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“今までにない” 発想とは

column vol.1203

いきなりの質問で大変恐縮なのですが、60歳以上の方々にとって見る頻度が高い広告媒体は何だと思いますでしょうか?

まず、頭に浮かぶのは「テレビ」ではないでしょうか?

では、「新聞・チラシ」「Webサイト」「SNS」なら、どうでしょうか?

若い世代の方は、「新聞・チラシ」と思うのではないでしょうか?

しかし、実はこの3媒体については、ほぼ横並びのようです。

〈Web担当者Forum / 2024年3月14日〉

「らくらく連絡網」を運営するイオレ「インターネットとSNS」に関する調査結果を発表。

「らくらく連絡網」の60歳以上ユーザー306人が回答した結果が、こちらです。

イオレ / 「インターネットとSNS」に関する調査

まず、「テレビ」83.6%で断トツ。

しかし、

「新聞・チラシ」52.3%
「Webサイト」48.7%
「SNS」47.7%

その他の3媒体は、確かに変わりませんね。

このように時代は刻々と変化し、常に意識をアップデートする必要があります。

そして、それは新しい発想を生み出すことにも通ずることでしょう。

〜ということで、本日は “新しさ” の源泉について、その本質に迫りたいと思います。

ぜひ最後までお付き合いくださいませ。


新しい「インフルエンサーマーケ」

まず、今回のテーマで発信したいと思ったきっかけがあります。

ITmediaビジネスオンライン【“勝ち手法”だった「インフルエンサーマーケ」 急激に失速した2つの要因】という記事です。

〈ITmediaビジネスオンライン / 2024年4月24日〉※無料会員登録記事

SNSの発達により、時代を席巻してきたインフルエンサーマーケティングが今、曲がり角を迎えています。

これまで、企業はマーケティングにインフルエンサー、特に「マイクロインフルエンサー」を活用する流れがありました。

マイクロインフルエンサーとは、1万人から10万人のフォロワーを持つSNSクリエイター

ユーザー(消費者)に近くそこまで知名度が高くないという程良さが企業からウケていました。

一方、所詮は企業案件としての投稿です。

PRのために(ビジネスとして)やっていることは、見る側も分かっていますし、あまり企業案件が多くなっていくとファンの心も離れていく

…当たり前ですが、発信する本人が本当にその商品のことが好きでない限り、…なかなかユーザーの心は動かないのです。

そこで最近、企業は推奨してもらいたいインフルエンサーを本当のファンにさせる努力をしています。

つまり、ウソではない「誠」消費者に見せたいわけです。

一方、これは今までの「マスメディア×タレント」のプロモーションでも同じだったわけです。

単にタレントを起用して広告を打っても、アテンションにはなっても、実際にエンゲージメントにつながるかどうかは、また別

一方で、大谷翔平選手のロッカーに置いてあったコーセー『コスメデコルテ』リポソームシリーズリペアクリームと、ヴィタドレーブハーバルローション写真が拡散されると、大きなムーブメントが起きたわけです。

全ては「真実」であるか否か。

そこがポイントなのです。

「本質」を歴史から掴む

ただ、そうした本質的なことは、誰もが分かっていることなのですが、ついつい人間は本質を忘れてしまう生き物

都合良く物事を考え、楽をしようとしてしまいます…😅

ですから、「マイクロインフルエンサーを起用する」という新しい手法を生み出し、“真実風” を演出してしまう…

時代の変化を目の当たりにすると、「新しい捉え方」「新しい発想」を意識すると思いますが、最近は同時に「本質(普遍性)」に目を向けないといけないと感じているのです。

九州新幹線全線開業、ポカリスエット「ガチダンス」シリーズなど数々の国民的CMで知られる広告クリエイティブ界のレジェンド古川裕也さん

経営も広告も、種目は違うけれど、“いかに新しさを生むか”がクリエイティブジャンプなわけですが、これまでにないものをつくろうとするときの鍵は、歴史なんですね。「新しさ」とは、今までと比較・参照して今までの歴史になかったかどうかという相対的概念です。
(中略)
新しさとは、今までの歴史的コンテキストを裏切るということです。ただそれは、タイトルにあるように“3ミリ”でよく、300ミリだと、逆に誰にも伝わらない。オリジナリティを信じすぎるのは未熟かつ危険なことだと思います。

〈文春オンライン / 2024年5月10日〉

歴史の中にある「本質」「普遍性」丁寧に読み解いていく。

そして、その理解の上で3ミリ新しいものを生み出していくということが「新しい発想」の源泉なのではないかと感じています。

ちなみに、当社の先代社長は生前、「人の心が分からなくなったら、『万葉集』に戻ると良い」と話していました。

万葉集の中に息づく普遍性に触れた上で、今の世の「時代性」を捉えていく

若者の言葉で訳し、シリーズ累計25万部の大ヒットとなった『愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集』が、まさにそれを表していますね。

ちなみに、古川さんは

アイデアはニューロン同士がネットワークを形成して生まれると言われます。ということは、思いつくというより、ふだん無意識ゾーンでひっそり存在しているものが引っ張り出されて、それに気づく、という方が近いと思います。

と仰っているのですが、一見斬新に見えるアイデアも、過去に積み重ねてきた知識の組み合わせでしかない。

こうしたお言葉にも、「新しい発想」の正体が見えてきますね😊

常識を3ミリ裏切る

クリエイティブとは「常識を3ミリ裏切る」

この小さな裏切り驚き面白みが生まれるわけです。

そうした本質が詰まっていると最近感じた広告があります。

それは、東急グループデジタル技術による街づくりプロジェクト、「URBAN HACKS」電車内広告です。

〈ねとらぼ / 2024年5月11日〉

こちらは、同プロジェクトのエンジニア・デザイナーを募る採用広告

東急グループ / URBAN HACKS

広告を見ると、Webサイトのサイズや色、レイアウトなどを設定するためのプログラミング言語である「CSS」が記述されています。

何だろうと、よりコードクローズアップしてみると…

東急グループ / URBAN HACKS

「skill: 100%;」
「org-style: flat;」
「work-space: unset;」

など、実は職場環境を紹介する文になっているのです。

フラットな社風働く場所は自由スキルを100%生かせる仕事です」

といった感じ。

エンジニアの採用広告ならではの表現ですね〜

マーケティングは、WHO(ターゲット顧客)に、正しいWHAT(製品便益)を理解してもらうことが原点。

 URBAN HACKSの広告には、それが感じますね😊

〜ということで、本日は「新しい発想」の源泉に迫ってみました。

皆さんのアイデア出しのヒントになれば幸いです〜

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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