変わるきっかけ
カメラ歴は比較的長いほうだと思う。
少なくとも10年以上は写真という趣味を持っている。
しかし、ここ最近写真を撮っている時間によく思うことがあって、それは構図の偏りのことである。
自分が撮る写真は被写体を左に配置し、右に余白を設けることが多いのだ。
私は撮影した写真のメインの投稿先にX(旧Twitter)を使用しているのだが、Xは最大4枚まで写真を載せることができる。
つまりどういうことが起きるかというと、4枚のうちに似たような構図の写真が並んでしまうことになる率が高いのである。
これについて、投稿を見てくださったときに、似たような構図が並んでいては、正直面白くないだろうなと悩んでいた。
ただ、長年で染みついたクセのようなものはすぐに直るわけでもなく、無理に違う構図を混ぜようと意識して撮ってみた写真は、自分の中では納得のいかないものであった。
簡単にいうと日の丸構図を避けていたのである。
そんななか、とある本に出会うことになる。
最近寝る前の読書を習慣としているので、先週の土曜日に新しい本を探しに本屋へ行った。
これはいいなと思う本を見つけ、ついでだと写真関係のコーナーも覗いてみた。
そこでたまたま見つけた本がある。
幡野広志さんの「うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真」という本である。
幡野さんという方は知らなかったが、ヨシタケシンスケさんは知っていたので、イラストで気になって中身を覗いてみた。
その場で、これは良い本かも…!と思って、購入した。
自宅で最後まで読んでみたが、後半はカメラの設定や現像など、専門的な内容ではあるが、前半部分は写真を撮る意味や、「良い写真」とはなにかについて気づかされる内容であった。
この本を読んで、自分なりに感じたことを一言で言うと、日の丸構図でも良いから、とにかく好きにたくさん撮れ!であった。
そうか、構図なんてこだわる必要なかったんだ。
自分が撮りたいと思った瞬間をそのまま撮ればいいんだ。
そう思ったのである。
次の日、日曜の朝、朝ごはんを作ろうと台所へ向かう途中でふと玄関に目が行った。
朝陽が玄関に降り注ぎ、適当に置かれていたスリッパが照らされていた。
その時、これはなんて良い光なんだ…と思い、急いでカメラを取りに行き構図なんか気にせず、見たままに1枚撮影した。
雑に置かれたスリッパだったが、これを撮影して、「朝陽を浴びるのはなんて気持ちのいいことなんだ」と思った。
なぜカメラを向けて、それを撮ったのか。
それは人間が太陽の光を浴びることの重要性をそのシーンに感じたからである。
ああ、そうか。
何かを感じて、撮りたいと思った瞬間をそのまま撮ればいい。
昨日読んだ本がそう教えてくれたのである。
その日の夕方、次は夕陽に照らされた庭に美しさを感じて撮影してみた。
いつもどおりXに投稿するために4枚撮影してみたが、以前のように4枚が偏ることなく、それぞれに印象のある写真が撮れたと思う。
今までのように日の丸構図を避け、構図をじっくり考えてからシャッターを切るということをやめて、「良いな」と思った瞬間にそのまま撮影してみたのである。
結果的に自分で言うのも変だが、とても良い写真が撮れたと思った。
今まで「良く見せよう」と構図を練ったり、意味のないものまで撮影してきたが、その結果、似たような写真ばかりになり、なにを伝えたいのかよくわからない写真を量産していた。
しかし、今回のように、感動したシーンをそのまま撮影し、なぜ撮ったのかを言葉を添えて説明することによって、見た人に共感してもらえる写真になったと思っている。
ここ最近悩んでいた構図の偏りを解決することができたのである。
これは間違いなく、読ませていただいた本による効果だろう。
いやぁ、良い本に出会えた。
そう心から思えたのであった。
興味が湧いた方はぜひ読んでみてほしい。
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