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【超極私的】逆噴射小説大賞2019 ピックアップ50選

ドーモ、タイラダでんです。よくいらっしゃいましたね。

えー、今更ではございますが、タイトルどおり「逆噴射小説大賞2019」において個人的に「スゴイ」「スキ」「ぼくにはかけない」となった作品をいくつかご紹介させていただきます。

優勝の予想などではありませんし、作品間に優劣をつけるような意図もありません。タイトル通り「超極私的」ですので、「コイツはこーいうのがスキなのね」って視点で見ていただきたいです。

一応、一人一作品ピックアップとさせていただきます。もう、投稿作全てピックアップしたい方々もいらっしゃいますが、それはもはやピックアップとは言わないだろう、と脳内に声が響きましたので。仕方ありませんね。

ではさっそく。

1 東京城、血煙り。(しゅげんじゃさん)

僕は和風の作品であったり、言葉の端々に情感あふれる作品が大好物なのですが、この作品はその両方を満たしているわけです。つまり、まさに僕のために書かれた作品と言ってもいいのではないでしょうか? センス、テンポ、お手本にしたい作品です。

2 悪党の対歌(三宅つのさん)

とにかく会話のセンスがいい。牢屋に入れられた悪党二人が会話するだけで面白いし続きが気になるなんて、そんじょそこらのモノ書きには書けないでしょう。積み重ねてきたワザマエを感じます。

3 Unlocker! 美女の扉と少年の鍵(むつぎはじめさん)

おねショタバンザイ。冗談はともかく、こういう強かな女性をなかなかイメージできない、だから書けない、ゆえに書きたい僕にとっては一つのお手本のような作品です。

4 鏡飆〈かがみ〉の技代記〈テクノクル〉(居石信吾さん)

ドラゴンバンザイ。蒸気駆動の飛行機に乗り大洋横断を図る、最早飛べぬ翼持つ竜人! どこからどう考えても僕のために書かれた作品ではないですか? 「天涙」「飛貂のコート」「”歯”覚」などなどもバッチリ。大好きです。

5 『有権者八百万九十九の独裁』(お望月さん)

たった一人の体に8億票もの有権者が住まう……このアイデア、SFのネタとして最上級のものではないかと思います。周囲の人間が、社会が、そして民主主義という制度が彼をどう扱うのか、考察すればするほど面白い。

6 クトディガリヌの告解(バールさん)

言葉で一つの確固たる世界を作り上げる。言葉で読者をぶん殴る。そのお手本のような作品だと思います。こういうのにあこがれて小説を書き続けているような面もあるのですが、まだまだ道は遠いですね。静かな引きも素晴らしい。

7 終末、駆けるは番の刃(azitarouさん)

必要にして十分な描写と文章から感じ取れるリズム。その2つの相乗効果でスピード感のある文章に仕上がっていると感じました。センスの塊。スゴイ。お手本にしたいくらいです。

8 冥竜探偵かく記せり(遊行剣禅さん)

海外翻訳文学を彷彿させるような語り口で(読みにくいという意味ではないです、念の為)、特殊すぎるシチュエーションに特殊すぎる探偵が挑む。こういうのを、唯一無二、というのでしょうね。是非続きが読みたいです。

9 ダウンフォール・オブ・ザ・トリックスター(牧野なおきさん)

初見時、あまりの勢いとテンポで最後まで押し切られてしまい「なんだこれ」と呆然としてしまった記憶があります。そして卑怯すぎる引きの一言。無限に笑える最強のフレーズですね。ピックアップ書くために読み直して、また笑ってしまいました。

10 スノー・ザ・プリンセス(akuzumeさん)

物語の冒頭、という意味では完璧すぎるほどに完璧だと思います。主人公の立ち位置、能力、旅立つ動機、倒すべき敵……全てを必要最低限の描写で語っていく、まさに教科書とするべき作品の一つではないでしょうか。

11 あなたの思い出、500円。(へるまさん)

タイトルを始め、設定、展開、そして先が気になりすぎる引きまで、すべてが高レベルでまとまっている、恐ろしい作品です。へるまさん自身が最初に放つべき作品だと思われるのも当然ですね。

12 メキサスシティのシルバーコップ(ズールーさん)

狂人がまごうことなき狂人ムーブをしている場面を、あくまでも冷静に、淡々と描写する。この作品も初見で驚愕してしまったものの一つです。こういう、絶対に今の自分には書けないものに出会えるのが、このコンテストのいいところでもありツライところでもあります。

13 阿吽昇天:装震拳士グラライザー(68)(桃之字さん)

まず設定からして、余人には思いつき難い。ニチアサ特撮という確固たる土台があり、小説書きとしての確固たる実力があるからこそ、こうやって一捻りした特異な設定にしても作品が破綻しないのだと思います。

14 DOPEMAN(ishiika78さん)

前回チャンプがなぜチャンプなのか、それを余人に知らしめる一品。テンポの良すぎる文章に乗せて、意外な人物が意外な取引を持ちかけてくる。完璧なオープニング。そのまま一本の洋画に落とし込めそうです。というか映画化すべきでは?

15 復讐するは今にあらず(あのときのときさん)

殺したいほど憎い相手を意図せず殺しかけた男が、次にどういう選択をするのか。予想できそうでもあるし、意外な展開に転びそうでもある。先が気になる、という点ではこれ以上無いほどに気になる一作です。続きをくだされ。

16 奇怪一家(ウナーゴンさん)

カンフー? カンフーナンデ? もうですね、絶対に、絶対に僕には書けない作品を叩き込まれたときの衝撃がおわかりですか? 逆噴射小説大賞では何度も味わった感覚ではありますが、その中でも超弩級の一品です。

17 刀鬼、両断仕る(螺子巻ぐるりさん)

なんという渋さ、カッコよさ。地の文、セリフともに「和風活劇の魅力」がこれでもかと詰め込まれています。僕もこういうのを目指して一本書いてみたりしましたが、なかなか難しい。その点、こちらは完璧ですぜ。

18 夜を泳ぐものたち(鉄兜被りの助さん)

情緒の塊。鬱屈まみれの少年が夜の空を飛ぶ。そして文字通り星空まで飛んだ先で出会う一人の少女。絵本の一場面かと思うほど情感にあふれています。とは言え、パルプ小説としてお出しされてるので、このあと悲惨なことになってしまうのかもしれませんが。

19 ラブサバイバー(エンガワさん)

『スケベがマイアミ方面に広がっています』 こんなフレーズから始められたらもう、諸手を挙げて降参するしか無いじゃあないですか。ここまではっちゃけたもの、僕には絶対書けないんですよ。悲しくもおかしい、笑って泣ける作品の股か……予感がビンビンにしますね!

20 ゴブリン無宿(豆富球さん)

股旅物+ファンタジー。なんという化学反応。唯一無二の発想力。いや、発想だけならばできる創作者もいるかもしれませんが、突飛なアイデアをアイデアで終わらせずきちんと作品まで昇華させるのは、確かな腕前あってこそでしょう。個人的に大好きな一編です。

21 地球人、白ごはん好き?(NJRecallsさん)

ファーストコンタクト物に外れ無し。白ごはんについてあらゆる可能性を検討している場面の描写から、かの名作『伝説巨神イデオン』における白旗の扱いを思い出してしまい、思わず頬が緩んでしまいました。星新一のショートショートの雰囲気すら漂う、極上の一品だと思います。

22 遺骸の森(ビーバーの尻尾さん)

意外すぎる主人公の一人称で語られ始めたストーリー。その主人公に降り注ぐ災難(自業自得、かも)を予感させてからの「続く」。こんなの、続きが読みたくなるに決まっているじゃあないですか。完璧ですね。大好きです。

23 右腕狂想曲(有茂竹刀さん)

身体拡張、義体換装が女子高生のファッションとなるまで浸透した世界。この時点で正しすぎるほどのSF、サイバーパンクではないですか? 完璧ですね。そんな中で、手に入れたパーツのせいで奇妙な事態が起こりつつあることを予感させてからの引き。メチャメチャ上手いと思いながら読ませてもらいました。

24 クビの配達引き受けます(横島孝太郎さん)

一読して即、「自分の理想のアクション描写がここにある」と思わされた作品。短い文を重ねてスピード感を出す描写は多々アレど、ここまでうまく決まっているものはそうそうないのではないでしょうか。そして気になりすぎる引き。たまりません。

25 ハリー・ザ・シャドウプリースト(ジョン久作さん)

戦う大統領、というネタをこれほど完璧に描写できるものなのでしょうか。徹頭徹尾「素晴らしい」「映画化してください」という感想しか出てきません。最後の、最低限の描写でいろいろなことを想起させてくる部分なんて、もはや詩情すら感じてしまいます。大好きです。

26 忘死郎冥府下り(chikutaさん)

タイトル、描写、全てに侘び寂びを感じさせる……こんな作品を読んだ日には、二作目を書き上げたときに「意外と和風作品得意かもしれないなあ」なんて思っていた自分が恥ずかしくなりますね。これぞ真の意味での「和風」だと思います。

27 交渉忍(ネゴシノビ)・鞍石清胤(slaughtercultさん)

もうですね、「交渉忍(ネゴシノビ)」なんてフレーズを考えついただけで勝ったも同然じゃあないですか? しかしそのうえで、そのアイデアに頼りすぎること無く書き進めていくことができていると感じます。このあたりのバランス感覚は心底見習いたいと思いました。

28 囮の子ども(たち)(mktbnさん)

一読して、「これは上手い」と感心させられた一作です。主人公の一人語りから始まり、読者の思考を誘導しておいてから、それをひっくり返してみせる。この時点で、もう読み手としては先の予想が全くつかなくなってしまっていて、ゆえに話に引き込まれざるを得ないわけです。いやあ、すごいですね。

29 環太平洋神在月合同会議(榊亮さん)

神様たちの合同会議、もうそれだけでもおもしろそうだというのに、畳み掛けるように縁結び真実だの、嵐竜駆除だのが目に飛び込んでくるわけですよ。ワクワクしないで読めってほうが無理でしょう? あと、タイトルが最高に最高だと思いませんか? 声に出して読みたい、ってやつですね。

30 聖職者は言った、「死ね」と(アロハ天狗さん)

投稿作全てがスゴイ方なんですが、その中でも一番好きなのはこの作品です。崩壊しなかったソ連邦(この時点で100点満点)、そこで日課の”清掃””業務に精を出す聖職者の前にヘリが……なんてあらすじだけですでに面白いとわかるじゃないですか。とんでもないことだと思います。

31 千夜一夜【逆】(とう腐さん)

寓話。これは、まさしく僕たちの物語ですよね。命をかけて……とまではいいませんが、日々大切な何かを費やして創作に向かい合っている僕たちの。だからこそ、僕はこの作品に無限の魅力を感じてしまいます。

32 パルプボイルド(あかくだしずおさん)

これも僕らの話ですよね。正確には、僕らパルプスリンガーの頭の中で日々起こっていることについての話です。ともすればごちゃごちゃになってしまいそうな設定・場面を、そうならないようにコントロールして描くワザマエは流石の一言です。

33 銀と金と千奇万講(高梨蒼さん)

主人公たちの得体のしれなさ、不思議な魅力を、こういう形で表現するのか……いやあ、読んだときは驚いたし感動しました。本当に、小説には無限の可能性がある。そしてその可能性をきちんと実現している方々がいる。脱帽ですね。

34 多次元交差ディメン・ジン(ディッグアーマーさん)

これは、僕に向けて書いてくれたものですよね? そう断言したくなるくらい僕向きの話です。宇宙から来たと思しきの怪物、それを操る妖艶な少女。対するは虹の瞳を持つ少年……構成要素全てが僕の好みでできている。大好きです。

35 幻想狩人と頂点捕食者(無銘さん)

どらごんばんざい。いやワイバーンでした。そのワイバーンを空手チョップでどうにかしようとするヒロイン! いやあ、なぜこうも僕を狙い撃ちにするような作品が多いのか。こういうのを読み漁れるだけでもこのコンテストに参加したかいがあろうというものです。

36 アンバーグリスの心臓(氷谷八尋さん)

ロマン重点。海外ファンタジーを読んでいるかのような読み口。大冒険の予感しかしない冒頭800文字は、読み終えた後に「続きを……続きをください……!」としか口にできないような魅力にあふれていますね。これも大好きです。

37 ゴールデンスベアー(ゴドーさん)

なんでも、今まで小説は書いたことがなかったそうで。そんな方がいきなりとんでもないレベルのものを撃ち込んでくる。ビビりますね。どの作品も魅力的なのですが、その中でも好きなのは圧倒的にこれです。不良部隊、あってはならないはずのお宝、豊満な美女たち。全部好きなやつです。続きがほしい。

38 『英雄は帰らじ』(KOPEさん)

第一次世界大戦✕ファンタジー! もうこれだけでご飯が何倍でもイケるというものですね。あまりの魅力に、冒頭800字だけでは物足りなさを感じてしまいます。現代兵器や技術をファンタジーのあれこれに置き換えてみるのは至高の娯楽ですよね。

39 シーユーレイター・アリゲーター(Yugamingさん)

もう、タイトルだけで5億点ではないでしょうか。トンチキ大統領、フリー素材と化した例のあいつら、そしてまさかすぎる主役……これが、これこそが「パルプ小説」ですよね。こういうのが書けるようになりたいものです。

40 最も高名で最も曖昧な熱帯魚(電楽サロンさん)

またまた「ぼくにはかけない」一作ですね。よくあるオープニングかなと思わせておいて、僅かな違和感を忍ばせる。するとそれをきっかけに、あっという間に読者は作品の世界観に取り込まれてしまうわけですね。

41 Legend of the "Zhef"(ヒトシさん)

アイデアの勝利。そして手紙→厨房→襲来という流れもメチャメチャ決まっていて、一読して「こりゃスゴイ」と思わされました。”Z”ものは色々読ませていただきましたが、そんな中でも大好きな一編です。

42 一年後人類滅亡(プラナリアさん)

こちらも展開の上手さに舌を巻いた作品です。流れが完璧。間違いなく恐ろしいシチュエーションでありながら、そこはかとないおかしみが感じられる雰囲気も大好きです。お気に入りの一本。

43 ロウマン・ロアー・ナッコゥ(双魔さん)

なぜこの作品を選んだのか、ですって? おっさんがいけすかないAIにうながされて、恥を忍んで兵器名を叫ぶ(もちろん、叫んだほうがつよい!)ロボットもの……こんなの、推すなって方が無理でしょう?

44 ハンティング・ビトレイヤル(邦題:おれだけの四十九日間戦争)(グエンさん)

またまた「続きが無茶苦茶気になる……!」と叫ばざるを得ない作品です。墓の中から蘇る男、彼は戦いで死んだ後、勇者一行から見捨てられたことに気づく……僕のスキな復讐譚のかほりがプンプンしますね。続きを、ください!

45 シネマ・コンプレックス(城戸 圭一郎さん)

人生の何十%かを映画に食わせてきた人間としては、こういう作品を推さないわけにはいかないのです。無論、映画ネタだからというだけでなく、読む人をワクワクさせてくれる確かな描写に「おお……」と思ったからでもありますが。

46 セレモニーは終われない!~怪人シンク、三度現る~(十二月三十一日 十三さん)

淡々とした始まりからの急展開、そして意味深なセリフからの「続く」……いやあ、上手いですね。「800字の冒頭で続きを読みたくさせる」のお手本のような作品だと思います。え? 続きが読めるですって? コリャコトだぜ!

47 本能寺炎上2019(ゴディバさん)

本能寺の変の隠された真実……というネタ自体はありきたりかもしれませんが、そこに一捻り加えるだけであら不思議、無茶苦茶魅力的なパルプに早変わりですよ奥様。ラストシーン、あまりのカッコよさに「おわあああああああ?!?」となってしまいました。

48 大統領の世界みなごろし大作戦(摩部甲介さん)

まずタイトルで5億点。で、下手すればほっこりしてしまうような(?)タイトルから急転直下のハードな展開になだれ込むわけですよ。いやあ面白い。大統領モノにハズレ無し、ですね。

49 恐ろしき竜は悪魔祓いに屈するか?(バク仮面さん)

……何食べたらこんな面白そうなもの思いつけるんですかね? 武装神父モノは星の数ほどあれど、その相手にこんな奴らをぶつけてくるとは! これぞまさしく「余人にはできない発想」ってものですね。唯一無二。

50 横取り(郷里侑侍さん)

もう、ズルすぎますよね。こんなの笑わずにいられますかってもんですよ。とはいえ、そこまでの描写がしっかりしているからこその落差なんですよね。上手い人が本気でふざけると破壊力が突き抜けるという良い見本ではないかと思います。ぽわわわわ。

未来へ……

はい。そういうわけで50本。正直こんなに多くなるとは思ってもみませんでしたが、それほどまでに僕の心を動かしてくれた作品が多かった、ということなのでしょうね。ああ幸せ。

では最後に、せっかくですので自作の紹介をして終わります。僕の作品も面白いですよ。ぜひぜひ読んでくださいな。

◆いじょうです◆




そんな…旦那悪いっすよアタシなんかに…え、「柄にもなく遠慮するな」ですって? エヘヘ、まあ、そうなんですがネェ…んじゃ、お言葉に甘えて遠慮なくっと…ヘヘ