2/13 「38歳までに『マイ自殺』をみつけよう。そして財布を投げ捨てよう。」

という話をリライトしながら、ああ、そういえば以前も、こんな女がいたな、とふと思い出した。その彼女も、「生きるのが辛いから、死ぬ日を具体的に決めた。どうせその日に死ぬ、と思ったら、ほかのことはどうでもよくなった。」と話した。

そんな彼女は結局"運命の日"になって連絡をよこしてきた。「きょう会おうよ。遺産相続するよ!」

そして、わたしは「へぇ、そうなんだ。」と言いながら、またいっしょに寿司を食った。帰り際、「遺産相続だよ」といって、ほんとうに財布の中身を丸ごと渡してきた。

「なんかスッキリしたな!」

彼女はそう言って、わたしたちが歩いていた橋のうえから、川に向けて助走をつけた。

彼女は、その勢いのままに財布を川に投げ捨てる。数秒後に、神田川が遠い音を立てた。「全部なくなっちゃった!」「じゃあ、それでいちど死んだことにしようか。」そう笑って、わたしたちは別れた。

あまりに長すぎる人生には、こういう「まるで死のようにすべてがまっさらになる瞬間」が必要になっていくのだと思う。

38歳までにマイ自殺をみつけよう。
そして財布を投げ捨てよう。

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