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さいさんの地方創生 note【能登半島地震が表出させた現在地④「財政」の矛盾】

【令和の今の時代にあって、これら日本オリジナルと呼べるものこそが、海外からの来訪者達が求めているものでもあり、若い世代が本能的に求めたり、惹きつけられている何かでもまたあるのです。そんな背景と状況。その中から、現段階の「財政」というピンポイントの都合だけで地域そのものを「切り捨てる」という判断や行為は、ひるがえって国全体の未来にとってプラスである・・と本当に言えるのでしょうか?】

とした前回は上記リンクから。

そして【結論的としては東京一極集中に代表される都市集中型を選択すれば「破綻」の未来に近づきやすく、多極集中ともいえる地方分散型政策の方が、日本をより持続可能にしていく】というAIによる分析結果に基づいた政策があるということ。そして、その政策実行の鍵に「財政」があるというところまで触れてきました。

☆相反する「財政」の役割

上記「人口減少社会のデザイン」をきちんと読むとその要点が明記されています。

【地方分散型シナリオは、都市集中型シナリオに比べると相対的に持続可能性に優れているが、地域内の経済循環が十分に機能しないと財政あるいは環境が極度に悪化し、8~10年後に生じる分岐点の後に持続不能となる可能性がある】

つまるところ、日本国内の地域内経済の循環状況を10年以内に作らないと、機能不全を起こす可能性が高い。そして、その意味では特に日本海側のエリアや東北、北海道、四国といった大都市圏から距離が離れているエリアで発生しやすい(経済波及を受けにくい)ということになります。
 
ですので、こうした地域内経済や大都市を介さない地域相互の経済循環を促進させるための中長期戦略的な計画と「投資」(の為の財政)が行われないといけないわけです。

その反対で「都市集中型」へと未来が向かっていくとどうなるのか。
シュミレーションでは、出生率はさらに低下。人口減少はより加速し、格差はさらに拡大し、個人の健康寿命や幸福度もどんどんと下がっていきます。でも支出が減るので、単年視点での「財政」は上向くんですね(実際にこれら近年の政策の結果としては、東京一極集中化はより進み、その結果として少子化は輪をかけて加速し、持続可能な未来からは年々遠ざかるばかりです。けれど、少子化対策は口だけで、議論になれば行政は「財源」がないと主張します。そして、根本課題解決となる効果的な少子化対策への予算がついて、実行されたことはないのです)。

☆目的なき「財政の為の財政」こそ破綻への第一歩!?

つまり。
行政という縦割り組織の中で「財政」が仕事をする。

仕事として「財政」をよくしようと思い、そう動けば動くほど、地方分散型国家の為の投資を行わず、都市集中型の政策に寄せて、今見えている数字上野「財政」を良くしよう・となるわけです(結果、地方分散ではなく東京一極化が加速するような政策効果が起こるわけです)。

特に単年で予算をとって消化するという仕事をし続けている我が国のやり方では、三手先より目先の一手。三手先で飛車や玉を失うことがわかっていても、目の前の銀をゲットする。そんな心理的影響を持続的に与えてしまえば、当事者たちの仕事がどうなるかは想像に難くないでしょう。

もちろん対策はあります。例えば、稲盛和夫さんのアメーバ組織のような「全体論」を徹底させる。一部署の利益を優先した結果として全体の利益がマイナスになったり、目的達成に対して全体の時間やコストに大きな負担をかける結果になった際、利己的な行為をとった部署に厳しい評価と対応を取る・といった約束事等は、組織論的に対策可能な一つでしょう。
 
そして、そもそもで行政組織とは決めたことを実行する部署であるという本質からも、政治がきちんと「決めて」、そのプロセスをマネジメントして、投資効果が得られるまでの期間に悪い癖が出ないようにチェックしていく。そのことが、現行制度で求められていることだった筈です。

しかし、官僚の作った資料を官僚が政治家にレクして、政治家が官僚に一任(投げて)で「決めることが決まる」。そんな本質から外れてた状態に、課題の原点があることはまた言うまでもありません。
 
官僚の利害バイアスによった作用が政治に影響してしまうのは明らかで、鉄の心で自身の組織を敵に回しても国の未来を優先・・なんて官僚美談は今や幻想のようなものでしかないでしょう。

世の中自体も大きく変化し、インターネットやPC機器等の出現によって、私たちはそうではなかった時代の10倍以上と言われる情報を取り扱うようになってきています。ですので、世界や社会では10倍どころではない多様な変化を迎えているわけです。こうした時代に対応し、適切な*EBPMを扱える現代型政党、政治家が増えていかないと、国民への不利益はいよいよ拡大していってしまう。その可能性は少なくいと言えるでしょう。

エビデンス図(総務省統計局)

*EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)とは、政策目的を明確化したうえで、合理的根拠(エビデンス)に基づき立案されるもの。昭和期に主力であった学者の意見や事例集等は、現在ではデータとして扱われないレベルになっている。地方創生でこれら事例集を横展開しても失敗事例が増えるばかりなのは、そもそも有効なデータとして成立していなかったから・ともいえる。

☆そして振り返ってみる

かくして、約4か月を経て、なおも公費解体の進まない現状がSNS等にあがり、ボランティア来るな報道を続けていたTVメディアも、今度は手のひらを返してボランティア不足等の展開をするようになってきました。
 
上記リンクの「公費解体がなぜ進んでいかないのか?」には現在、様々な要因が挙げられていますが、こうした有事でも平時のやりかたで「相続者全員の同意を求める」といった行政対応の悪い癖が表出してることは残念な限りです。

当然、こうした行政の悪い癖は過去の災害から繰り返されていますが、一向に治る気配がありません。今回もまた、国、都道府県、現場の自治体でそれぞれが責任をおしつけあっていて、三すくみで動かない。そして民が求めるスピード感を著しく欠く結果になっているようにも見えます。
 
このあたりは「行政」が平時に「政治」に影響を与えすぎてしまい、有事に「決める」政治がないというジレンマに陥っている。そんな現在地をまた示しているとも言えそうです。
 
災害。天変地異のような不可抗力だから仕方ないので「行政」はやむを得ずやる・ではなく、国民が自助、共助ではどうにもならないこうした事態(有事)だからこそ、主導的責任をもって「公助」を機能させる
 
そんな行政の在り方になってもらいたいと願いますし、その為に小さくとも「令和型政治」を育んでいかなければいけないのだろう・と感じる次第です。

さて、その意味でも、この能登半島地震のこれからにどう向き合っていくか。次回からそこに立ち戻っていきたいと思います。
 
続きます!

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