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「状況共有」で自分の居場所を作る

最近社外でオンラインでの「情報共有」だけでなくてオンラインでの「状況共有」についてお話する機会をいただきました。オンラインでの「状況共有」って何?どう役立つの?というところについて自分なりにまとめてみました。
うまく機能すると、オンラインで働く環境においても一人ひとりの「居場所」を作るのにとても有効だと考えています。

「情報共有」と「状況共有」の違い

■「情報共有」とは?
普段仕事をする上で必要なのは「情報共有」です。

自分が直接得られる情報だけでない、他のチームメンバー、他の部署、会社の情報を知ることにより、自分が全体の中でどのような役割で、どういった方向に向かって業務をすべきなのか、よりクリアになっていきます。

自分が持っている情報も他のメンバー、他の部署に役立ちます。ギブアンドテイクで業務効率を向上させる、これが「情報共有」です。

■「状況共有」とは?
「状況共有」は、目的もやり方も違います。

「状況共有」とは、「情報になる手前の感情や想い(「うーん」とかそういった感情表現も含みます)」の共有です。「必ずしも仕事とは関係のない独り言」なども含まれます。

「状況共有」は、業務効率向上を目的にしたものでも、ギブアンドテイクするものでもありません、ただただ空間に向かって独り言を言っているようなものです。

このようなやりとりは、以前であれば対面での雑談や飲み会でなされたことでしょう。多くのビジネスパーソンが重視していることだと思います。

オンラインで「状況共有」をするとは具体的に何をすることか?

対面で相手の状況について聞くこともできますが、オンライン上で似たような効果を出す、得ることも可能だと考えています。

サイボウズでは、自分たちで使っているグループウェア上で多くの社員が「状況共有」によって、対面でなくても他のメンバーの状況を知ったり、自分の状況を伝えたりしています。

「状況状況」を具体的にどう進めるか?例えばこんな書き込みがグループウェア上にはあります。

「これから○○について考えようかな」
「○○がようやく終わった、正直疲れた」
「そろそろお昼か、何食べようかな」
「ちょっと行き詰ったので休憩しよ~」

簡単でしょ。

サイボウズのサイトでは「分報」という形で紹介しています。さらに詳しくはぜひこちらもご覧ください。

こんな感じで、「何の業務効率向上につながらない(かもしれない)」言葉を発し、受け取っています。

オンラインでの「状況共有」すると何がいいのか?

そんな仕事と関係のないことをやっていて何がいいのか?というところですが、いくつかの面で効果があると考えています。

■書いている本人にとって
・言語化することで、自分の状態を知る。
・行き詰る前にSOSを発することができる。
・気晴らしにもなる(^-^;

■見ている周りの人にとって
・その人がどんな関心を持っているかを知る。
・その人が個々の業務にどんなアプローチしているのかわかる
・見ていて楽しい時もある(仕事以外のつぶやきの場合)
・「状況共有」から話が盛り上がって、新しいアイデアにつながることもある。

「状況共有」自体は何かを生み出すわけではありません。他のメンバーの状態や感情を知る、というのが主たる効果になります。が、チームで仕事をする上では、これは非常に重要です。仕事をするのは「人」なので。その人が良くない状態にあるのであれば、ぜひ手を貸したいところです。

オンラインでの「状況共有」のポイント

さて、オンラインで「状況共有」する上ではいくつかポイントがあります。「情報共有」と違って「状況共有」は頑張ってしまうと続きません。

■すごくなくていい(書く側)
SNSなどを見ると素晴らしい、勉強になるコメントもいろいろ散見されますが、「状況共有」は別に誰かに何かを証明するために書くものでもありません。見るのは同僚や上司なので、自分の考えや感情を「ふわっと」表現できればそれなりに伝わります。ほんと、一言二言でもいいのです。

■しょーもなくていい(書く側)
上記の「すごくなくていい」に近いのですが、さらに一歩進めると「ちくしょー」みたいな感情でも、仕事に何の関係もない趣味の話題でも構いません。一人一人のメンバーの関心がわかれば、その人にどんなふうに接すればいいのか、どんな仕事がいいのか、少しずつわかります。

このため、しょーもないことを書ける、そんな雰囲気作りが必要です。(やったことのない人、チームにとってはたぶんこれが一番難しいです)心理的安全性高い環境を作る、ということです。

■無理に反応しなくてもいい(読む側)
さて、いろいろなメンバーが思い思いに書くと、ちょっとしたつぶやきでも結構な分量になります。それを読むのが仕事か、というとそんなことはなく、個々に自分の業務を持っていると思います。

ちょっと時間が空いたときに、たまたま見かけたコメントに、気が向けば反応する、そのくらいでよいと思います。

コメントも面倒であれば「いいね!」くらい付けて「読んだよ」くらい伝わる、でもよいです。

■フィードバックは別の機会に(読む側)
「状況共有」で書かれる内容は本人の中でも煮詰まってない話やちょっとした感情が書かれることが多いです。そういうのを読むと、ついついガチでアドバイスしたくなってしまうこともありますが、そう言う時にガチアドバイスされると書く側は安心して書けません。何かを受け取れる心の準備ができてないからです。

もし何か伝えたい有用な情報があれば、そこに書くのではなくて、少し時間をおいて個別にフィードバックするのがよいと思います。

「何もない」のも「状況共有」

今まで「状況共有」について述べましたが、誰もが書きたいわけではないです。このため、書かない人はそれはそれでよしとする、というのが重要です。

たまに書く人もいますし。

また、普段書いている人が、ぴたっと止まったり頻度が減れば、それはそれで何かのサインと考えられます。何か声をかけるタイミングかもしれません。

結局のところ「状況共有」の意味

「状況共有」というのは必ずしも必須というわけではありません。それが無くてもチームも会社は機能します。

しかし、会社は機能集団であるものの、働いているのは一人ひとり感情を持った人です。そのため人に寄り添った対策、施策は必要です。昔から日本の企業はお互いの人となりを知るため、人と人とを結びつけるために様々なイベントを開催してきました。

ただ、そこまで大掛かりにやらなくても、もう少し日常的に簡単なレベルで人となりを知り、認め合うことはできます。

オンラインでの「状況共有」は、一人ひとりの存在を認めてチームに「居場所」を作る、そんな取り組みの一つだと認識していただければ、私としてはとてもありがたいです。

おわります。

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