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「コンビニ」の加速するDX

column vol.1198

コンビニ大手のローソンは、今年2月にKDDIとの資本業務提携契約を締結したことが話題になりましたが

今、デジタル人財の育成を加速させています。

2024年度中に本体の約4000人ITの基礎研修を受け達成度を試験

業務にかかわるアプリなどを開発した社員には特別報酬を出すなど報償制度を整えるほか、各部門に責任者を置いて組織全体でDXを進めています

〈日本経済新聞 / 2024年5月8日〉

そして、DXを進めているのはローソンだけではありません。

〜ということで、本日は他の企業も含めたデジタル化の事例をご紹介したいと思います。


生成AI活用で関連業務50%削減

DXのホットトレンドである生成AIの話題からお話ししたいと思います。

ファミリーマートは昨年12月から3ヵ月間にわたり、生成AIによる業務効率化の広範な実証実験を推進。

この結果により、関連業務を50%削減できる可能性を示唆しております。

〈ITmediaビジネスオンライン / 2024年4月30日〉

その上で、全社横断の「生成AIプロジェクト」を立ち上げ、50人のプロジェクトメンバー

●セキュリティ・レギュレーション作成
●Q&A作成・自動回答
●文書作成・要約
●定型シート作成
●法令・リスクの洗い出し
●翻訳

6領域に注力し、業務改善を試みると宣言。

ちなみに、マイクロソフトの小売部門では、生成AIにおける4つの変革を提唱しているのですが、これはコンビニだけではなく小売企業の参考になるので、共有させていただきます。

(1)Eコマースマーケティング
・パーソナライズされたマーケティングコンテンツ
・商品説明の自動化
・Cコマース

(2)店舗運営と顧客サービス
・データドリヴンな業務オペレーション
・自然言語によるコンテンツアクセス
・会話型サービス

(3)サプライチェーン
・リスクの特定
・消費者の需要シグナル把握
・プロセスと判断の自動化

(4)業務効率
・コンテンツ作成や議事録
・データに関するQA
・インテリジェントなオンボーディング

世界一の小売企業であるウォルマートでも、いち早く生成AIを取り入れています。

ChatGPTをチャット型ECに活用し、アレルギーを加味したコメントダイエットなど、その人の課題に応じてパーソナライズ化したレコメンドを展開しているのです。

ファミマに話を戻しますと、実証実験で得た手応えが、今後どのように実装されていくのか。

業界の中で注目が集まりそうです。

“心を動かす” デジサイに注目

「ファミマ×注目」といえば、もう1つ気になるニュースがあります。

同社ではデジタルサイネージ効果的な活用を行っているのです。

〈DIGIDAY / 2024年5月9日〉

「FamilyMartVision」は現在、国内店舗全体の約6割である1万店舗に設置。

ID-POSアンケートAIカメラなどを駆使して効果検証を行い、時間帯エリアに応じて配信メニューを最適化しています。

そのリーチ可能数は、2週間で最大5500万インプレッション

なかなかの販促効果ですね。

しかし、それ以上に同社が重視しているのが「つながる場」としてのデジサイであること。

ファミマのリテールサイネージ事業を担うゲート・ワンのCOOである速水大剛さん

「つながりには、商品やサービスの体験への満足度による機能的なつながりと、企業ビジョンやブランドパーパスへの共感からくる情緒的なつながりがあり、それらがブランドロイヤルティを形成する大きな要素となる」

と説明。

その裏づけとして

①FamilyMartVisionの視聴体験について明かすSNS投稿などから、日常生活の中で消費者の心を動かすタッチポイントになり得ることが分かったこと

②FamilyMartVisionの設置店舗は、未設置店舗よりも1日あたりの平均来店者数が約3.9人多いというデータがあり、人々を店舗に呼び込む役割を果たせること

③ある飲料ブランドで調査したところ、広告配信期間中にそのブランドの購入数量と来店頻度が上昇したが、期間終了後もその行動を維持する事例が見られたこと

の3点を挙げていらっしゃいます。

「視聴体験について明かすSNS投稿」というのは非常にポイントで、企業のSNS公式アカウントを運営していても、いかにUGC(一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツ)を生むかということが求められます。

一方で、実店舗を利用してくださるお客さんでも、公式アカウントは見ない・フォローしていないという場合が多いので、一番の情報タッチポイントである店舗で情報を伝え、UGCを増やしていくというのは、非常に合理的。

店舗はメディアでもあり、UGCの起点でもある

ということで理解すると、デジサイが「つながる場」という意味がより深く分かってきますね。

大手3社が店舗・宅配でデジタル強化

AI活用と並んで、コンビニ大手3社が力を入れているのが「店舗とアプリ在庫連携によるデリバリー強化」です。

この2つにより、従業員の負担軽減、生産性向上・機会ロス削減などを果たそうとしています。

〈食品新聞 / 2024年5月8日〉

デリバリーについての各社の取り組みは、次のようになっております。

まず、ローソンは4月から、デリバリー商品の店舗在庫「Uber Eats」などのアプリと自動連携するシステムを開始。

これにより「2~3割あった」欠品が基本的になくなるため、5月からデリバリー対象商品を700品目から3千品目に拡大し、積極的な販促活動も行っています。

セブン-イレブン・ジャパンの宅配サービス「7NOW」は、約1万2千店に拡大

店舗と自社アプリの在庫連携で注文した商品が欠品して届かないということが基本的に起こらないようにしています。

そして、デリバリー事業に参入せず、リアル店舗で独自のデジタル施策に力を入れているのがファミリーマート

そのカギを握るのが、先ほどお話ししたデジタルサイネージなのです。

ちなみに、各社社長の意気込みが興味深かったので、併せて共有させていただきます。

●ローソン 竹増貞信社長
「雨が降る日も風が吹く日も食事を取り、洗濯をし、化粧もして衣服を身に着ける。こうした日常から出てくる需要をローソンに取り込む

●セブン-イレブン・ジャパン 永松文彦社長
「注文した商品が欠品して届かないということが基本的に起こらない日本でこうしたシステムをこの規模で活用している企業は、私が知っている限りはない

●ファミリーマート 細見研介社長
「今後は地方のテレビ局やラジオ局など他社メディアと連携し、より特徴を持ったリテールメディアを展開したい」

各社それぞれのコメントに、「狙いの差異」が見えてきますね。

こうした差異を見つめながら、今後の展開を注視していきたいと思います🫡

そして、気がつけば本日は金曜日〜

この後は、楽しい週末が待っております。

それでは、また明日。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!


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