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【B'zに支配され続けた18年間で得た、勝利のマインドについて】

受験勉強に明け暮れた小学生時代を抜け、ラジオやドラマや小説や音楽に多大な影響を受けるようになっていた頃のことである。

CDコンポのボリュームを絞って『桑田佳祐のやさしい夜遊び』を聞き、初代ドラゴン桜に出演していた長澤まさみの可愛さにメロメロになり、親から与えられた歴史小説を棚に戻して東野圭吾を読み漁る。
見たことも聞いたこともない新しい刺激たちに、無垢な中学一年生の心は踊った。五感を通り抜けていくものすべてが魅力的なものに思えた。
そのような数多くの刺激がある中、ある日私は圧倒的なモンスターバンドに出会ってしまう。
それは思春期の大半を支配し、そして今後の人生のゆるぎない存在となるのであった。

「ふりそそぐ陽を浴びて」
ボーカルの第一声が流れた瞬間、全身の細胞が震えた。繊細でありながら迫力ある高音、そこに絡まるような美しい旋律。
な、なんだこれは・・・。
初めて抱く感情に動揺を隠せない。出会いや別れに翻弄されながら成長していく若き海上保安官の物語を見ていたはずなのに、私が一番心を奪われたのはエンディングに流れる曲であったのだ。

B’z『OCEAN』。
すべてはここから始まった。

それからわずか三か月後、『B’z The Best PleasureⅡ』がリリースされたのをきっかけに、私は本腰を入れてB’zに向き合うようになっていく。
久しぶりに聞いた『ウルトラソウル』は、己の若き闘争心をこれでもかというほど滾らせ、コナンのイメージが強かった『ギリギリchop』は、勢いのあるギターソロと鋭いシャウトが身を貫いた。
すぐさま私は、言わずと知れた最強のベストアルバム『B’z The Best Pleasure』と『B’z The Best Treasure』を吉祥寺のHMVで買いに走った。金と銀に輝くそれらを開閉し、一日に何往復ものリピートを繰り返す。
いつしか私は完全にB’zの虜となっていた。もはや神と崇め、心酔さえしていた。全ての小遣いをはたいて近所の中古CD屋でシングルとアルバムをコンプリートし、歌詞カードに唾を飛ばしながら何度も何度も歌いまくった。

「逆境にくじけるな」と中学の卒業アルバムの寄せ書きに書いてから約十五年。
もちろん今も、胸の真ん中には、松本さんと稲葉さんがいる。

私にとってB’zは人生である。
決してこれは過言ではない。
描いた目標に手が届かなくて、まるで世間から不必要な人間だと言われているような気がするときも、大好きだった彼女にあっけなくサヨナラを告げられて死にそうになっていたときも、恐いものなどないと友人と叫び回っているときも、常にB’zはそばにいた。

特に私が好きなのは稲葉さんが紡ぐ歌詞だ。音楽のことはよくわからなくても、言葉ならなんとか理解できる(ただ、ギリギリchopというタイトルの意味はわからん)。
それらは気持ちを盛り立ててくれたり肩を抱いてくれたりするので、私にとって非常にエピックな栄養剤。
ときに思い切り叱咤されることもあるけれど、そのじんわりと心に染み渡る歌声は「まだまだだな」と自らを省みるために必要なものだったりするのだ。

〈強く願うだけじゃ足りないよ now is the time 狭き門を行け
希望は新しい困難を産み落として 僕を試すよ
心配なんてそこら中にあるもの
甘えすぎないでやりましょ〉

これは『ユートピア』という曲のサビ部分なのだが、このストレートな歌詞はいつ聞いても胸に響く。

仕掛けている本をもっと売りたいな、noteの閲覧数を増やしたいな、憧れのあの人に会いたいな、かわいい女の子と仲良くなりたいな・・・。
尽きない夢を叶えるため、日々己を研究して邁進しているはずなのに、どうも空回りしまくってうまくいかない。
「このような展開は今まで何度もあったし、そろそろ現実なんてこんなもんだと納得した方がいいのかもしれない」
自身の生活環境やステータスのせいにして諦めるのは簡単。
苦しまずに済む選択はとてつもなく楽だ。
だけどたった一度きりの人生、やっぱりそれじゃあ寂しすぎる。
下手に大人ぶったってカッコよくはない。
あがいてもがいて道をひらくほうが、きっと素敵な景色が見えるはず。
誰に何と言われようと関係ない。
夢なんて叶えたもん勝ちに決まってるっしょ・・・!!!

落ち込んだり心が折れかけたりしているときは、いつも必ず『ユートピア』である。

いつどんなワンダフルオポチュニティが訪れるかわからない。無論、神さえ予測不能。
しかし、じっと空を見つめていても雲は落ちてこないし稲妻のような天啓がやってくることもないのも事実。MOVEしている者にしか、ハルカナル勝利は得られない。
私はそれをB’zから教わった。松本さんと稲葉さんの仕事に対する向き合い方や、大好きな音楽へ注ぐ愛情は、違う形として私にも応用されている。書店員として、人として、ケチな弁明をする暇があるなら、ねがいをかなえるために最善を尽くすのが絶対である。

心臓破りの丘を猛スピードで走っているお二人は、これからもずっと音楽シーンのCHAMPに君臨し続けるのだろう。
そしていつまでも私の人生観にBIGな影響を与え続けていくのだろう。
経験していく喜びも悲しみも全部、Easy Come, Easy Goで楽しんでゆきたい。


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