初めてのデート…ピュアな男の子との恋愛はじれったいけれど歯痒くて好き
…プロローグ…
45歳バツイチ二度目婚の既婚女
連れ子含め子ども3人
…
好きな人ができた
30歳彼女なし
女性経験なし
お付き合い経験なし
手を握ったこともない…
貴方を
こんなにも
好きになるなんて
…
初めてのデート。お天気は快晴。黄色いスポーツカーの助手席は凄く快適。こんなデートらしいデートができるなんて。やっぱり、彼は社内ではパッとしない扱いを受けているけれど本当は素敵な人だ。マニュアルのギアを動かしている大きな手が気になって仕方ない。大きな手。その手を握りたいことに触れることさえ憚れるるようなピュアな空気感。焦る事はないよね。急いで何かする事はない。この2人の時間を楽しもう。そう思いながらも、身体は近くに行けと言っていてもどかしい。
2人の共通の趣味といえば日本酒。彼が有名な酒蔵へ連れて行ってくれた。薄暗い酒造の中を見学する間、手握ってもいいかな〜って思ってたけど。彼は、手を握ったことがない人だからこんな人前で。はハードルが高いみたいで…見学が始まってから、自然な感じで腕を軽く掴んだけど気のせいなのかの如くにスルッと行っちゃって。でも、別に嫌なわけではないんだよね。それで、あからさまにくっつくのはやめた。見学していると自然と体がぶつかったり、話を聞いている時に少し肩が触れていたりする。それだけで、なんだかドキドキ感が伝わってくる様だった。初めて少し肩が触れたら、スッと離れたけれど。少しずつ触れていても離れなくなっていった。その微妙なドキドキ感が、なんとも言えなかった。そうだよね。多分だけど、女性とプライベートで出かけること自体が初めてかもしれない。出かける時は、いつも1人で出かけると言っていた。合コンにも行ったことがあると言っていたけれど、
数合わせですよ
と、初めから自分がメインだと思わずに参加していた様な人で、もちろん何もなかったらしい。女性と話をすること自体は緊張もせずできるみたいだけれど。
彼の魅力には、誰も気がつかなかったんだな。私が人生に色々あった後だから、彼に惹かれるのかもしれない。彼は究極に日常生活上で節約をしている。そしてやはり、なるべく節約をして貯金をしている様だ。お金がないといつも言っているけれど、それは節約をしてなるべく貯金をするためで。欲がないように見えたけれど、必要な事には使う。メリハリが綺麗にできているようで。必要ないものは買わない。本当にものは少なく生きている。お金で大変な思いをしたことのある人は、そう思うんだよねって。私もそうだから。
そんな節約家の彼は、今日のデート代を全部奢ってくれた。全然そんなつもりは無かったんだけど。私がどこかで出すつもりだったけれど、
今日だけですよ、お金ないんだから〜
って言いながら
カード使うとポイント貯まるから〜
って、全部払ってくれた
次に会えた時には何か返そう。
彼の今年の運勢は、
色々な人との繋がりが増えて
出費が増えるでしょう
…だったんだよね。その人との繋がりが私かな?
その占い結果は伝えないでおいた。
蔵見学が終わると、大吟醸ソフトクリームが美味しいからと買ってくれた。お天気がいいので2人で外に出て縁石に2人で並んで座って食べる。幸せすぎるなぁ。陽の光は暖かいし、ソフトクリームは美味しいし、彼が優しくて。色々行くところとか何するとか。考えてくれてたんだなって嬉しい。こんなふうに感じられる時間って、いつぶりだろう。本当に幸せ。
2人で並びながら、色々お互いの過去のことを話した。彼は30歳ながら色々な大変な過去がある。親の会社が倒産して家族関係が大変で家を出て、今は全く連絡をとっていないらしい。仕事も色々とあった様で、そんな話をしてくれた。私も色々あった事を包み隠さずに話せる。この人になら、なんでも話せる。こんなに、何も気にせずに本当の苦労話や愚痴が言える人は女友達でもいない。この先、もし男女の関係にならなくても友達としてでも繋がっていたい。人としての相性がいい。彼と私の相性は、占いでも最高に良かった。占い結果を見て納得した。私が居心地が良い様に、彼もそう思ってくれているのかな?そんなふうに期待をする。
…
ソフトクリームを食べ終わると12時半。お昼食べに行きますか?何が良いですか?って。お店も相当色々探しておいてくれたみたい。この人は、本当に人を楽しませようと一生懸命してくれる人だなって。自分自身の為よりは相手を思いやれる人。
お昼を済ませると、奢ってくれたのてご馳走様を言う。
今日だけだよ〜
って。
いつもこう言うよね。
相手に気を遣わせない言葉。
その次は、買い物に行った。欲しい文房具があるからと。車を走らせると、
BEFIRST聴きますか〜っ
って、最近の私の推しの曲をかけてくれた。どこまで完璧なんだ。何度かしか会っていない私の推しのこととか、ちゃんと覚えてて自然に挟んできてくれる。なんでこの人に彼女がいたことがないんだろう。…占いでも¨奥手¨って書いてあったな。しみじみ、あの占いは当たるな。だからかな。この人と居たら、幸せになれるなって私は思うけどね。
文房具店で、沢山のファイルやペンやノートや。変わった文房具を、色々あるね。面白いねって言いながらゆっくりみて回った。楽しい時間。あーだこーだ言いながら、自然と肩をポンポンって叩いたりして。だって、彼のいう言葉が本当に面白くて。
今日は、本当によく笑える日だな。彼の言葉や言動は、私を心から笑わせてくれる。こんな感覚は、20代前半に付き合っていた人以来かな。いや、初めてかもな。この感覚は、初めて。
彼も女性との関係が初めてかもしれないけれど、私もこんな下心のないピュアな、人を思いやれる人と出会ったのは初めて。
…
思えば、高校を卒業した後あたりから恋愛というのはすぐ後ろに体の関係があって。言ったら、それが出会いの始まりと同時に起こったり。誰でも知り合うと下心が見えないことなんてなかった。
…
私が初めて男性とお付き合いしたのは
中学2年の冬で
雪の中反対方向の家までいつも送ってくれた
寒いからと
手袋を片方貸してくれて
もう片方の手は
彼のコートのポケットの中で
繋いでいた
…
そんな、ピュアな頃の感覚と彼の感覚は同じなんだ。そう思った。だから、急ぐことはないんだなって。なんだか安心した。好きだから一緒にいたいと言っても、すぐに身体の関係を求められるわけではないんだな。話しているのが、会っているのが楽しい幸せ。それだけでいいんだなって。きっと、ゆっくりと繋がりを続けていたらその先にあるのが身体のふれあいなんだよね。それが普通なのに、世の男たちは直ぐに最後までする事を求めるし。それが、私も当たり前だと思い込んでいた。
…
彼は夕方から用事があって、その予定まで後1時間だった。私は今日時計をつけてこなかった。時間に縛られたくないなって。でも、ちゃんと彼が時間を見ながら、綺麗な時の使い方で私を楽しませてくれた。
帰りの車内で、
高速道路が150年後には無料になる
って話になった
えー。もう誰も生きてないね〜
いやーオレ生命線長いから生きてるかもな〜
私も長いよ〜
…
このくだり
初めて手を握った時の会話のデジャブ
生命線やっぱり長いね
って手を見て
手握りたいって手をとって
恋人繋ぎをした
晴天で気温も高いから車内も暖かくて
それでなのか
お互い緊張からなのか
握った手がお互いの手汗で絡み合って
私は少しセクシーな気持ちがした
…
マニュアルのギアから外した手は
高速道路だからギアから離していられたのかな
それとも時々はギアを変えないとなのに
握り続けていてくれたのかな
握っていたと言うよりも
私の手を受け止めていると言う感じだったけれど
彼はそうでもないみたい
なのか
彼の気持ちはわからない
恋人繋ぎ自体が初めてなのかな
きっと
手を繋いだことで
思考が最後まで行っちゃう
私とは違うんだよね
飛び越えないで
少しずつ
初めてのピュアな頃に
叶わなかった
綺麗な恋愛
彼といると
そんな風にいられる
手を繋ぎながら
後少しの時間を
話し尽くしたい感じで
お互い色々話をした
本当に話が尽きない
…
高速道路が終わって車が停車した
繋いだ手から
親指だけを出して
ポンっ
って
ギアを押して
ニュートラルに入れた
…
あ!
そうだよね
高速おりたら、
ギア握ってないとだね
私は
パッと手を離した
…
最高に
この人を好きだと思った瞬間
…
何度もあるよ
…
そうだよ〜
車進めないよ〜
って
…
あぁ
この話し方
好きすぎる
優しくて
相手を傷つけない
罪のない
心が伝わる
言葉一つ一つ
思い出す時
貴方を好きと想う
…
停車する前に
ギアを下げるよね?
でも
彼は
手を離さずに
ブレーキだけで停まってくれた
どう思いながら
手を握っていてくれたんだろう
離したくないなって
思ってくれてた?
それ思うと
泣きたなる位
素敵な時に思える
…
今まで付き合った人たちは、自分の都合が悪い事があると、何も言わずにパッと手を離していたと思う。それで、私は、え?ってなる。そんな感じだったよなって。誰とのことか覚えてなんかいないけれど。記憶の中で、その昔の違和感と今の幸せな時をリンクして感じた。
手を握ることを
いいとも悪いとも
言わないけれど
握っていられる間は
大きな手が
私の手を
受け止めてくれていた
幸せな時間を
無下に終わらせないでいてくれた
…
目的地に着くと、車内で用事の時間まで話をした。そして、私はこの後の予定が大丈夫か心配してくれる。少し早い時間だったから、時間が空くよねって。そんなことまで心配してくれなくてもいいのよ。と思いながらも、どこまでこの人は人のことを想いやれるて人なんだろうと思った。
そうして、別れ際
また明日
って言った。
またあした
私と彼は同じ会社に勤めている
ほぼ毎日顔は合わせている
部署が違うから
そんなに話すことはないけれど
でも時々仕事が一緒になる
今週末のイベントは
まさしく一緒に仕事
大変な仕事だけど楽しみだな
…
また明日
彼が言うこの言葉は
この上なく素敵な言葉に聞こえて
思わず聞き返した
え?今、また明日って言った?
って
そうですね
また明日
…
ああ、幸せな時間だったな
たくさん笑って
たくさん話して
待ち合わせして会ってから8時間…
あっという間の8時間…
また明日
って言葉が
別れ際を寂しくないものにしてくれた
…
この人は
素敵な人だって
とても好きだなって
そう
思った
…
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