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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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#宗教

「あなたの宗教はなんですか?」

宗教に何らか関わる人の間でしばしば出る話題に「最近の人は、”あなたの宗教はなんですか?”という質問に、”無宗教です”と答える人が増えている。由々しきことだ」というのがある。 グッド・アンセスターの議論を深めてきた今あらためて考えてみると、実は、そんなに事態は由々しきことはなくて、ただ、質問の仕方がいまいちだっただけなんじゃないか、とも思う。 私の好きなPodcastの一つ、”On Being”では、パーソナリティのクリスタ・ティペットがゲストに向けてほぼ毎回「あなたのSp

仏教の書店 / 葬儀の民主化 / 鎮守の森

書こうと思ったアイデアメモが溜まってきたけれど、一つ一つ断片的だけれど、そのまま出してみる。 ◆ 大学の講義で学生さんが、北海道の「いわた書店」のことを教えてくれた。わが故郷、北海道の書店のことながら、全く知らなかったので、恐れ入る。 なんでも、「自分の趣味趣向などのカルテを入力すると、1万円で、良い本を見繕って送ってくれる」というサービスで、テレビなどでも話題なのだとか。サービスがとても人気で、今年は3,000件くらい応募があった中から学生さんは選ばれて、本を送っても

「社会的処方」としてのテンプルモーニング

『「テンプルモーニング」アンケートから見る掃除と幸福度の関係』レポート、僕が研究員の末席を汚す蓮花寺仏教研究所の今年の紀要に掲載となった。データサイエンティストの大成弘子さんとの共同執筆。アンケートにご協力くださった皆様、ありがとうございました。研究成果は関連しそうな知人の研究者たちとも共有し、今後の発展の可能性を探っているところ。 アンケートから見えてきたことを、一般向けにわかりやすく大成さんがnote記事「朝のお寺の掃除は利他の実践である」にまとめてくれたので、こちらで

エコーする過去と未来

※本記事はnoteマガジン「松本紹圭の方丈庵」の定期購読者限定記事として執筆していますが、これからのお寺や宗教に携わる人にとって特に読んで欲しい内容なので、5/25まで期間限定で特別一般公開します。いつも定期購読してくださっている方には、改めて感謝申し上げます。 ◆ 前回のnote記事「「日本のお寺は二階建て」のリフォーム案」(2021.5.10)の続編となる記事なので、よければ先にそちらをお読みください。 ◆ 前回の記事で話したように、お寺の一階は、Time Sca

「日本のお寺は二階建て」のリフォーム案

※本記事はnoteマガジン「松本紹圭の方丈庵」の定期購読者限定記事として執筆していますが、これからのお寺や宗教に携わる人にとって特に読んで欲しい内容なので、5/25まで期間限定で特別一般公開します。いつも定期購読してくださっている方には、改めて感謝申し上げます。 ◆ これまでたびたび「日本のお寺は二階建て」論を語ってきたけれど、この度、翻訳中の『The Good Ancestor』からインスピレーションを得て、その二階建てをどのようにリフォームしていけばいいのかという方向

リンク

このところ『The Good Ancestor』の翻訳三昧行に入っていて、それ以外のことがまったく手につかない。毎日10時間以上の翻訳を、来る日も来る日も続けている。翻訳の仕事はマラソンのようであり(マラソン走ったことないけど)、一度途切れると最後まで翻訳仕事をやり切れる気がしないので、どうしてもこの勢いでやってしまわないといけない想いに駆られている。このnoteマガジンでも、5月半ば頃までは、この「The Good Ancestor」の話題が続くと思うけれど、訳文先出しキャ

名前の話

星覚、という良き友人がいる。星覚は、お坊さんらしいお坊さんだ。永平寺を降りてから20年近く、この資本主義社会の中にありながら、貨幣経済による価値交換からできるだけ距離をとり続けた生活を実践し続けているのは、本当にすごい。 星覚は、コロナ前にアメリカでmonk manager実験プロジェクトをやった時、当時住んでいたベルリンからアメリカへ飛んでくれた戦友でもある。 ◆ 星覚と長年付き合ってきていつも感心するのは、彼の人との接し方だ。人との関係を大事にするというのは、こうい

インターネットでお寺を開く@Clubhouse

Clubhouseが話題。 と今書くのがすでに時代遅れ感があるくらい、日本で急速に盛り上がりを見せている。言い訳をするわけではないけれど、個人的にはClubhouseをはじめとした音声SNSの勃興に前からずっと注目してて、昨年9月のnote記事でもClubhouseに言及していた。 Clubhouseは無料だけれど招待制のサービスなので、入会にはすでに入っている人から招待してもらう必要がある。日本では人気沸騰した直後の数日、フェイスブックやツイッターでは、入りたい人からの

宗教でメシを食わないこと

今年に入っていろんなことが始まりつつある。テンプルモーニングラジオと連携している「音の巡礼」企画を2つ、最初にご案内させてください。 Temple Morning Radio Live! これは、テンプルモーニングラジオをいつも聴いてくださっている方々に、感謝の気持ちをこめて、パーソナリティの松本紹圭とリスナーの皆さんが交流できるようなオンラインの場をつくる企画。参加無料、どうぞご参加お待ちしてます。 オンライン連続講座「音の巡礼 山の巡礼 ~身延山編~」 これはサ

Post-religion化する新しいコミュニズム

右翼と左翼。保守と革新。政治の言説につきもののこれら二項対立の概念は、実際に今どれほど有効に機能しているのだろう。 ツイッターで「パヨク」「ネトウヨ」と罵り合っている人たちが、お互いにその言葉で指しているものはいったいなんなのか、僕にはさっぱりわからない。個人的にはいつも仏教で説くところの「中道」を行きたいと思っているけど、それは右と左の中間地点にあるものではなくて、右も左もさっぱりわからない変化する世界の中で、自分にとって「ど真ん中」を探り続ける終わりなき営みのこと。右翼

生態系/協生農法/ネットワーク理論

り稀有な「独立研究者」として独自の活動を続ける数学者の森田真生さんのお話を聞いた。 以前も京都の法然院で開かれた勉強会でお話しされた時にお会いしたのが初めて。今回もまた法然院にて、コロナ後初めてのオフライン講演会を開かれるということで、楽しみにしてました。あいにく仕事が入ってしまって現地参加できなかったのだけれど、梶田住職が気にかけてくださって、映像をシェアしてくださり聞くことができた。森田さんは、頭のキレが良すぎるのか、とにかく喋るのが早い。英語も堪能で、たまに英語で喋る

方丈記2020(September)・満月

「方丈記」は松本紹圭が近況をお知らせするポストとして、毎月、満月の頃と新月の頃に更新します。 161 エンパシーからコンパッションへテンプルモーニングラジオの公開収録として「方丈庵ゲストトーク」を行いました。 コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんをお迎えして、Post-religionと孤独について、たっぷりお話をさせていただきました。この企画は、基本的に僕のお坊さん「以外」のお友達と気楽にしゃべるのが趣旨なので、近況交換のおしゃべりから始まって、だんだんと温ま

Post-Religion Talk vol.2 w/ 岡本純子「エンパシーからコンパッションへ」

マガジンを購入すると全編(44:06)を視聴することができます。

オンライン法要の隠れた本命

友人とメッセンジャーでたまたま「お経」の話題になり、そうしたら「実は、明日が亡き父の七回忌の命日なんです。でも、お墓が遠方にあってコロナだから行けなくて」と。 「ちょうどマイクも買ったところだし、僕でよければお経をあげさせてもらいましょうか? リモートで、音声だけでよければ」