【コラム】薬の効果は、サイエンスというよりアート!?エビデンスを読み、活用することの意味とは?
世界的にも有名な医学雑誌「The New England Journal of Medicine(以下、NEJM)」に、衝撃的な論文が掲載されました(Vazquez, et al.2024; DOI: 10.1056/NEJMoa2311708)。
結論から申し上げますと、慢性腎臓病を患う患者さんに対して、エビデンスに基づく治療介入を行っても、標準的な治療介入と比較して、1年後の入院率に差はなく、急性腎障害が多いかもしれないという結果が示されています。
この【コラム】では、エビデンスを活用することの重要性について言及してきました。しかし、エビデンスを重視した治療判断を行っても、必ずしも患者さんの健康状態が改善しない可能性が報告されているわけです。そうであるなら、エビデンスと呼ばれるような医学論文を読む必要はないのでしょうか。
今回の【コラム】では、NEJMに掲載された論文について解説するとともに、エビデンスの活用をめぐる基本的な考え方を整理します。やや抽象的な内容かもしれませんが、お付き合いいただけましたら幸いです。
エビデンスを重視した介入を行っても、患者さんの健康状態は改善しない?
ここから先は
3,274字
/
1画像
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?