動物がきらい『思い出の墓場』
いいことがあったら悪いことがある 電話がきたから地球は滅ぶ
本物じゃなくても構わないと言いながら自分の嘘で傷付く
ふたりだけホームの奥の奥に行く秘密基地みたいな深い穴
暗号も秘密基地だって持ってるしイーサンハントよりスパイ的
いつだって他人行儀でいるくせに電車に乗る時少しあがる手
昼下がり「夏休み、暇?」お互いに暇じゃないこと知ってて首肯
俯いて「花火行かない」今日ずっとそれを言おうと考えてたの?
たったそれだけを言うのにどれほどの勇気がいった?泣いていいかな
人ごみはきらいじゃないの、知り合いに会うかもしれない、それでもいいの?
臆病なあなたが動けないことを盲信してた自分に気付く
「都会と田舎に住むならどっちがいい?」「海は苦手で人も苦手だ」
少しずつ許されていく親しさを壊さぬようにぬるい相槌
食べるのがおそい私に合わせゆっくりとパスタを咀嚼するひと
夏なのに長袖のシャツ着て走る 涼しそうだね 抱きしめていい?
「動物はきらい」そっかあ、きらいかあ 藍島には誘えなくなる
納豆とトマトそれから干しぶどう、ナッツもきらい、あと動物も
意図せずに出会ったときは0.3秒ほどかけて眼鏡を外す
約束はしないで偶然を起こしてたまに駅まで一緒に歩く
ていねいに、湖の水すくうように、ゆっくり合った歩幅がこたえ
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