「テンピーポーテンカラー」制作記録
はじめに
2018/11/19(月) ~ 11/25(日)にunityroomで開催されたUnity 1週間ゲームジャムに参加し「テンピーポーテンカラー」を制作しました。本記事はその制作記録です。
告知
10/18にunityroomを運営しておられるnaichiさんからUnity 1週間ゲームジャム開催のお知らせがありました。
ゲームジャムの開催期間は11/19 ~ 11/25となっています。期間中の週末は3連休あるし楽勝ですね。
お題
ゲームジャムのお題は開始初日の午前0時に発表されます。今回のお題は「10」!Unity 1週間ゲームジャムが通算10回目なのでそれにちなんだお題ですね。
ウッとか言ってますけどこの時点でノーアイデアです。さてなにしようかな。10…じゅう…獣…ウッ。
アイデア
とくに思い浮かばないのでネタツイートで世間様の反応をうかがいます。
芳しい反応がなかったので却下します。(あたりまえ)
さてさてどうしよう。お題「10」で素直に考えると10秒とか10回とかなんらかの上限に設定したゲームになりそう。10秒上限のゲームならサクっと遊べるしゲームジャム向けともいえそう。
ならばあえて逆にゲーム中のろうそくを10日間消さずに見守るゲームはどうだろうか。画面の真ん中にろうそくを配置して上から水滴、横から風などがろうそくの炎を消さんと襲い掛かり9日目の23時間45分になったら初めて登場するバケツの水が炎の直上から降り注ぐことで機械学習による自動化を阻止!似たようなゲームがちょっと前に話題になっていた気もしますが(※ポルポテスト)、奇ゲーとしてのインパクトはありますしなかなかいいんじゃないでしょうか。
でもゲームとして致命的に面白くない。できれば遊んで楽しいゲームを作りたい。なのでこのアイデアは没にして別の案をひねりだすべく考えます。
最近ずっとつくりたかったレミングスっぽいゲームはどうだろうか?
レミングス © DMA DESIGN / PSYGNOSIS
小さめのキャラクターが多数出現してわらわら動くだけで見ていて面白いしレミングスフォロワーゲームはたくさんあるけれど最近見ない気がします。なにより自分が好きなゲームなので、自作ゲーム作成中によくある「このゲームおもしろいんだっけ?わからなくなってきた」の自問自答に「レミングスは面白い。このゲームはレミングスを参考にしている。だからこのゲームは面白いはず!」と三段論法で面白さを確認できるはず。というわけで自動で移動する複数の人型キャラクターをゴールに導く系ゲームにしようと決めました。
導く系ということはスタートからゴールの間になんらか障害物があって、なんらかの方法で回避する必要があります。レミングスだと個々のレミングに穴を掘ったり階段を作ったりする能力を付与してやって障害物を回避します。なにか良い回避手段はないだろうか……
おっと!レミングス作りたさが先走ってお題「10」を完全に失念していました。これはまずい、Wikipediaで10を調べましょう。10…十…十の災い…モーセの十戒…笑裏蔵刀(兵法三十六計の第十計)…真田十勇士…うーん…十把一絡げ…十人十色…
ん、十人十色?
色といえば半年くらい前にぱふ(@PafuOfDuck)さんが色変更で遊ぶパズルアクションゲームのプロトタイプ動画を公開されていて
面白いギミックだなと思いちょっと調べたところ、Hueというカラーホイールを使って色変更するアクションパズルゲームを知りました。
Hue © Fiddlesticks Games / Curve Digital
このギミックにNASPAPA(@NANDEMOYARUDEN)さん作の「すらぽん!」のようなシンプルなルールを足し合わせて
色変更でボールを移動させて遊ぶカジュアルゲームがあれば爆売れなんじゃないの?!と作ってみたもののイマイチ面白くないので公開もせず放置していたプロジェクトがあったはず……
作って放置してあった自作のカラーパズル
これですね。カラーホイールを使って背景色変更と、色変更に伴う物体の消失までは実装してありました。えらいぞ半年前の私。
この背景色変更をつかって足場や壁を消すことにより障害物を回避させることができそうです。十人十色を題材にするので最大10人のキャラクターが10色を使い分けてゴールを目指すゲームにします。ざっくりとですが作成するゲームの仕様が決まりました。時間もないので手を付けられるところから実装をはじめます。
実装開始
とりあえず人型の何かが色のついた地形の上を移動してゴールを目指す、という部分は確定なのでそこから作ります。
豆腐が焼けた鉄板の上にいるような絵ですが、白い四角が人型の何かで赤い四角が地形です。ツイートの時間をみるとゲームジャム期間2日目の早朝(or 1日目の深夜)。この時期にゲームの方向性がざっくりとはいえ固まっているのは奇跡レベルで早いです。しかしやはりざっくりなので細部まで仕様が固まっているわけではなく先々に不安があったようで、Unityゲーム開発者ギルドのSlackで以下のように発言しています。
Unity1Weekとりあえず制作開始
ネタが煮詰まり切ってないので手戻り多々ありそうな予感
当然ながらこの不安は的中します。
試行錯誤
十人十色から10色使うというシステムを導き出していますが、そもそも10色って何?何色と何色なの?ということでグーグルで「10色」を検索しました。なにやらマンセル・カラー・システムという概念(?)があるようでWikipediaの記事を読んでみると以下の10色が基本のようです。
赤 / 黄赤 / 黄 / 黄緑 / 緑 / 青緑 / 青 / 紫青 / 紫 / 赤紫
うーん、緑付近似たような色が多いし白と黒があったほがゲーム的に幅がでそうなんだよな(※本来白黒は彩度 / 明度で表現する)。というわけでちょっと変更して以下の10色を使用することにします。
赤 / オレンジ / 黄 / 緑 / シアン / 青 / 紫 / ピンク / 黒 / 白
原色だとややキツい感じがあったのでゲーム中では若干淡くしています。
ちょっと悩んだのが背景色に白を含めるかどうか。背景に白を含めるメリットは、障害物を白以外の色にすることによりステージ開始時の背景を白に固定することでゲーム中に存在する障害物すべてをプレイヤーが認識できることを担保できること。デメリットはカラーホイールに白を入れる必要があること、人型の何かに白を使えなくなるかまたは白を使えるが位置づけが他の色と同レベルとなり特別な意味を持たせることが出来なくなることです。
逆に背景に白を含めないとすると、背景と同じ色の障害物がステージに存在する場合プレイヤーは色を変えるまでそれを認識できないことがデメリットになります。メリットは上記の逆でカラーホイールがシンプルになることと人型の何かが白の場合特別な意味を持たせることが出来ることです。
左 : リリース版 / 右 : 白あり試作版
どちらがいいか判断つかなかったので手戻り承知で両方作ってみて試してみました。大きさも何通りか作ってみたり。う~ん、シンプルで大きいほうがいい。背景と同じ色の障害物をプレイヤーが認識できないデメリットはステージ構成でスタート時点の背景色と同じ色の障害物は配置しないことにして回避することにしました。
カラーホイールで色を変更したときに見た目と音で効果が欲しいですね。見た目については白色の円画像を用意し、変更後の色のマテリアルを適用しホイールの中心から拡大することで塗り替わっていくようなエフェクトにしました。
音はどうしようかな。8色あるのでドレミファソラシドがちょうど8音か。おぅこれだ!簡単なメロディを奏でたらタイミングよく色が変わってクリアできるステージとか最高じゃねえか!我ながら天才的な思いつきではないだろうか(自画自賛)、ということで色変更音は音階にしました。
人型の何かは10色にするつもりなのでシンプルなデザインが望ましいです。というわけで特にひねりもなく非常口のピクトグラムから人間を拝借することにしました。
非常口のピクトグラム
ざっくりだった仕様がまとまってきました。まとめるとこんな感じです。
・ステージには入口と出口がある
・入口からピクトグラム人が出現し自動で動く
・ピクトグラム人は障害物にぶつかると移動方向を反転する
・障害物は10色から白を除く9色とし背景色と同じ場合消える
・背景色は10色から白黒除く8色としそれぞれの色に音階をつける
・ピクトグラム人は10色とし白黒は特別な意味を持たせる
そろそろタイトルも決めたいです。十人十色がテーマなので英語にすると「テンピープルテンカラーズ」。カラーズのズの濁り感がいやだったのでテンカラーにします。ピープルよりピーポーのほうがインパクトありそうなのでタイトルを「テンピーポーテンカラー」に決めました。決めた勢いでタイトル画面を作成。
キューピー感はフォント由来なんでしょうか?タイトル画面をクリックすると床の色が変わってピーポー(ピクトグラム人)が落下してゲーム開始する演出をひらめきましたがカラーホイールに無い色に変更すると混乱するんじゃないかだがしかしカラーホイール中の色にすると同色になって見えないピーポーがでてくる一体どうすればいいんだ!と今思うと心底どうでもいいことで1日悩んだりしてました。
時間とのたたかい
後は(いつものことながら)時間との闘いとなり、ピーポーにさまざまなモーションをつけてイキイキとアニメーションさせるためにAnima2Dを採用したにも関わらず結果完成したモーションは走り1種類だけだとか、20面は欲しかったステージは5面しか作れなかったり、その5面のなかに自画自賛したアイデアのメロディと同期して色が変わってクリアできるステージが入っていなかったり、そもそも10色にするはずだったピーポーが黒1色だけになったり、ということは白ピーポーもいないので持たせるはずだった特別な意味ってなんなの?ていうかピーポーが色で消せないってゲーム性変わってない?となったりしました。
ちくしょう!だいなしにしやがった!お前はいつもそうだ。
入らなかった要素はお前の人生そのものだ。お前はいつも失敗ばかりだ。
お前はいろんなことに手を付けるが、ひとつだってやり遂げられない。
誰もお前を愛さない。
ゲームジャム最終日の日曜日、主要な要素をいくつも取りこぼした私は絶望的な気分で期限である20時を迎えつつありました。
とはいえゲームジャム毎回遅刻しているので今回は期限内に提出したい!ちょうど三の酉なので20時から酉の市に出かける約束があり遅刻してでも作りこむことが物理的にできなかったのも功を奏し、完成しているところまででなんとかゲームの形にまとめたものを期限内にアップロードしました。
提出して宣伝したあとすぐ出かけてますね。
いただいた反応とアップデート
抜け落ちた要素が多かったので結構絶望的な気分でいたのですが、遊んでいただいた感想はおおむね好評でうれしい誤算でした。ただやはり面が少ない!とのご意見を皆様から頂き(5面しかないのであたりまえ)、面と抜け落ちた要素の追加をしてアップデートしています。黒以外のピーポーも出現するようにし色変更の影響を受けるようにしました。自画自賛していたメロディ面についてもそれっぽいのを1面だけですが追加しています。
面は継続して追加していきたいなと思っています。がんばるぞ!
さいごに
本記事執筆中の2018年12月3日現在、プレイしてくださった皆様のおかげで「テンピーポーテンカラー」がUnity 1週間ゲームジャム お題「10」部門において人気TOPになっています。本当にありがとうございます。
次回のUnity 1週間ゲームジャム がどうなるかはわかりませんが、従来と同様であれば今回の人気TOPゲームの製作者がお題を決めることになると思います。もしお題決定の時に幸運にもまだ人気TOPで私がその大役を務めることになった場合に備え、過去に掲げた目標を忘れないよう張り付けて記事の締めとさせていただきます。
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