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松田正隆の愛弟子の関田育子 松田の引力圏抜けだし新たなスタイル模索 関田育子「雁渡」@シアターグリーンBASE THEATER
関田育子「雁渡」@シアターグリーンBASE THEATERを観劇。最近の若手作家の特徴としていわゆる現代口語演劇の形態を取らない作風の作家が上げられるが、その代表格が関田育子といえるだろう。 立教大学出身の関田育子は同大学教授でもある松田正隆率いるマレビトの会にも参加していたから、そこから受けた影響は強いと思うが、この作品などを見ると演出や演技でマレビトの会とは明確に異なる特徴が露わになってきており、松田の強力な引力圏を抜け出して、作家として演出家として、そして集団としていか
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【アーカイブ 2019年】アメフラが優勝 スターダストプラネット企画のアイドルガチバトル ライブスタイルダンジョン Vol.2@新宿BLAZE
ももクロが所属するスターダストプロモーションのアイドル部門「スターダストプラネット(スタプラ)」が主催する対戦型アイドルイベントがライブスタイルダンジョンである。 5組のアイドルがそれぞれの楽曲(パフォーマンス)を披露。その勝敗を5人の審査員がパフォーマンスの直後に自分が勝ったと思うグループの名前の書かれたプレートを挙げることで審査。この方式が結構シビアなのはほんのちょっとした差が5ー0のような一方的な判定を呼び込むことで、M1のように点数を入れるという採点方法じゃないため
絵本「100万回生きたねこ」で知られる佐野洋子の生涯描く 劇団外から才能が集結した音楽劇 演劇集団円『ヨーコさん』@吉祥寺シアター
演劇集団円『ヨーコさん』@吉祥寺シアターを観劇。絵本「100万回生きたねこ」で知られ、演劇集団円にも脚本を提供したことで縁が深い作家、佐野洋子さんの生涯を描いた音楽劇だ。作・演出の角ひろみはもともと関西で活動していた演劇作家で、芝居屋坂道ストアという劇団を主催しており、当時の作品は何度か見た記憶があったが、かなり長い間遠ざかっており、作品を久しぶりに見た。 佐野洋子本人の母親との軋轢、早世した兄、弟への複雑な感情など佐野の伝記的事実がこの舞台の本筋ではあるが、こうした出来事
岸田國士戯曲賞受賞作品の2年ぶり再演 父親の謎の死とぶつ切りされた終幕の奇妙さを再確認。ぱぷりか「柔らかく搖れる」@こまばアゴラ劇場
2021年に第66回岸田國士戯曲賞を受賞*1したぱぷりか「柔らかく搖れる」の再演をこまばアゴラ劇場で観劇した。福名理穂は無隣館出身。元青年団演出部の所属(演出部は今年6月に解散)だ。そこには有望な若手女性作家が多数在籍していたが、升味加耀、宮崎玲奈、山内晶ら彼女と同年代以降の若手は現実に非現実が混入していくような作風が多い。平田オリザ流の現代口語演劇とは一線を画しているなかで、群像会話劇の形態を守る福名こそが平田の正統な後継者*2といえるのかもしれない。 演劇の様式としては
勅使川原三郎の拠点「アパラタス」の 10周年記念公演 アップデイトダンスNo.97 新作「月の砂漠」(勅使川原三郎振り付け)@荻窪カラス アパラタス
アップデイトダンスNo.97 新作「月の砂漠」(勅使川原三郎振り付け)を観劇。勅使川原三郎ならびKARASの拠点であり、アトリエでもある「アパラタス」の カラス アパラタス10周年記念公演である。この30年間日本のコンテンポラリーダンスのトップランナーの地位を勅使川原三郎が守り続けてきたことを否定する人は少ないと思うが、ここ10年におけるその豊富な創作活動を支えてきたのが、この場所の存在であったことは間違いないだろう。 勅使川原三郎の最大の武器はほかに比較するものがないほど
ももクロ後輩らが演じる宝塚歌劇「ベルサイユのばら」のパロディ クラポの三田美吹が歌に演技に圧倒的存在感 東京やかんランド vol.3「鶯谷のばら」@東京キネマ倶楽部
東京やかんランド vol.3「鶯谷のばら」@東京キネマ倶楽部を観劇。vol.1、vol.2はライブ+寸劇というイベント企画という色彩が強かった。それでも滅多に聴けないスタプラ以外のアイドル曲を聴けるなどライブイベントとしての魅力度は高かったが、今回は宝塚の「ベルサイユのばら」のパロディの体裁を取りながら、キャストに宝塚出身の彩羽真矢を迎え、彼女に男役の所作の指導や宝塚式のメイク法など全面的に協力をしてもらう*1ことで、本格的なミュージカルといってもおかしくないクオリティーの舞
産まれたばかりの赤子を抱える若い夫婦の葛藤描く ウンゲツィーファ 演劇公演『リビング・ダイニング・キッチン』@アトリエ春風舎
産まれたばかりの赤子を抱える若い夫婦(藤家矢麻刀・豊島晴香)の葛藤を描いたウンゲツィーファ 演劇公演『リビング・ダイニング・キッチン』@アトリエ春風舎を見た。作者である本橋龍自身の育児体験をもとにしたドキュメント演劇と言っていいのかもしれない。 「作者自身の体験をもとにした」とは書いたが、主人公である夫(藤家矢麻刀)は普通の会社勤めのサラリーマンであり、その代わりに病院にいる父親に会うためにひさびさに訪ねてくる兄(黒澤多生)を演劇人とするなど事実関係を意図的に変更し「リアル