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明治時代最高級の木造建築「無限庵」で日本を再発見

こんにちは、デザイナーの堀野美雪です。


デンマークから帰国後、日本の工芸品や建築にも興味がでて「日本の工芸や建築を見る旅」を時々しております。

やって来たのは石川県加賀市、こおろぎ橋を渡って坂を登ったその先に「無限庵」はあります。


「無限庵」は加賀藩前田家家老、旧横山家が明治時代末期に建てた書院です。


大正時代初めに木製自転車のリム※を制作し成功した山中温泉に移築し別邸として使用されていました。

リムとは、自転車などの車輪を構成する部品の一つ。車輪の外縁部にあって全体の形状を支えている硬質の円環。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/リム_(機械)


「無限庵」の「無限」はリムの円環からきた名称だと言います。

仏教の世界において「円」は悟りや真理の象徴であり、形を変えない円 = 無限という感性が日本人には根付いています。

そういえば寺院など日本建築には円窓がよく見られますよね。

「己の心をうつす窓」という意味で用いられており、自己を内省するために作られた窓だったのでしょう。

日本人ながら初めて知りました。これからは海外のお友達にも説明してあげることが出来そうです。

窓といえば、元々浴室だったお部屋の窓も印象的でした。

なんの変哲もない外の景色が、窓という枠に切り取られるだけで美しく感じられます。

窓が額装として機能し、まるで一つの芸術作品として昇華されているのです。

季節によってこの窓は赤くなったり白くなったりすることが想像できます。

次は玄関へ行ってみると、そこには鳩、鳩、鳩づくし。

欄間

「鳩有三枝礼」。

鳩は親鳥よりも三本下の枝に止まり、老いた親鳥の口に餌を運んで親孝行したりする。

人間は尚更礼儀を重んじ親の恩に報いなさい。という意味だそう。

鳩が親孝行というのを初めて知り、昔の日本人の価値観が伝わってくるデザインだなと思いました。そして可愛い。

一番奥の部屋はカフェとして新築されています。
一面の窓ガラスから谷底の川が見える絶景です。

せっかくなのでここで抹茶セットを頂いてみました。

この時「お茶の器は青磁、お団子のお椀は山中漆器です。」と説明を受けました。

この説明がとても重要で、それを知らずに頂くのとではきっと味や感動が違っていたのではないかな、と思います。

少し恥ずかしかったですが店員さんにその感想を伝えると、とても喜んでくれたので伝えて良かったなと思います。

良いものを使うことの大切さ、伝えることの大切さ、体験という価値をここで学びました。

なかなか辺鄙な場所ですが、興味があれば是非訪れてみてください。
http://mugenan.com/wp/

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