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現場から、 ~TBS NEWS~

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TBSテレビ報道局が運営するnoteです。記者個人noteやNEWS23スタッフnoteなどをまとめています。公式WEBサイトはこちら→http://news.tbs.co.jp
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#アメリカ

どうなる?12歳未満の新型コロナワクチン接種…🇺🇸9歳治験者に聞いた

アメリカ中西部ミズーリ州に暮らすハナ・リッピーさん(9)は8月に1度目、9月に2度目のモデルナ製の新型コロナワクチンの接種を受けました。まだ12歳未満は接種の対象になっておらず、臨床試験に参加しての接種でした。なぜ治験者になったのか?不安は?そして副反応は?ハナさんに聞きました(2度目接種1週間後の9月22日にZOOMで取材)。 (ZOOM取材に応じるハナさんと母・カレンさん) ワクチン臨床試験に参加の経緯ハナ・リッピーさん(9歳、以下ハナさん): 友達のお母さんが看護師

LGBTQ+〝闘いは続く〟 ~今こそ歩みを進める時

■2年ぶりのプライド・パレード@NYマンハッタンが、2年ぶりに〝虹色〟に染まった。 ニューヨークで6月27日に行われた「プライド・パレード」。LGBTQ+など性的少数者の権利向上や尊厳を訴えるデモだ。今年のテーマは「The Fight Continues=闘いは続く」とされた。 このパレードは、1969年6月28日に起きた「ストーンウォールの反乱」がきっかけとなって始まった。同性愛者が集うニューヨーク市内のバー、「ストーンウォール・イン」で、警察が不当な弾圧を加え、これに同

🇺🇸NY州でワクチン接種した日本人の幼稚園の先生に聞きました(2度め接種後、翌日の副反応を追記。ページ最下部参照)

新型コロナの感染者数が2500万を超えたアメリカ(1月24日時点)。ワクチンの接種が始まったのは2020年12月14日で、第一号となったのはニューヨークの女性看護師だった。そこから1ヶ月以上が経過したが、医療従事者の4人に1人がワクチン接種を拒んでいると報じられるなど、実は忌避感も強く、1月26日時点での接種率(1度目)は約6%(同日時点でイスラエルは32%、UAEで24.5%)。今回話をうかがったのは、在住歴22年でニューヨーク州ウェストチェスターの幼稚園教員、中山真由美さ

犯罪か正義か 「国家の秘密」を内部告発した女性の思い

日本でも公開されている映画「オフィシャル・シークレット」。 17年前、イラク戦争の開戦直前、戦争を止めるため、リスクを冒して声を上げた女性の実話です。 事態は“内部告発”で大きく動き出します。 これは実際にあった出来事。 人気女優キーラ・ナイトレイさんが演じる主人公のモデルになったキャサリン・ガンさんがJNNのインタビューに応じました。 「この部屋の誰かが、政府とこの国を裏切りました」 イギリスの諜報機関で働いていたキャサリンさんは、ある日、アメリカ政府から届いた一通

〝史上最悪〟のTV討論会~本当の問題点とは?

■「史上最悪」「混沌」・・・トランプVSバイデン 第1回TV討論会1960年9月26日。シカゴのテレビスタジオで、米大統領選史上、初のテレビ討論が行われた。候補者は、共和党のリチャード・ニクソン副大統領と民主党のジョン・F・ケネディ上院議員だった。 当時のスタジオは、司会者と候補者のみのシンプルな演出だった。よく知られている通り、この討論会は、〝最初のテレビ大統領〟と呼ばれるケネディ大統領を生むこととなった。ケネディ氏は、議論では負けたと見られたが、視聴者から「好感度」を得

〝ネガティブ・キャンペーン〟激化 ~逆転を狙うトランプ大統領

〝静寂の行進〟が問いかけること 日が暮れて、イースト・リバーの対岸で、マンハッタンの高層ビルのネオンが輝きだす頃だった。夕闇のなか、ブルックリン・ブリッジを数百人が歩く。新型コロナウイルスの死者を悼むデモ。人種差別問題などの抗議デモでは、憤りが込められた大きな掛け声があがる行進がいまも繰り返されているが、その日は、静寂の行進だった。 「17万5千人の死者」(※当時の数字。現在20万人を超えた) 「この死は、防ぐことができた」 手には小さなキャンドル。声を全く上げず、ボー

1980年代に言われた“世界最高の生活”とは?

私がジャーナリズムの仕事に就いたのは1986年。前年のニューヨークでG5(先進5か国・蔵相・中央銀行総裁会議)が「プラザ合意」で“円高ドル安容認”を打ち出したことから日本はバブル経済に向かい始めていた。当時、金融業界で言われていた“世界最高の生活”とは?35年経った今、改めて考える。 〇1980年代の“世界最高の生活” アメリカと中国は今や世界の超大国だが、トランプ大統領と習近平国家主席は先日、オンラインで開催された国連総会でも相手国を非難するという対立が続いている。19

2つの党大会で問われたもの ~ウソと誇張とレッテル貼り~

異例ずくめだった2つの党大会 大統領選の今後を予見するような言葉だった。ミシェル・オバマ氏のスピーチである。 「この4年間、多くの人に聞かれました。『相手のレベルが、とても低俗なとき、まだ”高潔”に向き合うのが本当に有効か?』と。私の答えはこうです、高潔に向き合うことが、有効な唯一の方法です。なぜなら、もし私たちも低俗になり、相手を貶め、非人間的に扱う同じ戦略を取れば、私たちも他の全てのものを消し去る、醜い騒音の一部になってしまうから」 (ミシェル・オバマ氏) 異例ずく

2つの危機が深める〝分断〟 ~どうなる?トランプ再選〜

激しい怒鳴り合いが起きていた。 場所は、ニューヨーク・マンハッタンの五番街。56と57ストリートの間にある、あのトランプタワーの前だ。その路上には、全長75メートルという巨大な文字、「Black Lives Matter」が黄色でペイントされている。トランプ氏は、計画を知った時点で、「トランプタワー/ティファニーのすぐ前にある名高く美しい五番街に…」と不快感を示していた。 ここに2つのグループが集まっていた。 「TRUMP2020」「Keep America Grea

「打倒、トランプ大統領」のカギに?〜民主党副大統領候補選び大詰め〜

 アメリカ大統領選挙まで3か月を切りました。今月下旬には、民主党、共和党がそれぞれ党大会を開催し、民主党はバイデン前副大統領、共和党はトランプ大統領を、正式に「大統領候補」として指名します。 その党大会では「副大統領候補」も指名されるのですが、民主党バイデン氏を支える副大統領候補選びが大詰めを迎えています。各種世論調査ではバイデン氏がトランプ氏をリードする展開が続き、「バイデン大統領」の誕生も十分にあり得る状況だけに、最終的に誰を副大統領候補に選ぶのか、大きく注目されていま

「あの時、原爆投下は止められた」原爆開発科学者と被爆者の初対話 全内容

今年8月6日、NEWS23「綾瀬はるか 戦争を聞く」の特集で、2005年の特別番組『ヒロシマ~あの時、原爆投下は止められた』の「原爆開発科学者と被爆者の対話」が放送されました。撮影は2005年6月。これを機会に、対話の全内容とともに、取材秘話も加えて掲載します。 アグニュー博士への来日提案 「広島に行ってみませんか。いや、あなたは、広島を見るべきだと私は思う」 気分を害することも覚悟して、インタビューの最後に提案した。驚いたように、博士は、妻の顔をのぞき込んだ。 その

"戦士ではなく、守護者であれ”  ~「全米で最も危険な街」の警察改革~

■抜本的な「警察改革」を求める声「Defund the Police=警察の予算を削減しろ」 「Disband the Police=警察を解散せよ」 その要求は、やや唐突に見えるかもしれない。 白人警察官に首を絞められ、死亡したジョージ・フロイドさんの事件への抗議デモ。その参加者が掲げるボードや横断幕に、「Black Lives Matter」とともに記されることが多い文言だ。ただ、「警察予算の削減や解散」が、事件を繰り返さないための対策になるのか?それだけでは、単に

遠目で見ていたBlack Lives Matterが身近に感じた

分かったようで分かっていない?「Black Lives Matter」という言葉は日本にもだいぶ浸透したのではないか。奴隷制度に始まる根深い歴史があることや、今も消えない黒人差別があるということは、教科書でもニュースでも見聞きしたことがある人は多いだろう。ニューヨークに暮らして1年半あまりが過ぎ、私も“何となく”分かった気にはなっていた。だが、1000人単位の人がデモ行進をしながら、大きな声で「Black Lives Matter!」と叫ぶのを間近で見れば見るほど、「日本人の

黒人差別に抗う~NYのストリートアート

ジョージ・フロイドさん 今、アメリカでこの男性を知らない人はほとんどいないと思う。 「ジョージ・フロイドに正義を」 彼がミネソタ州のミネアポリスで、白人警察官に首を圧迫された後に亡くなったのは5月25日。 その非道な行為を捉えた映像がSNSで拡散されると、黒人差別への抗議デモは瞬く間に全米に広がった。 事件から6日後の5月31日。抗議デモの混乱に乗じた一部の身勝手な人たちによって、ニューヨークは大規模な略奪に襲われた。 本来の抗議行動の意味を覆い隠してしまう姑息