「青い鳥籠」
小さな窓からは、ほろほろと崩れる粉菓子の堆積のような光の溜まり。
斜めに伸びて少しずつ消えていく影法師、さっきから何かが動いている。
くるくる、くるくる、と影絵のおもちゃみたいに。
あれ、そこには鳥籠があるだけなのに。
鳥のいない、鳥籠があるだけなのに。
くるくる、くるくる
ハンモックのように伸びた影の真ん中で、くるくる、動いている。
鳥籠の中から、何かを知らせようとするみたいに。
不思議のありかを求める、僕の目を射る光は、バターみたいな金色。
べっ甲みたいな飴色。
そっと手をかざして、僕はそこにみつけた。
細い枝の先にちぎれそうな一枚の葉がくるくる、と回るのと、
それよりも向こうで僕を見つけ輝いた、懐かしい笑顔を。
その日から、僕はあの鳥籠を指すときに、「青い鳥籠」と呼んでいる。
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