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『彼が愛したくなる女』になるためのサレンダードワイフ入門

ども、清水陽介(@smzyuskmental)です。

先日、こんな感じのツイートをしまして、


今回のnoteは、こちらの『サレンダードワイフ ー賢い女は男を立てるー』について、ざっと解説です。

タイトルの『サレンダードワイフ』は、直訳すると『降伏する妻』という意味になります。降伏というと『男女不平等じゃん!』みたいなイメージがありますが、少し言葉を変えて『戦略的降伏』『試合に負けて勝負に勝つ』的なイメージで捉えると正確なのかな、と思います。要は『夫の関係を円満にする鍵は”降伏”だ!』的な本ですね。(ちなみに海外では280万部売れた大ベストセラーらしい)

サレンダードワイフの考え方自体は、特に理論的に体系立っているわけでもないんですが、人間関係の考え方のヒントになる部分が多くって、僕はじっくり読み浸ってしまいました。『パートナー(現在or未来の)ともっと良い関係を築きたい』と思ったことのある方には、是非オススメしたい一冊であります。(『選択理論心理学『アドラー心理学』も内容が近いので同時に読むと良さそう)

で、今回は、サレンダードワイフの考え方の中でも特に重要な『夫をコントロールしようとしないこと』という部分をざっくりとメモ。まぁ本当に一言で言ってしまえば『夫をコントロールしようとするな!』って話なんですが、それでは抽象的すぎるので、『コントロールってどういう行動を言うの?』『じゃあ具体的にどうすればいいの?』って部分をゆっくり解説していきます。

根本の原理としては、男女を通じて言える箇所がほとんどですので、男性の方もよかったら参考にしてみてください。

それではGO!


目次(全12,000字ほど)

section①夫婦円満のコツは『彼の行動に口出ししないこと』
section②アドバイスがNGな理由は〇〇を伝えてしまうから
section③なぜ、夫をコントロールしようとしてしまうのか
section④願望は素直に伝えること
section⑤彼が応えてくれる正しい願望の伝え方
section⑥彼の提案を受け入れる時と断る時の判断基準


注1:本稿では『男は』『女は』など人を一括りにした表現を使っていますが、『全ての〜が』という意味ではなく、あくまで『〜のほとんどは』『一般的には』という意味で捉えていただければ幸いです。

注2:また、本稿の内容はあくまで『こうすると夫が優しくなると思うよ、夫婦関係が上手くいくと思うよ』という”提案”であって『女は夫に対してこうするべきだ』と行動を規定する”べき論”ではありません。


section①
夫婦円満のコツは
『彼の行動に口出ししないこと』

まず本書で全体を通じて言われているのは『夫をコントロールしようとしないこと!』という事なんですね。

これはどういう事かと言いますと、一言で言えば、『コントロールしようとする事=こちらの言動によって彼の行動を変えようとすること』と考えると分かりやすいです。例えば、以下のような言動は『夫をコントロールしようとする行為』になります。

・彼の前で『はぁ〜。あなたがもっと片付けを手伝ってくれれば楽なのに』と愚痴をこぼす
・彼のファッションを見て『え、これそのまま着て行くつもり?』と否定を暗にほのめかす
・彼が料理するところへ『もっとこうした方が効率的だよ!』とアドバイスをする
・美容室に行こうとした彼に対して『あんまり短く切りすぎないでね』と行動を規定、指示する

上記の行為はすべて『彼の行動を変えようとしている行為』になります。

そして、夫婦の仲を親密に保ちたいならば、夫に対してこういう言動をしないほうがいいよ、というのがローラさんの教えであります。例えばもし、彼のやっている行動や考え方に対して、あなたが『正しくない!』と思っても、そこに口出しやアドバイスはせずに、ひとまずは彼の考えや判断を『あなたはそうなんだね』と受け入れましょう、という事ですね。

実際に本書では

パートナーの言葉に耳を傾けなさい。彼が選んだものを受け入れなさい。たとえ彼の言うことに賛成できなくても、彼をないがしろにしてはいけない。あなたの趣味に合わないものであっても、靴下や車、食べるものや考え方全てを受け入れること。(意訳)

と書かれています。ともかくは、基本的には彼の”考え方”に否定しないこれが夫婦の仲を良好に保つために大切なことだ、というのがサレンダードワイフの考え方であります。

section②
アドバイスがNGな理由は
〇〇を伝えてしまうから

では、『なんで夫にアドバイスしちゃダメなの?だって、パートナーの間違いを正してあげることは必要じゃない?なんでアドバイスが関係を悪化させるんですか?』という話になるわけですが、なぜ、夫にアドバイスをしてはいけないのか。それは、夫にアドバイスをする=

『夫を信頼してない』という事を伝えてしまうから

なんですね。

これはどういう事かと言いますと。本来、自分が夫を信頼しているのであれば、そもそもアドバイスをする必要は無いんですね。なぜなら、彼を信頼している、つまり彼の判断が正しいと信じている、のであれば、わざわざ自分が口出しをしなくても彼は良い結果を生むはずだからです。

例えるならば、あなたは今日、友達と新宿駅に待ち合わせをするとしましょう。そこで、よほど友達の事を無能だと思っていない限りは、あなたは友達に『○時○分に赤羽駅から埼京線に乗ってね!』とわざわざ道案内のLINEを送ったりしないはずです。

これは『友達は電車を自分で調べるくらいの能力はある』と信頼しているからです。

つまり、相手の判断能力を信頼している(あるいは尊敬している)のであれば、こちらがいちいちアドバイスをする必要は無いんですね。本書の言葉ではこんな感じに表現されています。

人を信用するとは、その人がやっている事が、最悪の結果ではなく、最善の結果をもたらす事を”期待”する事だ。信用しているなら、危険などありえないと思っているのだから、何度も確認したり、予備の計画を練ったり、用心する必要はないはずだ。何もかもうまくいくと分かっているのだから、目をつぶって眠っていればいいだけだ。

p25より

という事は、です。裏を返せば、アドバイスや口出しをするという行為は、暗に

=『あなたの判断は信頼できない』

という事を伝えてしまっているわけですね

夫にああしろ、こうしろと言うことで、彼女は安心という幻想を持つことができるが、それと同時に夫を信用していないという事をほのめかしている事にもなるのだ。

P46より

例えば、夫が『この髪型にしようかな』と言ったことに対して、あなたは『え、これにするの?』と言うとします。

するとこれは、『あなたの美的センスよりも私の美的センスの方が正しい』というメッセージになっちゃってるんですね。

すると、そう言われた夫は当然、『俺のセンスがないって事?』と自信を無くします(あるいは反発心から嫁と距離を置きます)。逆の立場で考えると分かりやすいです。例えばあなたが『料理教室通おうかな〜』って言ったのに対して『え、本当に勉強する気???普段食べてるレストランで十分だよ(どうせあなたには出来ない的なニュアンス)』と言われたらどう思うでしょう。『なにその態度!?頑張ろうとしてるんだから応援してよ!!!』ってなりますよね。少なくとも僕ならなります。これと似ています。

つまり、相手が『こうしよう!』と思った判断にこちらが余計な口出しをしてしまうと、相手に『自分の判断が信頼されていない』と感じさせてしまうわけです。


そして、男は(まぁ女もですが)自分に自信を持たせてくれる人が大好きな生き物であります

また、男は『自分に自信を持たせてくれる女性』、換言すれば『自分のことを尊敬してくれる女性』に対して優しく接しようとします。本書の説明を借りると以下の感じです。

妻が自分のことを尊敬しているという自信が男にあれば、彼女が飛びかかってるのではないかと身構えたりする必要はない。妻が自分の味方だとわかっていれば、男はリラックスして、自信を持つことができる
(中略)
男は安心感があれば、心に秘めた思いを妻と分かち合おうという気になる。そこに親密さが生まれる。(p32)

要するに、男は『彼女(あるいは嫁)に尊敬されたい!』と思っているわけです。彼女から『私は最高の男を彼氏にした!』って思われたい、『自慢の彼氏!』と言われたいわけです。『愛されたい妻と尊敬されたい夫』っていう本があるくらいには男は女に尊敬されたい生き物です。そして、男はそうやって自分のことを尊敬してくれる女の子のことを大切にしようとします。

ですので、彼に親身になってもらうためには『普段のコミュニケーションから彼に尊敬のメッセージを伝えよう!』というわけですね。


であるにも関わらず、反対に、相手に対して『もっとこうした方がいいよ』『なんでもっとこうしないの?』と口出しやアドバイスをしてしまう事がままあります。これは『あなたをあまり尊敬していません』というメッセージになっちゃっているわけですね。これは彼からすれば『この子と親密な関係をキープしたい』というモチベーションが下がることになり、結果的には二人の親密度が下がってしまうわけです。結構よく見るやつですねー。


でもこれって、冷静に考えればおかしいんですね。なぜなら、彼と付き合うときは、彼のことを優秀!この人は尊敬できる!と思って付き合ったはずであります。

さらに言えば『一人でもうまくやっている彼』に惚れて結婚という決断を踏み込んだはずです。ですので、結婚した後に『この人はダメ』的な扱いをするのは結構おかしな話なんですね。

自分が『私は最高の男を夫にした!』という自信さえ持っていれば、パートナーに対してアドバイスなんてせず、彼の判断に任せられるはずでもあります。したがって、『彼に判断を任せれない』というのは、実は『自分の選択に自信が持てないことの裏返し』でもあるわけですね。むしろ、ローラさんは

彼の選択を否定する行為は『自分は間違った選択をしました』と告白しているのと同じだ。

ともおっしゃいます。自分で選んだ相手なんだから信頼してあげましょうって話ですね。


ってなわけで、話が逸れましたが、要するに、

・仮にあなたが間違っていると思っても、彼の判断に対して否定をしないこと。
・そうすることで、夫に対して『あなたを尊敬しています。信頼しています』というメッセージを伝えられる
・そして、男は自分を尊敬してくれる女性に優しい態度をとる。
・したがって、尊敬の態度(口出しやアドバイスをせず、判断を任せる)を見せることで、彼との親密さが増す

って話です。

持つべきマインドとしてはこんな感じですね。

彼を信頼してあげる、期待してあげるというのが大切です。

ちなみに本書では”夫が夫らしくなる魔法の言葉”として、

『あなたがそう言うなら』
『あなた次第よ』
『あなたはどう思うの?』
『あなたが決めて』
『あなたの好きにしていいよ』

というフレーズが紹介されています。短いフレーズですが、『あなたを尊敬、信頼しています』という意味が含まれている言葉です。


section③
なぜ、夫をコントロール
しようとしてしまうのか

ともかくは、『彼をコントロールしようとしない事!』という話でした。コントロールしようとすることで関係が悪化してしまうわけです。

では、『そもそも、なぜコントロールしようとしてしまうのか?』という話ですが、それは、一言で言えば、

自分を守るため

なんですね。

本書では以下のように書かれています。

もし自分が主導権を握っていれば、物事は思うようになるはずだという子供っぽい考えを持つ女性は多い。例えば、私がパートナーに昇給を願い出ればいいのにと言ったのは、ただ単に役に立つアドバイスをしているつもりでいたからだ。
(中略)
理性的に考えれば安全だと分かっていても、なかなか人を信用できない人というのは、自分の中の恐怖に反応しているのだ。
私の恐怖心は、自分自身のもろさ、つまり喜怒哀楽の最大のつぼを隠そうとして長い間に身についた条件反応だということがわかった。自分のもろさをさらけ出すことはみっとも無いことだと思っていた私は、それを知られたくなかった
しかし、皮肉な話だが、私が一番愛おしく感じ、心の繋がりを感じることができるのは、その人自身の恐れや喜び、罪悪感、望み、悲しみをさらけ出すことのできる人だった。

親密さとコントロールすることとは、まったく相反するものだ。どちらかを選べば、もう一方は手に入れられない。

(p22~25)

つまり、彼をコントロールしようとしてしまう理由は、自分の思い通りに物事が進まなかった時に自分の素のリアクションが出るのが怖いからなんですね。彼を自分の思い通りにコントロールしようとすることで、自分のボロが出ないようにしているわけです。しかし皮肉な事に、ボロを隠そうとして彼をコントロールしようとするその行為自体が、彼との距離を作ってしまっている、という話ですね。

そう考えると、よくありがちな『彼のためにアドバイス』『彼のためにダメ出し』といった彼をコントロールしようとする行為は、『彼のため』と言いながらも『自分のため』になっちゃっているわけですね。『彼にとっての正解』ではなく、あくまで『私が思う彼にとっての正解』を押し付けているに過ぎません。

そんなわけで『相手に対して口出しをする』=『自分の思い通りにコントロールしようとしている』のと同じなんだ、という自覚を持つのが大切であります(恋愛に限らず)。自分が安心したいがために、相手を自分の思い通りにコントロールしようとしてしまうわけですね。


そして、そもそも論ですが、そもそも他人をコントロールする事自体が不可能でもあります。本書でも

パートナーの行動を批判したりコントロールしようとしてはいけない。
(中略)
ただ、私が言いたいのは、結婚生活の問題の全てがあなたのせいだ、ということではない。パートナーにも改善すべき点はたくさんあるはずだ。しかし、それはあなたがどうこうできる問題ではないし、しょせん彼を変える事はできない。あなたが変える事が出来るのは、あなた自身だけだ。(意訳)

と書いているんですね。これは非常にごもっともであります。つまり、『馬を水辺に導くことはできるが、馬に水を飲ませることは出来ない』なんて言葉もあるように、人は自分の行動を自分で決めているため、他人の行動というのはこちらがコントロールできない、という事です。簡単に言えば、『他人を自分の思い通りに動かす事は不可能だ』ということです。

ですので、要は『そもそも他人はコントロール出来ないという事実を受け入れよう!』という話ですね。そしてその上で、コントロールできないもの(主に他人)をコントロールしようとするのをやめて、コントロールできるもの(主に自分)をコントロールしていこうぜ、というのが、ローラさんの主張であります。

まぁ冷静に考えれば、自分だって他人の思う通りに動くわけではないので、他人はコントロールできない、というのは至極当たり前であります。この辺りのマインドが『選択理論心理学』『アドラーの課題の分離』あたりと近い考え方ですね。

例えば夫婦で言えば、夫に『家事を手伝って欲しい』と願い、そして期待するのは当然のことですが、だからと言って、夫が家事を手伝ってくれなかった時に『なんで手伝ってくれないの』ととやかく言うのは違うよね、だって他人はコントロールできないのだから、といったイメージです。

てなわけで、要点としては

・口出しやアドバイス=彼を自分の思い通りにコントロールしようとする行為だと自覚しよう
・そもそも他人はコントロールできない事を理解しよう
・自分の思い通りにしようとするのではなく、彼の思う通りに任せる事が親密度を深める

という話です。これは恋愛関係に限らない話ですね。


section④
自分の願望は素直に伝えること

では、『じゃあ例えば彼に家事を手伝って欲しい、旅行に連れてって欲しい、そういう時はどうすればいいんですか?これも自分の中で抑えろってことですか?彼に伝えちゃいけないんですか』っていう話ですが、これも少し違うんですね。というのも、本書でローラさんは、『自分の望みはしっかり伝える事!』と明言しているんですね。

私たちは自分の希望を口に出すことは礼儀に反し、思慮に欠けると言われてきたが、それはまったく真実に反している。自分が何を欲しているかを知り、それを表現することは自分に正直になることであり、自分に正直な人は魅力的である。それと反対の人は裏工作をする。そういう人は嫌われる。
もう一つの選択肢は、自分の欲求を無視することだが、それでは生きていくためのエネルギーも、満足感も得ることは出来ず、不機嫌になる。そういう人は見るに耐えない。

自分というものを心得ていて、自尊心のある女性は、夫に一言、『私はこうしたい』と言うだけである。

p83より

要するに『私は〜したい!』が素直に口に出せる人は魅力的に映るよ、と言っています。

これは僕自身、非常に同意するところです。

そして面白い事に、男性は自分を慕ってくれている子に『〜したい!』と言われると、勝手にそれに応えようとするんですね。

『そんなことはない』と思うかもしれないが、男性というのは女性が大好きなものを雨あられと(激しく浴びせるように)プレゼントしたいものだ
あなたが彼に尊敬の念を抱いていることが伝われば、『車が欲しいわ』とか『子供をサマーキャンプに行かせたいの』とか、”何がしたいのか”を言うだけで十分なのだ。
『サレンダードワイフ』を持つ夫は、妻を幸せにすることを最重要の目標としているので、いつでもこうした言葉に喜んで応えてくれる。
知り合いの男性で、奥さんが試着室にいる間ハンドバッグを持っている人や、寒い時に自分の上着を奥さんに着せてあげる人や、頭痛薬を買いに店に走る人を見ると、女の幸せのために男はそこまでがんばるものなのかと思う。

p83より

要は、男という生き物は、自分のことを尊敬してくれてる女性に対して『何かしてあげたい』と思うわけです。ですので基本的には、彼の判断を信頼してあげて『あなたのことを尊敬してます』というメッセージが伝えられていれば、『〜したい!』と素直に自分の望みを言えばおおかたそれは叶えてくれるよね、という話です。

特にキャバ嬢に貢ぐおっさんなんかはまさに良い例ですよね。

確かに僕も、女の子が『見てこれ可愛くない?私こういうの好きなんだ〜』と言ってるだけで、おじさんが『俺買ってあげようか?』と言っている光景を山ほど見てきました。

ともかくは、『私は〜したい!』は素直に口に出そう、という話ですね。(それができたら苦労しないわって話かもしれないけど)


section⑤
彼が応えてくれる
正しい願望の伝え方

ただ、『自分の望みは伝えよう』と言っても、伝え方にポイントがあります。それが、『コントロールの形で伝えないこと』です。本書で言えば、以下の2箇所が参考になります。

男性にあれこれやり方を指図するのは、非常に効率が悪い。それなのに、女は欲しいものを手に入れるために、彼にそれをどうやって手に入れるかをいちいち説明することも珍しくない。

夫というものは、コントロールされているとか、ないがしろにされていると感じると、無気力になってしまう。そんなことをすれば、彼はケチで、よそよそしい態度を取るようになる。

例えば、レストランでウエイトレスが注文を取ろうとしている時に、客がアプリコットチキンを注文する代わりに、その調理法を説明し始めたとしたらどうだろう。チキンの下ごしらえから、味付け、(中略)、挙句に美味しく見える付け合わせについてまで指示したら、当然、ウエイトレスはあなたのことを『嫌な客』だと思うだろう。

幸いにして、ウエイトレスに調理法を教えたりせずとも、ウエイトレスはコックに注文を伝え、コックが調理したものをテーブルに運び、みんながハッピーになる。

夫もこれと同じである。あなたの望みだけを伝え、あとは彼に考えてもらうようにしよう。そうすれば彼は、最善を尽くしてそれを手に入れてくれる。『新しいドレスが欲しい』と言うのと、『誕生日に特定のデパートに行って青いドレスを買ってきて』というのとは訳が違う。
p86(意訳)

ここで言っているのは、『こうしたい』という”目的”(や願望)は指示しても良いが、『そのためにこうして』という”手段”は指示しない方がいい、という事です。

例えば、『夜ご飯の材料を買ってきてくれると助かるな』と言うのは”目的”を伝えているだけなのでオッケーです。対して、『ご飯の材料を買ってきて欲しいんだけど、なる早で!はい早く服きて!あと余計な買い物しないでね!』と言うのは”手段”を指定してしまっているので良くない、という事になります。

ともかくは、『目的は伝えるけど、手段は夫に考えさせる』というマインドセットを持つことが大切だ、ということです。


では、続いてこちら。

要求する妻は多いが、そのせいで夫の機嫌を大いに損ねている。『ティファニーのショーウインドーにあったネックレスを買ってくれるわよね』というのは要求である。『〜してくれるわよね』『どうして〜してくれないの?』『あなたに〜して欲しいんだけど?』という言い方は要求になる。なぜなら、それはコントロールを含んだお願いだからだ。

夫に何かを要求することは、相手をコントロールしようとすることである。すると、彼は抵抗し、頼んだことをしてくれなくなる。

自分の望みを口にするときは、期待をしてはいけない。『そうなればいいな』と思うようにしていれば、どんなものでも手に入れられる。何が欲しいのか口にするのを恐れてはいけない。夫にはとても手が出ないと心配してもいけない。あなたは要求しているのではないのだから。もしかしたら、彼があなたをびっくりさせてくれるかもしれないではないか。

的な感じで書かれています。なんやら難しい書き方をしていますが、要するに、前半で言っているのは『要求=彼をコントロールしようとする事』という、先ほどのsectionで言ったことと同じです。相手の行動を変えようとしない方がいい、という話ですね。


ここで重要なのは、次です。つまり、願望は伝えた方がいいんだけど、彼が思い通りに動く前提で願望を伝えてはいけない、ということです。

例えば、『私はこうしたいんだけど』と言って、それを『えー今はやだ』と拒否されたとします。それに対して『え〜』と言ったり、不機嫌になったりしてはいけない、という話です。なぜなら、不機嫌になってしまったらそれは彼が思い通りに動く前提、つまりコントロールしようとしている、という事になるからなんですね。

ですので要は、

・彼に『この人ならもしかしたらやってくれるかも』と期待して、『こうだといいな〜』『こうしてくれると嬉しいな〜』という”願望”を伝えるのはオッケー。むしろ伝えるべき。

・でも期待に応えてくれなかったからと言ってあーだこーだ言うのはやめましょう。

・だって他人はコントロール出来ないんだから。

という話です。よく言う『いい意味で期待しないほうがいい』ってのはこのことですね。


というわけで、以上の2つをまとめると以下のような感じになります。



『なんでも言い合える関係が大事』とはよく言いますが、それは『願望を言い合える関係』であって『行動の要求をし合う関係』では無いわけですね。例えば『たまには旅行に連れてって欲しい』と思っているなら、『たまにはこういうところ行きたいな〜。ゆっくりできる時でいいから、いつか一緒に行けると嬉しいな』と言えばいいわけで。『今度ここ連れてってよ!』というのは彼からしたら『使われてる』『コントロールされている』ような印象を感じさせてしまうわけですね。

ともかく、願望は伝えても相手がそれを叶えてくれると期待はしない事が大切です。


section⑥
彼の提案を受け入れる時と断る時の判断基準

で、ここまで来ると『彼を思い通りにしようとしちゃいけないのはわかった。自分の願望も伝えようっていうのもわかった。じゃあ、もし彼の言うことや考えることが、こちらにとって本当に嫌だった場合はどうすればいいんですか?それでも甘んじて受け入れろってことですか?』という方も出てくると思います。

そこんところどうなんですか?というと、そういうわけでもないんですね。というのも、本書では『彼の言うことに従えとは言っても、嫌なことにはNOを言おう』と、しっかり明言されているんですね。

夫の考えに同意しないでいいのは、彼があなたの精神的、肉体的幸福を犠牲にする事を要求してきた場合だ。もし、彼が『あなたはフルタイムで仕事をするべきだ』と考えたとしても、そんなに長い時間子供たちと離れるのは耐え難いと思うのなら、その必要はない。反対に、彼が『あなたは母親業に専念すべきだ』と考えたとしても、一日中家にいるなんて頭がおかしくなると思うのなら、そんな事をする必要もない。

夫の要求が深刻な精神的、肉体的苦痛を感じるかどうか自問自答してみよう。もし、彼が休みは二人でグリーンランドへクジラ捕りに出かけようと考え、あなた自身は休みは別のことをしたいと思っても、深刻な精神的、肉体的結果を招かないならば、彼と一緒に出かければ良いのだ。理想的な休暇ではないものの、それによってあなたの健康が脅かされるわけではない。

ポイントになるのは、あなたが彼をコントロールしていないことである。あなたは自分と自分の限界を見ていればよい。
典型的な例では、妻が一歩引くと、夫は、妻が不快を感じたり不幸になるかもしれない事を『やれ』とは言わなくなる。そうなれば、女性は『何が欲しいか』を言うだけでよくなり、パートナーの同意を得ようとは思わない。

p54

これはわかりやすいですね。つまり、普通の場合は、『自分もやりたいこと=受け入れる』『嫌な事=断る』、そして、『そこまで嫌でも好きでもないこと』は、断ったり受けたりする。ところが、サレンダードワイフはこの『そこまで嫌でも好きでもないこと』を従う事によって『あなたを信頼、尊敬してます』という事を相手に伝えるわけです。そして、夫はあなたを喜ばせようとするようになる、というわけですね。ですので、基本的な姿勢としては、先ほども言ったように『彼の判断を信頼してそれを受け入れる』。

とは言ってもすべて従えってわけではなくて、『自分が苦しいと感じる』『絶対に嫌!と思う』ってものに関してはしっかりと『ごめんなさい』と断ろうという話ですね。例えば、あなたが辛い食べ物が苦手だとして、夫に『蒙古タンメン行こうぜ!』と言われた時に『いいですよ』と言うのは違う、みたいなイメージです。

つまり、彼の誘いが精神的、肉体的苦痛を感じる場合はしっかり断りましょう、というのがサレンダードワイフの考え方です。


ちなみに、『ではどう断るのか?』っていう話もありますが、それはシンプルに『こういうのはやだ』と伝えることであります。

ここでもさっきと同じで、行動の要求はせずにあくまで『願望』の形で伝えることが大切だ、とローラさんはおっしゃいます。例えば、辛いものが苦手なのに蒙古タンメンに誘われたとしたら、『ごめんね、私は辛いのが苦手なの』『だから蒙古タンメンに行くのはやだな、って思う』と伝えるイメージです。そうやって自分が何が嫌かを伝えていれば、今後彼も蒙古タンメンに誘ってきたりはしなくなるわけです。



まとめ

ってなわけで以上が『サレンダードワイフ』の解説でした。今回の話をざっとまとめますと、

・とにかく相手を自分の思い通りにコントロールしようとしないこと!

・コントロールしようとする=相手の判断を信頼してないことの証明になっているから

・また、アドバイスや口出し=単に自分にとって都合のいいようにコントロールしようとしてるだけ、という考え方もある

・そもそも他人はコントロールできない

・彼のやることなすことに対しては、『あなたがそう言うなら』と彼の判断を信頼する。

・自分の願望は『行動の要求』ではなく『願望』の形で伝える

・彼の言うことが『精神的・肉体的に苦痛な場合』には、『ごめんなさい、私はそういうのは〜だから苦手なの』と断ること

という感じでした。

ちなみに、これらの考えをもとに、冒頭の『彼をコントロールしようとする例』を改善すると以下のような感じになります。(僕解釈)

・彼の前で『はぁ〜。あなたがもっと片付けを手伝ってくれれば楽なのに』と愚痴をこぼす
→のではなく、『片付けを手伝ってくれると私がもう少し楽になるな、って思うんだけど、あなたはどう?』と相手の意見を聞く

・彼のファッションを見て『え、これそのまま着て行くつもり?』と否定を暗にほのめかす
→のではなく、『彼はこういうのが好きなんだ』と受け入れる。(どうしても一緒に歩くのが嫌なら『こういう服装だと周りに見られる感じがして私は少し緊張しちゃうんだ』と言う感じ)


・彼が料理するところへ『もっとこうした方が効率的だよ!』とアドバイスをする
→のではなく、彼のやり方に任せる

・美容室に行こうとした彼に対して『あんまり短く切りすぎないでね』と行動を規定、指示する
→のではなく、彼のセンスに任せる(もし夫が短髪になるくらいなら死んだ方がマシと思うならば『短いと恥ずかしい』と伝える)

って感じですね。

今回は女性向けっぽく書きましたが、これは男女を逆にしても同じなのかなーと思います。もっと言えば男と男、女と女同士の関係でも『他人はコントロール出来ない』って部分は同じですので、この辺は覚えておいて損はないかと思います。

ただまぁ、再三言いますが、あくまで『ローラドイル流、こうやると結婚生活うまくいくんじゃね?』ってだけであって、『夫婦はこうあるべきだ!』と価値観を強要しているわけではありません。ですので、今回の内容を読んでみて、試してみようかな、と思う方は一部でもいいので試してみればいいし、今のままでいいって人は『そういう考えもあるんだね』程度で流してみるのもそれはそれで正しい、と僕は思います。


ってなわけでまた次回。

最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m


p.s.

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参考文献

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