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事務系公務員には資格は必要なのか?

お久しぶりです。何回このセリフを言ったことか。

公務員の仕事は幅広いです。また、多様です。公共事業、福祉、税務、総務、企画、人事、財務と挙げたらキリがありません。
それだけの業務をやるんだから、「なにか資格ってあった方がいいんじゃないないの?」って思いませんか?

結論から言います。「資格はあったほうかもしれないけど、ぶっちゃけなくてもいい。あっても、手当のような金銭的なインセンティブが全くない。ただし、技術系公務員は除く。」です。

1.事務系公務員は資格がなくてもなんとかなる。

公務員の仕事は幅広いと申し上げましたが、各々の業務について、深みがあるのかというと、そこまでの専門性は高度に求められていないと考えます。

なぜなのか?高度な専門性を求められるような業務は、公務員は直営ではなくて、どんどん業務委託しています。
例えば、庁用車の運転はかつては、「技能労務職員」といった方々が、庁用車の運転を専らする常勤の公務員として任用されて、業務をしていました。
庁用車にはバスなど大型車がありますので、こうした方々は大型免許などをもっていました。また、人を乗せて運転するので、必須ではないのですが、二種免許を持っている方も多数いました。
しかし、現在こうした「技能労務職員」の方々は、人件費抑制などの行政改革の一環で採用を取りやめている自治体が非常に多いです。
では、今はどうしているの?というと、「運行管理業務委託」といって、自治体がお金を出して、専門の業者に業務委託しています。
大型車などは、大型免許を持っている職員がいなので、運転はできないのですが、こうした業者に頼むと、大型免許を持っている社員を配備しているので、運転をお願いすることができます。

これは一例ですが、自治体では、このようにどんどん業務委託をしていることで、高度な専門性が求められる業務は外部の業者に請け負っていただいています。
市役所の市民課の窓口も派遣業務として請け負ってもらっている自治体も多いですよね。

2.事務系公務員は資格を持っていても旨味がない。

資格をもっていることを全否定するわけではないのですが、資格を持っていても旨味がほとんどありません。
まず、何よりも資格を持っていても給与にほとんど反映されません。
民間企業であれば、資格がないとできない業務があるので、資格取得にとってインセンティブを与えることが多いと思いますが、事務系公務員の場合は、ほとんどそういった旨味は期待できません。
また、資格取得を検討したとき、民間企業であれば検定料や受講料を補助してくれる場合があると思いますが、これについても、公務員の世界ではほとんど聞いたことがありません。
ここまで聞くと、公務員って資格取得を奨励していないの?って思うかもしれません。そうです「奨励なんてしていません。」。
はっきりとは明言されていませんが、「(事務系)公務員の仕事は資格なんてなくてもできるわ。」とも聞こえます。
この世界では「資格取得」はほぼ「自己啓発」の領域です。

3.資格取得・保有自体は全く否定されるものではない。

では、「資格はなくてもいっか。ではない。」と私は考えます。
資格があれば、専門性が高まり、業者とやりとりする機会があれば、業務への理解が深まります。
例えば、業務委託など発注するものについての理解が深まれば、思っていたとおり成果品ができると思います。
例えば、情報システムに関する業務委託を発注する際に、情報システムに関する資格を持っていれば、多少なりとも受注業者と話をしやすくなると思います。(少しでも知識があれば、いきなり要件定義!とか言われたとしても、あーあれか。って少しでもなるような気がします。)

ただ、先程も申し上げましたが、こうした資格や知識があるからといって、金銭的インセンティブがあるわけではありません。
資格をもっていることで、業務への理解が深まりやすいというのは間違いないのですが、それで上司が評価してくれるわけではなく、同僚からも褒められることではありません。
所掌する担当事務ですから、過程はどうであれ、「やれて当たり前」なのです。

もしも、やりたい仕事があれば、関連する資格が保有していると、人事異動前の勤務意向調書作成時にアピールポイントになる可能性は高いです。実際、某田舎県では、情報システム部門には、情報系資格を持っている職員が配置されていることが多いです。(中身はITパスポートからとか非常に多様ですが・・・)
それなので、なにかやってみたい!という業務があるのでしたら、その業務と密接に関わりのある資格を取得してもよいかもしれません。
海外勤務したいのなら、例えばTOEICとかは必修なのではないでしょうか?

最後に。技術系公務員の方々も、金銭的インセンティブはないものの、土木関係の職種なら「技術士」や建築関係なら「一級建築士」、電気技師なら「電気主任技術者」などの資格を持つことを勧められるケースが多いかもしれません。(当然、これに要する費用は全額「自腹」となります。)
某田舎県では、管理職になるにはこうした資格がないとなれない職種があることを聞いたことがあります。

まあ、業務を発注したり、行う以上、関連する知識や資格があればいいと思います。そうした方が、住民サービス的にもいいことだと思います。
ただ、それ以上に公務員の世界では、それを評価するシステムがあまりにもなさすぎると思います。
結局、この世界で偉くなったり、権限を握る人って、この狭くて、閉鎖的な庁内政治を勝ち抜いた、ほんの一握りの人たちですものね。

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