に取ってみてください。

📓この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
タイミーは、すぐに働けてすぐにお金がもらえるスキマバイトアプリです。

お読みいただきありがとうございます。お役に立つ部分がもしありましたらXでシェアいただけますと幸いです!!