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拙いクリエイティブの露出は自らの恥をさらすようなものだが、成長のためには必要不可欠という話

元WEBデザイナーが、デザインの仕事についてつらつらと書いていきます。今回は、デザイン初心者が成長するために痛みを伴う事を避けて通る方法はいまだに確立されていない、という事について語ります。職業訓練・スクールでWEBデザインを学んでいる人、これからデザインの道をめざす人に読んでいただければ幸いです。


初心者は避けて通れない道

事の始まりにおいてはだれもが初心者ですし、知識、技量、経験の不足その他の理由で、できる事が限られたり、仕事の質が低かったり、出来栄えが拙かったりするのは当然の事かと思います。

仕事としてデザインをする場合、自身の制作物、サービスを誰かしら他人の前にさらして批評を受ける事になりますが、デザイン初心者は往々にして自らの制作物の出来・不出来、良し悪しを客観的に判断できず、時に自己満足、自画自賛に陥る事もあります。そして拙いクリエイティブを臆面もなく衆目にさらして、酷評を浴びるという事も良くあります。

自らの稚拙さ、拙さに気付かずにクリエイティブを露出する事は、自ら恥をさらしにいくようなものですが、作ったものをまずは世に出してみないとわからない事も多々あります。初心者が成長するためには、恥を覚悟で拙いクリエイティブを世にさらすのは避けて通れない道であると言えるでしょう。

講評会、鬼フィードバックの積み重ねで自分を磨く

職業訓練、スクール、専門学校、芸大・美大等、デザインを学ぶための方法のうち、オンライン・独学前提のもの以外はいずれも指導者からのフィードバックを受けたり、講評会等で他者の制作物と自身の制作物を比較される、という機会が必ず訪れます。

自分の作ったもの対して他人から批評を受ける事は勇気がいりますし、不評だった場合は精神的なダメージを受ける事も多々あります。しかし、デザインというものが他者との関係性で成り立っている以上、他者の意見は必要不可欠であり、他者からの批評は避けて通る事はできません。

デザイナーとして成長するため、自分を磨くために必要な情報は大抵他者の意見、批評の中にあります。また、他者と比較されるという経験を多少なりしておかないと、いつまでも自画自賛の世界を抜け出す事が出来ません。

「自分のペースで学びたい」「自力で学べるのでお金を掛けたくない」という理由で独学という方法を選ぶのは問題ないと思いますが、心のどこかに他人に批判される事に対する恐れや、他者と比較される事への恐れがあって独学を選んでいる場合は、デザイナーとして成長する機会を自ら逃していると言えるでしょう。

そもそも他人に批判される事を恐れていたのでは、デザイナーとして仕事をする事自体が難しいのではないでしょうか。

コンペ形式は落選時のフィードバックが無いから成長しない

ポートフォリオに掲載する実績を作るため等の理由で、クラウドソーシングのコンペ形式を成否にかかわらず利用する初心者は多いのではないかと思います。

コンペ形式の場合、落選になった時にクライアントからのフィードバックがないため、何がダメだったのかがわからずじまいで、失敗した理由は自己判断、自己分析する他ありません。

肝心なのは、見た目の出来・不出来よりも採用に至らなかった理由、クライアントのニーズに対して自分の提案の何が「ズレて」いたのかを知る事ですが、コンペ形式だと落選案に対してクライアントから個別にフィードバックをもらえる事はまずないので、その「ズレ」の理由を聞き出すことが出来ずに終わってしまいます。

クラウドソーシングのコンペは学校の課題ではなく、「ビジネス」です。

ほとんどのコンペ案件は初心者の育成が目的で開催されているわけではありませんし、クライアントは提案者の学習・成長を目的としていないので、提案者の制作物に対して個別に講評する義務も義理もありません。

単純に実績数を稼ぐという目的ならばコンペ形式を利用するのはメリットがあると思いますが、デザイナーとしての成長・学習を目的とする場合、コンペ形式ばかりを利用しても、質の向上、改善のために必要な情報を得る事が出来ず、堂々巡りになってしまう事もありえます。

恥や批評を恐れず、成長につなげる心の強さが必要

デザイナーとして成長していくためには、自身の中でPDCAのサイクルを回していく必要があります。自身のクリエイティブを発表せずに自分の内だけに留めていたのでは、Checkに必要な情報収集、改善のためのActionができず、成長のためのサイクルを回す事ができません。

デザインの仕事、クリエイティブな仕事に携わり、成長し続けるには、恥をかく事、他人の批評を恐れず自らのクリエイティブを発表し、成長につなげていく心の強さが、初心者が考える以上に必要になるという事を覚悟しておきましょう。



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