【ことほぎ】

ゆかしきひめのとつぐあさそのあしもとにひとむらのはなよあれかし
はれのそらふみてわたるるくもひくくついぞひらきてひをこぼしたる
とりたちにあいされてなんひめもはやとつげるあさをむかええまひぬ
ははのこえだいじょうぶとふあこのせにふれてゆびからまたささやきぬ
わがあいするかのんひびくをひとすじのいととおもひてわがたちゆかむ

このよきひいとしむひびにつつまれてとりとびたちぬこうきょのもりを

【その色の名は】

てのそこにくれないちるをみるかぜのふきよすてんにきみよはれるや
かみにゆふさびしきいろのはなをきみあかねもゆらせてんにかえしぬ
つきにしるひとはだほどのやさしさにいえるとうすいろのかざしばな

【ひらがなのうた】

とけるとける、くうきのなかにほそびかれきえゆくものをかくつめのいろ
つかむまえにきえるうすくもろくはかなくきずつきのこるこころあかがね
よるたべているつきをたべているしたのすきまからこぼるぎんのほしくず

【はじめのひかりかた】

こんやのつきはよこがおのつきみなそこのたいようみおろすよこがおのつき
みなそこのたいようはそこでもてらすうかぶつきのほほうっすらとあかるみ
ふりかえらないよこがおからふとめをはなすつきをわすれてきみとはなそう

【つきのとびかた】

くもをかいくぐるようにはしるつきのしろいおのせんめいなとんでいきかた
みずのそこにかべがあるゆびがつきあたるかべがあるきみのむねのなかにも
かべをさぐればあらわれるちょうこくとうできざんだはなにきみのきずあと

きずあとにながれがみえるそこにかぜがとおるしっているそれはなきむしのひとみ

【ずっとほしかった。】

あいされているこのかなしみのうみにいるときもあなたにあいされている
ただひとつおおきなおおきなまるだったあなたとわたしとあなたとわたし
いたみかなしみくやしさいとしさふきあれえがおあふれるこのはなぞのに

すきというわたしのこころをしるいじょうきみもわたしとこいをしている

すきをぶつける、ぶつけられる、こいはすきとすきとがするものじゃない
このせかいをありがとうあなたがくれたいたみにはえたはじめてのつばさ
せかいのまばたき、きみはいまごろいつものくしゃみをしているでしょう

わたしのゆかにころがるいしはくろくてもはなとみどりとかぜとおんがく
くつをはくもうとべるからせなかのはねをたたんでおくきみとあうひまで

はじめてあったきみをおぼえてるわすれないきみのすべてをそのかがやきを

【きみがな。】

たんざくのごとかりしわがみにゆるるきみがなのせつにいとしき
きみをほうせきとよぶみのこげるほどおもうとももとめえざれば

いっしんふらんのあおにはしるひとすじのしろ、きみにつらぬく
ようやくよるをねむれるとわらうときほしひとつきみみておらむ
きまぐれなきみのかぜにゆすらるるえだはのかげとおどるばかり

らんぼうにうたっていいよきみのえがおはこのちならすガムラン

つめたいよこがおがふりむくときいっしゅんにこのみはこげる
あいすというふかちなことばよりちにあしのついたすきでいい
あわなきゃよかったとおもわせ、うまれてよかったとおもわせ

ほろびながらひらいてゆこうみをさいてひらくはなのように

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