見出し画像

タケトピ徒然草  夕飯問題

癌が発覚して、しばらくの間母ちゃん居なくなるという緊張感に包まれていたわけだが、もしかすると手術出来るかもしれないという希望は一瞬にしてこの緊張感を解きほぐし、ときほぐし、あっと言う間に以前と同じ空気感になっていた。
一つは、主人が完全に仕事をボイコットして家事に専念し、私以上に部屋やキッチン全てをピカピカにし始めた事にも原因はある。一人でできるじゃんという空気。

主人は子どもを育てることができない。全部やってしまう系の人だ。一人で突っ走り急に振り返る。着いてきてないやつはダメなやつだと切り捨てられる感じがする。よくある昔ながらの子育てか。

うちの子は無理だ。自由にさせたからそんなペースに血だらけになりながら着いて行くタイプではないし、そうであって欲しくもない。

日曜日の夕方、子供たちがすっかり自動でご飯が出てくると思っていることに気づいた主人がいつものように切り捨てようとしている。もう知らん。自分達でなんとかすればいい。

出たよ。毎度お馴染みの。今までならほっといた。お前こそ気付け。何度も同じ間違いをおかしてるのは君だよ。しかし今回からはそうはいかない。なんとか元気なうちに繋げておかなければいけない。

主人には、投げても伝わらない。きちんと話をしないといけないし、もっと頼りにしてあげなければ、子どもたちは自分に出来ることがあるんだと気付かない。と言ったが伝わったのか。
命令する事と頼りにする事の違いを説明するのは難しいが、それには格段の違いがあると私は思う。どうか人を育てるために自分のプライドを折れる大人になってくれ。

主人が犬の散歩に出たので、子どもたちを呼んで話をした。

父ちゃんのいつものやつだ。一人突っ走ってるけど父ちゃんも一生懸命にやっている。このまま仕事が始まったらすぐにパンクしてしまうだろうから、平日だけでもご飯の用意をみんなでして欲しい。5時に始めればきっと大丈夫だから。

すると一番に月曜日と金曜日ならやる。次男が不機嫌そうにそう言ってその場を立ち去った。じゃ、残りは長男と末っ子にお願いしていいかな。ネットで検索したらいっぱい簡単なの出てくるからね。

その日の夕飯も長男が作り始めた。もう自動では出てこない。末っ子が練習中のペペロンチーノをもう一度作ると言って、この日はパスタになった。私も少し起きていられたので、もう一度コツを伝授して末っ子はうちのペペロンチーノマスターになった。

そして今日。次男が作ると言った月曜日。病院で疲れて眠っていたが美味しい匂いで目が覚めた。次男がキッチンに立っている。末っ子も手伝って、仲良く何か作っている。

良かった。
こんな時間ができるなんて、今まで想像もしてなかった。
年が離れているせいもあるだろうが、あまり兄弟の中に入れてなかった末っ子。
料理で二人と繋がって、とても楽しそうだ。

多分ネットで一生懸命探して覚えたんだろうなという冷しゃぶの丼。みんなでワイワイ次男の作ったご飯を食べていた。次男にとって新しい発見があったことを切に願う。

みんなありがとうね。
早く元気になって、みんなの作ったご飯を一緒に食べられるようになりたいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?