中西理

演劇コラムニスト。1958年12月愛知県西尾市生まれ。京都大学工学部卒業。在学中は京都…

中西理

演劇コラムニスト。1958年12月愛知県西尾市生まれ。京都大学工学部卒業。在学中は京都大学推理小説研究会に所属。綾辻行人は1学年下。twitterは@simokitazawa ブログ https://simokitazawa.hatenablog.com/

マガジン

  • 中西理の演劇批評サイト

    雑誌、ネットを問わず演劇批評の掲載の場が減ってきている中で何とか批評の場を作りたい。特に批評にさらされる機会が限られる若い劇団を積極的に取り上げ批評を書いていきたい。若い書き手の演劇批評の投稿も歓迎します。新たな劇団発掘にも積極的に取り組みたいのですが、仕事を定年退職し資金があまりないので、招待メールなどいただけるとありがたいです。連絡はsimokita123@gmail.comまで。

  • 中西理のアイドル論考

    演劇ダンスなどを批評してきた中西理がアイドルについて考えてきたこと、ライブ参戦のレポートなどを掲載します。

  • 中西理のミステリ論考

    クリスティーからルース・レンデル、コリン・デクスター……。英国現代ミステリとは何だったのか?一方、エラリー・クイーンの「犯人当て」にとどまらぬ魅力の源泉とは? 京大ミステリ研出身の中西理がこれまでに書いた本格ミステリについての論考をまとめて掲載しています。

  • 平成の舞台芸術回想録(中西理)

    これまでも過去30年間に私が体験してきた舞台について、回想録の形で取り上げる連載をスタート、青年団「東京ノート」、ダムタイプ「S/N」を掲載してきたが、チェルフィッチュ「三月の5日間」、ままごと「わが星」、上海太郎舞踏公司「ダーウィンの見た悪夢」、木ノ下歌舞伎「東海道四谷怪談」、玉田企画「あの日々の話」、劇団ホエイ 玉田企画 「郷愁の丘ロマンピア」と続く予定。感想・意見はsimokita123@gmail.comまで。

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論考「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」

第1部「ダンスとしてのももクロ」(1)ももいろクローバーZ(ももクロ、以下ももクロと省略)は5人の女性によるアイドルグループである(これは記事執筆当時。現在は4人)。柴咲コウ(当時)、北川景子ら有名女優・俳優を多数かかえる大手俳優事務所スターダストプロモーションに所属するタレントの卵たち*1の育成訓練の一環としてこのプロジェクトは始まった。 グループ名の「ももいろクローバー」は「ピュアな女の子が、幸せを運びたい」という意味を込め、メンバーの一人である百田夏菜子の母親が考えたと

    • 松田正隆の愛弟子の関田育子 松田の引力圏抜けだし新たなスタイル模索 関田育子「雁渡」@シアターグリーンBASE THEATER

      関田育子「雁渡」@シアターグリーンBASE THEATERを観劇。最近の若手作家の特徴としていわゆる現代口語演劇の形態を取らない作風の作家が上げられるが、その代表格が関田育子といえるだろう。 立教大学出身の関田育子は同大学教授でもある松田正隆率いるマレビトの会にも参加していたから、そこから受けた影響は強いと思うが、この作品などを見ると演出や演技でマレビトの会とは明確に異なる特徴が露わになってきており、松田の強力な引力圏を抜け出して、作家として演出家として、そして集団としていか

      • 【アーカイブ】ダンスについて考えてみる(構成・振付・演出とは)

         ダンス作品において、よく「構成・振付・演出」とクレジットされることがあるが、その際に1人の人物がそのすべてをになう場合に実際の作業としてどこからどこまでが「構成」で「振付」で「演出」なのか、ということに対して果たして一般的なコンセンサスがあるのかどうかについて考えると、それはあまり明確には腑分けできないことなのかもしれない。ただ、少なくとも慣例的な部分はあるにしても、こういうクレジットがあるということは「構成」「振付」「演出」の各作業というのがそれぞれに異なる作業だという風

        • ダンス+トーク+ビデオ『春が来たよ』@カラス・アパラタス

          勅使川原三郎、佐東利穂子がバッハとヘンデルの音楽を踊った作品「春が来たよ」を観劇した後、休憩をはさんでこの日のゲストの宮田ケイがいた時代の映像ダンス作品の抜粋を鑑賞。そのあと、宮田ケイを迎えて勅使川原三郎、佐東利穂子がKARASの初期の時代やそもそもの勅使川原と宮田が出会ったころのエピソードなどを語るトークショーがすべてを合わせて3時間半になるほどたっぷりと行われた。トーク自体も珍しい話が聴けた貴重なものであったが、面白かったのは勅使川原作品の動きの変遷が実感として感じられた

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        論考「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」

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        • 【アーカイブ】ダンスについて考えてみる(構成・振付・演出とは)

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          玉田真也による松田正隆 新たな名コンビの予感 玉田企画『夏の砂の上』@北千住 BUoY

          マレビトの会の松田正隆が1990年代に書いた「夏の砂の上」を玉田企画の玉田真也が演出し上演した。この作品は初演(1998年)が平田オリザ演出の青年団プロデュースによる上演。松田正隆×平田オリザのコンビとしては名作の誉れの高い「月の岬」に続く作品で、初演時の印象では前作の「月の岬」*1があまりにも素晴らしい舞台であったがゆえにやや物足りない印象を受けたのだが、今回もう一度ひさびさに上演された舞台を見てみると、この時代の松田正隆の戯曲は完成度が高いと再認識させられた。 松田の初期

          玉田真也による松田正隆 新たな名コンビの予感 玉田企画『夏の砂の上』@北千住 BUoY

          【アーカイブ】you tubeダンスミニ講座vol.2

          渋谷ゲリラDANCE "Guerilla Dance Party in Shibuya"  まずこれを見てください。ちょっとびっくりしますよね。なんといっても渋谷の交差点ですからねえ。これはいったいなんなんだろう。何かのイベントか。さては新手のアートか。見方のよってはサイトスペシフィックなアート作品にも見えないこともないわけなのですが……。それでちょっとネット上を探してみたら、今度はこんなのを見つけました。こちらは英国のリバプール駅です。どうやらこちらの方が先のようなのです

          【アーカイブ】you tubeダンスミニ講座vol.2

          【アーカイブ 2019年】アメフラが優勝 スターダストプラネット企画のアイドルガチバトル ライブスタイルダンジョン Vol.2@新宿BLAZE

          ももクロが所属するスターダストプロモーションのアイドル部門「スターダストプラネット(スタプラ)」が主催する対戦型アイドルイベントがライブスタイルダンジョンである。  5組のアイドルがそれぞれの楽曲(パフォーマンス)を披露。その勝敗を5人の審査員がパフォーマンスの直後に自分が勝ったと思うグループの名前の書かれたプレートを挙げることで審査。この方式が結構シビアなのはほんのちょっとした差が5ー0のような一方的な判定を呼び込むことで、M1のように点数を入れるという採点方法じゃないため

          【アーカイブ 2019年】アメフラが優勝 スターダストプラネット企画のアイドルガチバトル ライブスタイルダンジョン Vol.2@新宿BLAZE

          【アーカイブ】宮城聰(ク・ナウカ主宰)インタビュー=ク・ナウカ時代のインタビュー

          下北沢通信HPの新企画としてスタートした気鋭の演劇人に対する連続インタビュー (これは下北沢通信ホームページのオリジナルコンテンツとして収録したものです) 第3弾はク・ナウカの宮城聰です。演劇雑誌JAMCiにあしかけ5年ほどかかわってきたのですが、その中で一番、刺激的な経験であったのは宮城聰、上海太郎、安田雅弘の3人による鼎談*1の収録でした。平田オリザの登場以来、「関係性の演劇」*2に向かって90年代演劇の様式は雪崩を打っていった感があるのですが、一部の感情的(ということ

          【アーカイブ】宮城聰(ク・ナウカ主宰)インタビュー=ク・ナウカ時代のインタビュー

          絵本「100万回生きたねこ」で知られる佐野洋子の生涯描く 劇団外から才能が集結した音楽劇 演劇集団円『ヨーコさん』@吉祥寺シアター

          演劇集団円『ヨーコさん』@吉祥寺シアターを観劇。絵本「100万回生きたねこ」で知られ、演劇集団円にも脚本を提供したことで縁が深い作家、佐野洋子さんの生涯を描いた音楽劇だ。作・演出の角ひろみはもともと関西で活動していた演劇作家で、芝居屋坂道ストアという劇団を主催しており、当時の作品は何度か見た記憶があったが、かなり長い間遠ざかっており、作品を久しぶりに見た。  佐野洋子本人の母親との軋轢、早世した兄、弟への複雑な感情など佐野の伝記的事実がこの舞台の本筋ではあるが、こうした出来事

          絵本「100万回生きたねこ」で知られる佐野洋子の生涯描く 劇団外から才能が集結した音楽劇 演劇集団円『ヨーコさん』@吉祥寺シアター

          岸田國士戯曲賞受賞作品の2年ぶり再演 父親の謎の死とぶつ切りされた終幕の奇妙さを再確認。ぱぷりか「柔らかく搖れる」@こまばアゴラ劇場

          2021年に第66回岸田國士戯曲賞を受賞*1したぱぷりか「柔らかく搖れる」の再演をこまばアゴラ劇場で観劇した。福名理穂は無隣館出身。元青年団演出部の所属(演出部は今年6月に解散)だ。そこには有望な若手女性作家が多数在籍していたが、升味加耀、宮崎玲奈、山内晶ら彼女と同年代以降の若手は現実に非現実が混入していくような作風が多い。平田オリザ流の現代口語演劇とは一線を画しているなかで、群像会話劇の形態を守る福名こそが平田の正統な後継者*2といえるのかもしれない。 演劇の様式としては

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          勅使川原三郎の拠点「アパラタス」の 10周年記念公演 アップデイトダンスNo.97 新作「月の砂漠」(勅使川原三郎振り付け)@荻窪カラス アパラタス

          アップデイトダンスNo.97 新作「月の砂漠」(勅使川原三郎振り付け)を観劇。勅使川原三郎ならびKARASの拠点であり、アトリエでもある「アパラタス」の カラス アパラタス10周年記念公演である。この30年間日本のコンテンポラリーダンスのトップランナーの地位を勅使川原三郎が守り続けてきたことを否定する人は少ないと思うが、ここ10年におけるその豊富な創作活動を支えてきたのが、この場所の存在であったことは間違いないだろう。  勅使川原三郎の最大の武器はほかに比較するものがないほど

          勅使川原三郎の拠点「アパラタス」の 10周年記念公演 アップデイトダンスNo.97 新作「月の砂漠」(勅使川原三郎振り付け)@荻窪カラス アパラタス

          ももクロ後輩らが演じる宝塚歌劇「ベルサイユのばら」のパロディ クラポの三田美吹が歌に演技に圧倒的存在感 東京やかんランド vol.3「鶯谷のばら」@東京キネマ倶楽部

          東京やかんランド vol.3「鶯谷のばら」@東京キネマ倶楽部を観劇。vol.1、vol.2はライブ+寸劇というイベント企画という色彩が強かった。それでも滅多に聴けないスタプラ以外のアイドル曲を聴けるなどライブイベントとしての魅力度は高かったが、今回は宝塚の「ベルサイユのばら」のパロディの体裁を取りながら、キャストに宝塚出身の彩羽真矢を迎え、彼女に男役の所作の指導や宝塚式のメイク法など全面的に協力をしてもらう*1ことで、本格的なミュージカルといってもおかしくないクオリティーの舞

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          産まれたばかりの赤子を抱える若い夫婦の葛藤描く ウンゲツィーファ 演劇公演『リビング・ダイニング・キッチン』@アトリエ春風舎

          産まれたばかりの赤子を抱える若い夫婦(藤家矢麻刀・豊島晴香)の葛藤を描いたウンゲツィーファ 演劇公演『リビング・ダイニング・キッチン』@アトリエ春風舎を見た。作者である本橋龍自身の育児体験をもとにしたドキュメント演劇と言っていいのかもしれない。  「作者自身の体験をもとにした」とは書いたが、主人公である夫(藤家矢麻刀)は普通の会社勤めのサラリーマンであり、その代わりに病院にいる父親に会うためにひさびさに訪ねてくる兄(黒澤多生)を演劇人とするなど事実関係を意図的に変更し「リアル

          産まれたばかりの赤子を抱える若い夫婦の葛藤描く ウンゲツィーファ 演劇公演『リビング・ダイニング・キッチン』@アトリエ春風舎

          【アーカイブ】維新派「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」@彩の国さいたま芸術劇場

           維新派「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」は「瀬戸内国際芸術祭2010」の参加作品として今年の夏に岡山・犬島で野外劇として上演された舞台の劇場版だが、いくつかの場面が新たに付け加えられていて、サイトスペシフィックアートの要素が強かった犬島公演とはまったく別物の作品に仕上がった。 <彼>と旅する20世紀三部作♯3と位置付けられた本作は、2007年の第1部「nostalgia」(南米篇)、2008年の第2部「呼吸機械」(東欧篇)に続く、第3部(アジア篇)としてシリーズの最後

          【アーカイブ】維新派「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」@彩の国さいたま芸術劇場

          【アーカイブ】上海太郎VS西田シャトナー対談

          司会(中西理) 今日は関西を代表とする演出家と私が考えている上海太郎、西田シャトナーのお二人に集まっていただきこれから対談をしてもらいます。 年齢こそ違うのですが、二人はともに大阪出身で、地元の高校(北野高校)に進学した後、上海さんは京都大学、シャトナーさんは神戸大学と関西の国立大学に進学。そこで学生劇団としての本格的演劇活動を開始。その時代を代表する人気劇団となりその座長、演出家として注目をされたことなど共通点が多いのじゃないかと思っていました。しかも、その舞台がいわゆる

          【アーカイブ】上海太郎VS西田シャトナー対談

          笑の内閣「ゴメラの逆襲・大阪万博危機一髪」@こまばアゴラ劇場

          笑の内閣「ゴメラの逆襲・大阪万博危機一髪」@こまばアゴラ劇場を観劇。笑の内閣は「朝まで生ゴズラ」「朝まで生ゴズラ2020」と2回に渡って「怪獣の出てこない怪獣演劇」というのをやっていて、今回は第3弾ということになる。「朝まで生ゴズラ」は舞台を収録した映像でしか見たことがないのだが映画「シン・ゴジラ」を連想させるような筋立てだが時期的にはこちらの方が先行しており、昨今の官邸の様々な問題への対処の右往左往などを揶揄して、もしゴジラのような怪獣が実際に現代日本に現れたら、どうなって

          笑の内閣「ゴメラの逆襲・大阪万博危機一髪」@こまばアゴラ劇場