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TWICE、BTS、徴用工……… 過熱するヘイト

この程の日韓関係の急激な冷え込みには「ちがう、ちがう、そうじゃない」感を強く覚えます。
先月から話題となっている韓流アイドルBTSやTWICEのTシャツ問題、徴用工の賠償問題は結局どれも先の大戦に対する歴史認識の乖離に収斂されます。

冬ソナで感じたヨン様への違和感から韓流文化自体を受け入れられなくなった人間ですのではっきりいって韓流アイドルなんてどれも顔とスタイルが一緒でよく判別がつくなと感心さえしているのですが、BTSは世界的にはいま最も勢いのある韓国のアイドルグループとのこと。
姉が韓国に行ったこともないくせに韓流に詳しいので機会があればいろいろ聞き出したい。

・BTSのMステ出演中止は妥当な判断

そのBTSのメンバーの一人が着用していたTシャツに1945年の原子爆弾投下を彷彿とさせるきのこ雲のイラストが描かれていたことで日本で大炎上しました。
それはそれは、日本は有史以来後にも先にも記録にない核兵器投下を唯一経験した国ですから怒るなというほうが無理な話です。

しかも、着用したBTSのメンバーは謝罪を一切することはありませんでした。ふつうなら、公の場で特定の人を傷つけるような表現や言動をしてしまった場合は謝罪するはずですよね。世界を舞台に活躍しているのですからなおのこと。

このことが影響したのか、11月のテレ朝系『ミュージックステーション』に出演できないという事態に陥りました。ユダヤ系の人権団体からも謝罪を要求され、ようやくBTSの所属事務所が謝罪。
所属事務所から11月13日付で出された謝罪文には

・BTSをはじめ、全ての所属アーティストの活動において、戦争と原爆などを支持せず、これに反対しますし、原爆投下で被害を受けられた方々を傷つける意図は全くなく、今後もないことを明確に明らかにします。

・原爆のイメージが入った衣装の着用に関して、上記のように一切の意図はなく、衣装自体が原爆被害者の方々を傷つける目的で製作されたものではないと確認されていましたが、当社が事前に十分検討できず、アーティストが着用したことによって原爆被害者の方々を意図しないまま傷つけたこと、及び、アーティストと原爆のイメージが重なるように見えたことで不快感を与えたことについて、心から謝罪します。

とあったんですが、正直、どんなに貶める意図がなかったにせよあのイラストを見れば誰だって不愉快になります。要するに、世界を股にかけている割には知識も教養もなかったということでしょう。

それに、よりたちの悪いのが一部のBTSファンです。もちろん、最低限の良識をもって応援しているファンはきちんとBTSを批判していますが、「ジミン(メンバーの一人)はそういう目的(被爆者を貶める)で着たわけでもなくて、単に知らなかっただけ」(知らなかったことが問題なんですが)、「過去に着用したTシャツくらいでMステに出られないなんてそんなのおかしすぎる」などと擁護する声もありました。同じことを被爆者の目の前で言ったらどうなるか想像してほしいものです。

日本でもジャニーズやAKBグループの起こした不祥事に対してファンは全面擁護する傾向にあります。ファンであったとしてもダメなものはダメ。愛するグループ、メンバーを思う気持ちがあるのなら当然のこと。

ところが、この問題をここぞとばかりに韓国ヘイトへと昇華させようとする迷惑なオジサンたちがでてきたのでこれがとても厄介なことになりました。
BTSがこの騒動の直後東京ドームで公演を行ったのですが、それを聞きつけるや否やマッハのごとくいい年こいたオジサンたちが公演を中止させるべく集結しました。ただ、いかなる理由があったとしてもアーティストの演奏する権利を侵害してはいけません。
これは、一時期話題を集めたRADWIMPSの『HINOMARU』問題のときも同様です。この曲は、戦時中の愛国的価値観をそのままコピペしてきたようなダサい歌詞だったので、右翼やネトウヨの方たち以外からはとても評判が悪かった曲です。しかし、誰もこの国を愛する気持ちを批判していたわけでもないのに彼らは「この国が好きで何が悪い!」と見当違いな挑発的発言をしたため、さらに炎上しました。実はこのときも、RADWIMPSの公演を中止させようという機運が高まっていましたが、純粋にRADWIMPSの音楽が聞きたくて会場に足を運んでいるファンの楽しみを奪うのはどうなのか、会場の中で『HINOMARU』を歌唱するのは彼らの自由ではないかとの声がRADWIMPSを批判する人たちのなかからもたくさん出てきたのでことなきを得ました。

韓国嫌いをこじらせてしまい、BTSの演奏権まで侵害しようとしたネトウヨのみなさんに一言申し上げておきたいのですが、原爆投下は米軍によるジェノサイドつまり戦争犯罪にあたるわけですがネトウヨのみなさんが崇める安倍晋三先生は、国会で原爆投下がアメリカの戦争犯罪であるとはっきり言ってないってこと、ご存知でしょうか。

韓国や中国に対しては「慰安婦問題はなかった」、「南京事件は存在しなかった」、「徴用工など存在しない」などと恫喝できるのに、アメリカ様にはなんにも言えないんです。ホントに弱虫な安倍晋三先生には、勝てるはずもない相手の戦艦に体当たりしてバンザイしていたころの日本の精神力を思い出してもらいたいものです。


・TWICEの慰安婦支援キャンペーンに難癖をつけた迷惑な人たち

一方で、こちらもアジア地域の女性アイドルグループでは人気、知名度ともにダントツであるTWICEにも北海道の元議会議員のオジサンが噛みつきました。TWICEは、戦時中日本軍の相手をさせられていた慰安婦の女性らの名誉回復のための支援を呼びかける目的で慰安婦Tシャツを着用していました。それが「慰安婦は高給取りの売春婦だ」とデマを流すのが日課でほかになにをしているのかさっぱり分からない「充電中」のオジサンの目に留まってしまったのです。(お隣の国のチャリティー活動に難癖をつける暇があったら、近くの図書館にでもいって慰安婦問題を勉強してほしいものです。)

そもそも、このオジサンは慰安婦施設を日本の軍部が主導して作っていたという公式文書が防衛省に所蔵されていることを政治家であるくせに知らないんでしょうか。さらに言えば、日本軍の従軍慰安婦の実に八割が日本人です。つまりこのオジサン、日本人の慰安婦をも「高給取りの売春婦」とみなしていることになります。世の女性たちはこのオジサンの事務所に火炎瓶を投げ込むくらい怒ってもいいのです。(本当にやっちゃだめです。)
もっと問題なのは、このオジサンがTWICEに対して怒りをぶちまけているツイートが数万単位の人によって拡散されていることです。リツイートやいいねをするということは、このオジサンの考えに賛同しているということ。

・賠償金を払う責任は韓国政府にある

ただ、TWICEも韓国のアイドルに無縁な愛国オジサンを怒らせるほど影響力を持っているのであればもっと効果的なやり方があったはずです。
というのも、実は1965年に日本と韓国の間で「戦時中の日本軍の行為にかかる賠償義務はこれ以降日本政府に求めることはしない」との約束がなされているからです。
この約束を履行させる見返りとして日本政府は多額の経済支援金を韓国政府に渡しました。
もちろん、1965年以降に表面化してきた慰安婦問題や日本でブラック労働を強いられた徴用工問題の被害者への国家としての直接的な謝罪はしなければなりません。が、これ以上日本政府に賠償請求をしないと約束した以上、戦争被害者に対しての補償を担う責任はそう約束した韓国政府のほうにあります。
韓国政府はそこをすっ飛ばして日本に賠償を求め続けるから余計に問題が複雑化していることを認識していないようなので、TWICEのみなさんには自身の影響力をそっちに使ってほしいものです。

・被害者にはなんの罪もない

そもそも、慰安婦問題にしろ、徴用工問題にしろお互いが間違ったアプローチをしあっているのでなかなか解決の糸口が見つかりません。なぜそういったことが起こり得るのかといえば、被害者を間に入れずに政府の間だけで問題を解決しようとしているからです。これらの問題への対応で日韓両政府が批判されることはあっても、けっしてその矛先が被害者に向けられてはいけません。被害者にはなんの罪もないからです。
その認識を日本、韓国の人たちがきちんと共有するべきではないでしょうか。

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