尊敬される上司は絶対にしない
周囲に「パーフェクト」と言えるくらいに人望がある先輩・上司はいますか?
もしもいるとすれば、きっとその人は絶対に「これだけはしない」という何らかの信念を持っているはずです。人から尊敬されるためには、
好かれることをするのではなく、
嫌われることをしない
方が効果的といえるかもしれません。
実際、好かれることばかりしても、嫌われることも同じようにしていると、周囲は都合のいい時以外近寄ってくることはありません。だって嫌がることをするのですから。
では、特にやってはいけない『嫌がられること』ってどんなことがあるでしょう。
①部下のやる気を摘み取らない
尊敬される上司がまず絶対にやらないこと。
それは「意欲の高い優秀な部下のやる気をなくさせること」です。
人のやる気をなくす方法はいくつかありますが、わかりやすいものでは
・実績に対して適切な評価が行われないこと
・報酬や地位を下げること
・自分の裁量でおこなえる仕事の範囲を狭めること
などがあります。
つまり、自分が好きで楽しいからやっている、信頼しているから我慢できる、という内発的動機を遮る行為をおこなうと一気にやる気が削がれるのです。
これは心理学においてアンダーマイニング効果と言われます。
理想の上司であるには部下のモチベーションを摘み取らないように心がける必要があるのです。
こういう基本的なことができない上司や先輩は数年見ているとすぐにわかります。部下の態度に全て現れるからです。
・何かあってもその上司や先輩には相談に行かない
・不平不満が「愚痴」などの声になって顕われる
・離職率が高い
こうしたことが顕著にあらわれる部署やチームは気を付けたほうが良いでしょう。いや、部署やチーム以前に、上司等を抜擢した経営陣こそ注意が必要かもしれません。
日本的企業の場合、3~5年ほど遡って、定年退職も含めて平均離職率が4%を超える組織は、危険と言われています。
②「脅し」がうまい
自分の言うことや、していることに対して茶々を入れる人がいると腹が立ちますよね。しかし、尊敬される上司は放置することも、頭ごなしに怒鳴りつけることもしません。
ここで効果的なのが、抽象的な脅しの一言。
と言っても悪い意味での脅しではなく、「ケツに火をつける」「責任感を再確認させる」という意味合いで使うものです。
こういったときに具体的な言葉で真っ向から対峙すると、さらなる反発を招き問題にもなりかねません。
たとえば、
「そんなことばかり言ってるとそのうち居場所なくなるよ」
「いざ自分が同じ立場になった時、誰も助けてくれなくなるよ」
といった漠然とした言葉には恐怖が宿ります。
これを心理学ではフィア・アピールと言います。
たとえば、ルールを設定しているにもかかわらず、勝手な理屈でルールを無視し、チームワークを乱そうとするメンバーがいたとします。
「仮に君の言うとおりに進めるとして、問題が起きた時に
怒りはしないけれども、誰かに助けてもらうと思ってはいけないよ?
君が我を通して行うことで、自業自得なのだから。
また、失敗した場合は責任を取る覚悟があるかい?」
と問うてみるといいかもしれません。
反発してくる相手への対抗策として、意味深なセリフをいくつか用意しておくといいかもしれません。
③たとえ自分が悪くなくても部下のせいにしない
メタ認知とは、高次(メタ)なレベル、つまり視座が高く、抽象的あるいは客観的な視点で、知覚・情動・思考などの認知活動を自覚しつつ認知することを指します。そしてこの能力が高い人ほど、仕事や勉強の能力が高いとされます。
尊敬される上司のほとんどは、冷静に自分を分析し問題解決できるため、このメタ認知能力が高いと言えます。
たとえば、なかなか気を許してくれない部下に対しては、
「態度の悪い奴だ!」
と自分の主観と感情ベースで心を動かすのではなく、
「現状ではトラブルが発生したときにしか話しかける機会がないから、
私から話しかけると緊張して萎縮してしまうんだろう。
一緒に取り組むプロジェクトを用意して、雑談など、
トラブル時以外でのコミュニケーションを増やそう」
というように、自分を取り巻く環境を俯瞰してどこを改善すればいいか理解することができます。
そもそも、部下の育成と言うのは、上司が部下を育成しやすい環境を用意してあげるところから始まります。主観的なモノの見方では、部下の育成が思うように進まないのは当然のことなのです。
尊敬される上司
尊敬される上司の姿を見ていると、あることに気がつくはずです。
それは行動の根底に「自分に好意を持たせる」という意図があるという点です。デキる人は、周囲の一人ひとりから嫌われる条件というものを把握したうえで、逆に好かれるように心がけているのです。
好かれるのには非常に時間がかかりますが、嫌われるのは一瞬です。人から尊敬されるためには、陰での涙ぐましいまでの努力があるのかもしれないと言うことでもあります。
たとえば、私は父が若干苦手です。
もちろん、子供の頃のあることがきっかけですが、子供の頃だけに、そして何年経っても忘れられないために、敬遠するような事態となります。
父は少々子供のような行動をとるところがありました。
人が困るようなことを、ついついイタズラ心でやってしまうのです。
みなさんも多少経験はありませんか?
ペットを飼っている人は、ちょっとイタズラしてみたり。
アレとおなじことを「ちょっと」ではなく、ついついノリノリでやりすぎてしまうです。
私が子供の頃、元々三半規管が弱いのか、乗り物はあまり得意ではありませんでした。だから、毎度家族で出かける際に、車に乗るのは好きではなかったのですが、父はわざわざ信号前後で、ほんの少しブレーキを強く踏んで見たり、青になるとノッキング気味に発信させてみたり…ということを繰り返していました。
もちろん、私は心底弱かったので即リバースです。
挙句、車内が汚れると怒りだす始末。
そのせいで、私は20歳になって自動車免許を取るまでの間に、車に乗ったことがあるかい数は2桁もありません。
小学っ好高学年になった頃には、
「家族でどこか旅行に行く」
「家族で外食する」
と言った時に「車で」と言われた瞬間、どんなに怒られようが、どんなに喧嘩しようが、絶対に家から一歩も出ませんでした。つらい思いでしかできないと確信していたからです。
免許を取ってから、私は1つの誓いを立てました。
「自分が運転する時は、絶対に同乗者を気分悪くさせない」
と。そういう運転を常に心がけると。
東京に住み始めた頃に車は売ってしまって今は運転していませんが、それまでは車が無ければ生活が成り立たない地域に住んでいました。その頃は、酔いつぶれて「気分が悪い」という子にさえ、前後左右のGを気づかせないように運転するスキルを身につけていました。
「自分がされて嫌なことは、他人には行わない」
は、小学生の頃には強く意識するようになりました。
今でも他人が運転する場合は、すぐに気分が悪くなります。
だから移動中に吐かないためには寝ていることしかできません。
本人は悪気もなく、ちょっとした冗談のつもりだったのかもしれませんが、周囲が同じような受け取り方をするとは限りません。相手目線…つまりは客観的に考えられない人は、この観点が抜けているのです。
みなさんも相手を慮って行動するリーダー、上司、あるいは親を目指してください。どんな理由があったとしても、相手が嫌がることをしていれば嫌われるのは当然なのです。
それが、
「上司だから」
「先生だから」
「親だから」
という理由だけで甘え、好きになってもらえると思ったら大間違いです。
それは能力ではなく、行動してきた道のりでしか、培うことはできません。
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