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【文章作成の基本】接続詞の使いどころ

 noteの記事作成を始めて、一か月程経ちます。皆さん、いろいろと読み応えのある記事を書かれていますね。読む度に様々な発見があるので、楽しいです。

 文章の作成術に関しても、皆さんいろいろな立場で考察されていて、面白いです。

 私は中高生に指導する立場で、学校教育的な側面から文章作成について述べていますが、webライティング術やコピーライティング術、セールス文章の作成の側面で文章作成について述べている記事もあり、読むと「なるほど、そういう考え方もあるか」と驚きます。もちろん私には、「売れる文章の書き方」など教えることはできません。当たり前ですが、同じ「文章の書き方」の話でも、立場や用途、目的が違えば、いろいろと考え方が違うのですね。

 さて、本日は「接続詞の使いどころ」についてお話ししますが、前述の通り、「中高生が小論文や志望動機書を書くとしたら…」という立場で書きます。大人の方にも参考にはしていただける内容だとは思いますが、一応中高生を読者として想定した内容だということをご了解ください。

 今回は「使いどころ」の話です。この接続詞はこう使うべきだ、という話です。ということは、反対にこの接続詞はここで使わなくていいよ、という話でもあります。どこで使って、どこで使わないか、その匙加減について書いていきます。

 したがって、小学校の国語科の教科書にあるような、接続詞の種類や機能の詳細な話は、ここでは省略します。そこまで書いていると、文法書みたいになってしまいますので。そこはもう皆さんある程度わかってますよね…という体で書きます。また、今回は、接続詞の接続範囲が「文と文」、「段落と段落」との接続の場合について、限定してお話しします。こうしないと、本が出来上がってしまうくらいの分量になりますので。この場合に限定したお話し、ということにさせてください(そのくらい「接続詞」は語ることが多いのです…)。

順接の接続詞は、極力使わない。

 基本、順接の接続詞は使わない、と考えてよいです。特に「そして」、「それで」などの単純接続の順接の接続詞はほとんど必要ないです。理由は、左から右へ文章が展開するにつれて(※横書きの場合)自動的に接続するからです。

例:太陽が沈んだ。すると、辺りが暗くなった。

 たとえばこういう文があったとして、これは「すると」があってもなくても、文章内容は変わりません。

例:太陽が沈んだ。辺りが暗くなった。

 全く内容は変わりませんよね。不自然さもありません。この「すると」は添え物みたいなものです。そのため時間経過や因果関係を示す単純接続の順接の接続詞は、基本いりません。「そして」、「すると」、「だから」、「こうして」とその都度つなぐと、くどくて冗長な文章になり、逆に読みづらい文章になります。また読み手に幼稚な印象を持たれてしまいますので止めましょう(小さい子が大人に「あのね~それでね~したらね~」と話しているようなイメージを持たれてしまいます。)

 順接で使うとしたら、「よって」、「したがって」などの結論を示す接続詞くらいです。これは、読み手に「ここが結論ですよ。」と教えるために必要です。特に小論文ではマストアイテムです。数学の証明の最後で使う「∴(ゆえに)」と全く同じです。

逆接は、自分の考えや主張を述べるときに使う。

 皆さん、国語の先生から論説文など読むときに、こう習ったことありませんか、「逆接の後に筆者の主張が書かれている」と。筆者の主張は逆接を頼りに探すとよいと。あれは実際そうです。9割がたその通りです。しかし、そうだとしたら皆さんが小論文を書くときは、皆さんが筆者なのですから、当然そのように、自分の意見を言う前に逆接の接続詞を置くべきです。

例:たしかに、家計が破綻し生活ができなくなった人に対して、それは自己責任であるため生活保護制度は必要ないという人もいるだろう。しかし、病気やけがなどでやむを得ず休職や退職をする人もいるため、生活保護制度は必要である。

 例文のように、しかしの後に、自分の意見を置きます。なお、この言い回しは一つの「構文」として覚えておくと、小論文のときに役立ちます。自分の意見と反対の意見を想定し、それを先に言う。それをひっくり返して(反論して)自分の意見を述べるという「パターン」として覚えておくとよいでしょう。

 これを踏まえると、次のこともルールとして言えます。

逆接は、絶対に重ねて用いない。

 「しかし」、「だが」、「けれども」と重ねて使うのはNGです。先ほども言ったように、逆接の後に意見や主張が来るわけです。そこで逆接が繰り返し出てきたら、「この筆者は一体何が言いたいの?」と、読み手は混乱します。意見が二転三転するからです。絶対に重ねて用いないでください。

累加・並列は極力用いず、数詞で数え上げた方がよい。

 「また」、「さらに」、「および」などの累加や並列の接続詞は、一回くらいはよいですが、極力重ねて用いない方がよいです。想像してみてください。「また」、「さらに」、「加えて」と文章が続いていったら、あなたが読み手ならどう思いますか。「この文章、どこまで続くんだ?」、「この文章、いつ終わるの?」となりますよね。これは読み手に不親切な文章です。

 このように複数の内容を並記していくようなときには、「~について、私は三つの問題点があると考えている。」というように、先にこれには三つありますよと読み手に教えてあげます。そうすると、読み手は「なるほど三つあるのだな」と心の準備ができます。その上で、「第一に~」、「第二に~」、「第三に~」と並べていきます。読み手も内容の整理がしやすくなります。

 しかし、これには注意点があります。「三つあります」と言っておいて、書き進めたら四つあった、そこで「第三に~」の後に「また~」と続けていく、これはダメです。読み手からしたら「四つあんのかい!三つじゃないんかい!」となります。書く内容はあらかじめ整理してから、文章作成に臨んでください。

説明・補足は適宜使う。

 「なぜなら」、「ただし」、「つまり」などは、適宜必要に応じて使います。

 たとえば、「なぜなら」。これは、理由説明です。これは文字通り、自分の意見に対する理由や論拠を説明したいときに用います。おなじみですね。なお、これは「したがって」と対の関係になる接続詞です。

例1:彼は悪人だと言える。(←)なぜなら、彼は人のものを盗んだから  だ。
例2:彼は人のものを盗んだ。(→)したがって、彼は悪人だと言える。

 例文のように、「なぜなら」は「結果←原因」となるのに対し、「したがって」は「原因→結果」となります。また使用に際しては、「文末表現と呼応する」ことも忘れずに。「なぜなら」で始まる文は、必ず、文末は「~から(だ)」となります。

 「ただし」は、例外則など、補足的に説明や注釈を加えたいときに使います。

例:順接は基本用いない。ただし、「したがって」などの結論を示す接続詞は用いるべきである。

 基本はこうだが、例外的にこういうケースもあると注釈を入れています。しかし、使用には注意が必要です。私は学生に「『ただし』は順接系の接続詞だが、逆接だと思った方がよい」と言っています。これはどういうことかというと、上の例文でも明らかなように、後の内容は前の内容と反対になります。「順接は用いない」と「(限定的に)順接を用いる」、といったように逆の内容になるのです。このため、前述した「逆接は重ねて用いない」の中に、この「ただし」も含めた方がよいと考えます。

 ただし(ベストな使い方!)、文法的には間違えではないので、重ねて使うこともできます。さっきの「たしかに~しかし」構文に「ただし」を重ねると、こういう展開になります。

例:たしかに、(自分と反対の、相手の意見)。しかし、(自分の意見)。ただし(自分の意見があてはまらない例外的内容)

 これは、「相手の意見に基本的に反対するのが自分の立場ではあるが、その自分の意見にあてはまらない事例がある(ことも見越して反対している)」という、なかなかテクニカルな論展開になります。「文章を書くのはすごく得意!」という学生はよいですが、「文章書くの苦手…」という人には余りおすすめできません。なお、こんな使い方も考えられます。

例:たしかに、(相手の意見)。ただし、(相手の意見があてはまらない例外的内容)

 これは「たしかに~と相手の意見を受け入れて基本賛成の立場であるが、それがあてはまらない事例がある(という指摘が事実上の自分の意見)」という、老獪な言い回しになります。こういう人とは友達になりたくありませんね(笑)。「うんうん。たしかにね。わかるわかる。」と話をうなずいて聞いていた友達が「でもさ、○○の場合は、それ違くね?」とちくりと言ってくる場面が想像できます。こういう人とは口喧嘩しないようにしましょう(笑)

 「つまり」は換言の接続詞とも言います。前に言ったことを内容を変えずに、言葉を変えて言い換えるときに用います。この「つまり」でつなげられた前後は、内容的に全くの「イコール」でなければなりません。「つまり」の後は、その前で言っていることと(表現が違っても)同じことを言っています。「この表現だとちょっと読んでいる人に伝わらないかな」と考えた時が使い時です。「つまり」を使って別の表現で言い換えてみてください。

転換は、絶対使わない。

 「さて」、「ところで」、「では」などの話題転換の接続詞は絶対に使うなと、学生には言っています。「学生には」です。それは、大学受験小論文の大体の制限字数が800字で、多くても1200~1800字だからです。そのくらいの長さの文章でまず使いません。本を書くなら別ですが、受験小論文としては必要ないと言えます。この話題転換の接続詞は、前の話題や内容を完全に断ち切ってしまうものです。受験小論文くらいの長さの文章には、使ってはいけません(というよりも使えません)。

 以上が、「接続詞の使いどころ」です。文章作成の際に意識してみてください。

追記

 「あるいは」、「もしくは」などの対比・選択の接続詞に関しては、その条件下(二つ以上のもの選ぶ、比べる)でないと使いようのない接続詞なので、ここではカットしました。

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