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マーケティングの新しい定義、あるいは海賊の心得。

 平成のその先の時代へ。そろそろマーケティングの定義をアップデートしないといけない。それはそのままGOの2019年の戦略でもある。一緒に冒険してくれる仲間がいたら嬉しい。【文末に重要な告知あり】

1:アメリカかよ?

 2018年の大晦日、那須川天心がフロイドメイウェザーのパンチに屈したとき、ぼくらは気づいてしまった。メイウェザーが天心をナメていたんじゃない。ぼくたち日本の格闘技ファンがメイウェザーをナメていたんだ、ということに。

 天心が持ち前の勇気と捨て身の特攻で、アメリカの近代ボクシングの象徴を追い詰め、きりきり舞いさせることを脳裏に描いていた。メイウェザーが短い試合時間をのらりくらりと逃げ切り、結果としては判定で勝つだろうとは予想していた。ただ、卑怯に逃げ回るメイウェザーにブーイングを浴びせて「ルール次第では天心が勝っていたな」と自分を納得させる準備はできていた。実際はディフェンス、パンチ、そしてパフォーマンスにおいて42歳のメイウェザーが20歳の天心を圧倒し、役者の違いを見せつけた。

 試合を受けて、日本を代表する総合格闘家の青木真也は「メディアのいたずらな放送と、ファンの無知がこの結果を招いた」と語った。
 一流芸能人のGACKTは深いため息とともに「メイウェザーと向き合える日本人は天心しかいない。その事実を誇りたい。この経験を今後の格闘人生にどう生かすか楽しみだ」と含蓄のあるコメントを絞り出した。
 RIZINの統括本部長でもある元プロレスラーの高田延彦は「本来は試合しちゃいけない体重差だった」と訳知り顔で呟いた。30分前には「天心にあの奢ったメイウェザーの顔面を一発ぶん殴って欲しい」と息巻いていたことなど記憶にもないだろう。自分が主催者であることさえ意識のはるか外なんだろうな。お前はまぁそれでいいや。

 つまるところ、78年前の太平洋戦争の頃と何も変わってない。日本はアメリカの巨大さを見て見ぬ振りをし、彼我の圧倒的な実力差を正確に認識しようともしなかった。アメリカ国旗が翻るさいたまスーパーアリーナのリング上、2分で9億円稼いだメイウェザーが、敗れた那須川を気遣うコメントをしている様子を見るのに耐えられず、ぼくはテレビのチャンネルを変えた。公共放送による伝統の国民的歌番組では、中学生のころ大好きだったグループが「U・S・A!!」と疲れた笑顔で連呼していた。そうかそうか、ご機嫌なのか。もう無理無理無理無理・・・と思いながらぼくはテレビの電源を切った。こうして、平成最後の日本の大晦日は「USA」の巨大さを国民にリマインドして終わった。どっちかの夜は昼間なんて、本当かよ。

2:本物かよ?

 そんな2018年の終わりに可視化された巨大な絶望を乗り越えて、平成の先の新しい時代をぼくたちは作らないといけない。2019年の始まりに、絶望は希望の前フリだと自分に言い聞かせて、今年のぼくらの行動指針をまとめてみた。案外悪くない。
 2018年はぼくとぼくの会社GOにとってはまぁまぁ良い年だった。満足しているわけではないが自分が自分であることを誇ることもたまには必要だ。いくつかのパートナー企業の控えめにいっても驚異的なスピードの成長に貢献できた。新鮮で本質的なアウトプットを実現して話題を作ることもできた。何よりも素晴らしいメンバーが増えたし、勇敢なパートナーとばかり仕事をすることができた。

ちなみに、三浦のツイッターのフォロワーも増えた。(400→24000)

 ただ、それでもずっと気になっていたことがある。それはぼくらがメディアや関係者に「勢いがある」「今注目の」という枕詞で表現されることだ。敏感すぎるのかもしれないけどやっぱり「今だけだろ」とか「本物なのかよ?」という視線を感じないといったら嘘になる。

 だから、GOにとって3年目となる2019年はまさに真価を問われる一年になる。大手の広告代理店から優秀な人材が独立していく流れは止められない。クリエイティブのスモールカンパニーは乱立し、今後も増え続けていくだろう。新しいビジネスモデルや積極的な提言で注目を得られるボーナス期間は終わった。今年は、今まで以上に圧倒的な「GOの真価」を形にしなくてはいけない。そして、それは必然的に広告ビジネスの、そして社会の進化でもあるはずだ。

3:どうなるんだよ?

 ポスト平成は第四次産業革命が実体化される。それはつまり、人類史上最大の予測不能の時代ということだ。

・例えば5Gが普及する。情報流通が速さにして100倍、容量にして1000倍になる。リアルタイムのVR中継や、街中での立体映像投影が可能になる。もちろんエンタメも変わるし、地図の考え方も変わる。
・例えば自動運転が実用化され、市場規模は22兆円にもなると言われている。車に住む人が生まれ、移動する住居も一般化するだろう。そうなると当然、都市設計の考え方も抜本から変わる。
・例えばブロックチェーンも一般的なものになる。市区町村あるいは部活、アイドルのファンクラブといったものが独自のコミュニティとして経済圏を作ることができるようになる。お金の稼ぎ方が変わるということは企業のあり方も変わるということだ。
・例えば働き方も大きく変わる。2020年には2000万人つまり人口の5分の1程度がフリーランサーあるいは副業従事者になる。更に言えば日本人の30%は高齢者になる。今までと同じ考え方でサービスや福利厚生をデザインするわけにいかないのは火を見るより明らかだ。
 テクノロジー、社会制度、何より人口動態・・・これらの社会の大きな変化からは誰も逃れられない。あらゆる動きが重層的に重なりあい、特定分野の専門家では未来に対する予測ができなくなる。ドラッカーは「未来を予測する最良の方法は、自分で未来を創り出すことだ」っていったけど、それはもはや綺麗事でも精神論でもなく現実的な心構えでしかない。
 計算も実装も最適化も基本的にはコンピュータが人間よりもはるかに精密かつ高速で手がけてくれる。だが、何をやるべきか、どんな未来を目指すかは人間が、つまりぼくかあなたが決めるしかないんだ。事実として、「未来は俺らの手の中」なんだぜ。

4:変わらなきゃ!

 そういえばはるか昔、地球に巨大な隕石が落ちてきたそうだ。舞上げられた塵や灰、海水のために天候は不安定になった。この時の急激な環境変化によって生態系は大きく変わった。当時巨体と生命力で地上の覇権を握っていた恐竜はその大きな体躯ゆえに変化に対応できず滅びていった。一方で、日陰にコソコソ生きていた小型哺乳類は、適切に生態を変化させ続けることで、新しい時代の地球の生態系の覇権を握った。今、ぼくたちが渦中にいる第四次産業革命は当時の地球における隕石のようなインパクトがあると考えたらいい。

 2019年以降の予測不能の時代においては、「マーケティング」という概念の意味が変わる。これまでは、マーケティングは「市場に対応する競争戦略」だった。それは既存のルール内で、物資をうまく配分し、最短で成功するための戦略だ。同じ分野のビジネスを展開するプレイヤーとの、有限な時間と面積を奪い合うゲームとも言える。

 しかし、これからの時代、マーケティングの定義は「社会に対応する変化戦略」になる。テクノロジーや社会制度の変革によって生まれる新しいルールにいかに対応するか、あるいは自らが新しいルールを作るための戦略だ。
 これまでは競合相手だったプレイヤーがパートナーになるかもしれない。すでにメルカリは既存のアパレル業界にとって競合ではなく新しい消費活動を共創するパートナーである。逆に、これまで全く視野に入れてなかった存在が競合相手になるかもしれない。TOYOTAはおそらく日産やGMよりもアップルとグーグルに脅威を感じているはずだ。
 
 さらに、テクノロジーの進化で生まれた新しい生活習慣をいち早く、新しい収益機会にしないといけない。自撮りという行動が生まれた結果セルカ棒が発明された。検索が習慣化し、面倒になってきた時、キュレーションメディアが生まれた。いずれも変化の戦略といえる。

 

 以前、筑波大学の授業で落合陽一さんが「大企業、中小企業という企業サイズに価値を置くネーミングがイケてない。むしろ重要なのはスピードだから低速企業と高速企業という言い方に改めるべき」という発言をしていたが、まさに、サイズの競争よりも、変化のスピードが重要になる時代の価値を端的に表した発言だといえる。このままだと低速企業はほとんどが機能しなくなる。

 そんななか、すでにいくつかの企業は、2019年、平成のその先を見据えて変化をはじめている。
三井不動産は土地の管理販売企業から、ワークスタイリングという多拠点型シェアオフィス事業を旗印に空間の活用・価値化の企業に変わろうとしている。
TOYOTAはクルマメーカーからモビリティサービスカンパニーに変わることを内外に宣言している。

 あらゆる常識は覆されるのを待っているのだ。磐石だと思われていたライフスタイルやビジネスモデルも変わってしまう。音楽産業は音源の所有からデータにアクセスするビジネスに変わってしまった。メールと電話がLINEに代替されるなんて、10年前の僕たちは確信を持っていただろうか?

 だから、今、一部のテレビ評論家が「現実的には難しいですね」なんてしたり顔でいう新しいサービスは、おそらく全部あっという間に普及してしまう。スマホ決済も、トークンエコノミーも、VRゴーグルも、おそらくはそう遠くない時代に普通のものになるだろう。

 だから、これからの企業や個人が目指すのは「市場の支配者」ではなく「時代の先導者」なんだ。そういえば、世界で一番有名な海賊は満面の笑顔で「支配なんてしねぇよ、この海で一番自由な奴が海賊王だ」っていってたもんな。海軍より、サイヤ人より、海賊がいちばん活躍する時代がもうきてる。

5:ここからだ。

 冒頭の話に戻るけど、那須川天心は試合後、顔を隠すこともなく号泣していた。本当に勝とうとしていたから、本当に悔しかったんだ。GACKTが言うまでもなく、全力で、本気で挑戦したなら失敗は、必ず無駄にならない。

 ここまで、2019年以降の社会に起きるであろう変化と、GOの戦略について書いてきた。ぼくたちは変化の時代のど真ん中で、変化と挑戦にコミットする集団であり続ける。そのためには、自分たちが変化と挑戦し続けていないといけない。

 だから、GOは2019年、広告やPR会社の常識をひっくり返すようなチャレンジをいくつか仕掛けることになる。それは従来のメディアの不動産業や、納品することでフィーをもらえるクリエイティブエージェンシーの業態に比べたらはるかに手間がかかるし、リスクもあるんだけど、ぼくたちがそこから逃げるわけにはいかない。それがいいことなのか、そうではないのか、そんなことはわからない。もっというと知ったこっちゃない。いつだって答え合わせはまだ先。暗闇でジャンプし続けるしかないんだ。敗北を恐れず、常識とか時代とか、あるいはボクシング5階級制覇の無敗のチャンピオンのような巨大な存在の横っ面をぶん殴る。そういう覚悟の積み重ねだけが、時代をつくる。

何度でも言うぞ、行こう。その先へ。


→以下は、有料になります。ここにはGOの重要な2019年のアクションが記されています。もしGOとビジネスで関わりたい、何か一緒にチャレンジしたい、仲間に加わりたいと思っている方は進んで読んでください。マーケティングや広告、PRに興味があって記事を読んでみただけ、という方は特に購読する必要はありません。

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