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ワクチンを公平に分配するための国際的な枠組み「COVAXファシリティ」

チャーリーです。
1年間、ビジネス誌「THE21」で連載した内容を特別に公開許可いただいたので、1つずつ記事にすることにしました。

この記事では、ワクチンを公平に分配するための国際的な枠組み「COVAXファシリティ」という枠組みについて紹介します。

COVAXファシリティって?
COVAXファシリティの仕組み

COVAXファシリティ

COVID-19ワクチンを世界中に分配するために

2020年9月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを複数国で共同購入し、世界中の国々に適切に分配するための国際的な仕組みである「COVAXファシリティ」に、日本も参加しました。

当初は中国やロシア、米国が参加しておらず、実効性に疑問が持たれていましたが、これらの国々も参加に転じ、2021年1月時点での参加国は190カ国。ほとんどの国が参加するという、前例のない大規模なワクチンの調達と供給の仕組みです。2021年中に20億回分の安全で効果的なワクチンを供給することを目標としています。

COVAXファシリティを主導するのは、予防接種率の向上により子供たちの命と人々の健康を守ることを目的とする世界同盟「GAVIアライアンス」とCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)、そして、WHO(世界保健機関)です。

ワクチンの接種に欠かせない注射器や、迅速にワクチンを分配するために必要なコールドチェーンの確保は、ユニセフが準備をしています。

単なる途上国支援ではなく高・中所得国にもメリット

COVAXファシリティができたのは、2009年に新型インフルエンザのパンデミックが起こったとき、高所得国がワクチンを買い占めたため、途上国にワクチンが行き渡るのが遅くなり、終息までに時間がかかったという前例があるからです。

感染症は、1カ国でも終息しなければ、そこから再び世界中に広がる恐れがあります。自分たちではワクチンを調達する資金がない途上国も含めた世界中の国で、ワクチンを接種する必要があります。

そこで、COVAXファシリティでは、途上国に必要な数のワクチンを供給することにしています。

また、ワクチンを開発する複数の製薬会社に対して、研究開発や製造設備などのための資金提供も行なっています。これらに必要な資金は、高・中所得国が事前に拠出します。

一方、高・中所得国は、COVAXファシリティから、人口の20%分を上限として、ワクチンの提供を受けます。

自らワクチンを調達できる国であっても、自国の製薬会社が開発中のワクチンや、購入の契約を結んだワクチンが、安全で効果的なものになるとは限りません。COVAXファシリティに参加することで、多様なワクチンのポートフォリオを手に入れられることは、大きなメリットなのです。

高・中所得国は、COVAXファシリティからは人口の20%分までしかワクチンの提供を受けられませんから、残りは自国で調達しなければなりません。日本の場合、COVAXファシリティから調達されるワクチンは約2,500万人分です(1人2回接種)。

政府は3億回分以上のワクチンを確保しているとしていますが、これはCOVAXファシリティとは別に、ファイザーやアストラゼネカ、モデルナといった製薬会社と直接契約を結んで調達しています。

図解:チャーリー
取材執筆:桃山透

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説明は以上です。

こちらの記事は、PHP研究所が発行しているビジネス誌「THE21」で2021年1月号から12月号まで連載していた「図解で深掘り!時事ワード」の内容を掲載したものです。本記事が掲載された号は以下です。

誌面に掲載するフォーマット上、図解は2枚ずつ掲載しています。

本来は2枚じゃなくもっと枚数をふやして図解すべき内容もあるなと思いつつ、誌面の制限に従い、いったん全て2枚ずつでまとめるフォーマットで揃えています。

今回、日をあける形で記事の掲載を許可いただいたので、少し時間が経過しているものもありますが、ご了承ください。また、記事中にもし間違いなどありましたら直しますので、教えていただけると嬉しいです。

これらのテーマについて記事にしていきます。

  • サステナビリティー・リンク・ボンド【公開済】

  • TESLAの炭素クレジット【公開済】

  • パリ協定【公開済】

  • COVAXファシリティ【公開済】

  • ロングターム証券取引所

  • 選択的夫婦別姓

  • 規制のサンドボックス

  • 10兆円大学ファンド

  • インパクト加重会計

  • オリンピックのビジネスモデル

  • 東証市場再編

なぜこれらのテーマなのか?と聞かれると、その時々で気になっているテーマだったから、ということで選定基準はかなり属人的です。

振り返ってみれば、大きな枠組みの変化や、面白い仕組み、取り上げるべきイシュー、そういったテーマを選んでいた気がします。もともとの連載のリクエストとしては、時事的な話題をなんらか図解して紹介してほしいということだったので、時事的であることだけ縛りがあります。

掲載した記事は以下のマガジンに入れていきますので、今後の記事が気になる方はぜひフォローしてみてください。

以上です。

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