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栄養こそ最強最高の医療である【前編】

今回の記事は、最近読んだ書籍から抜粋、要約した内容を中心に解説します。

紹介する本は、分子栄養学を導入して病気や不調の根本解決に取り組む医師、三島渉氏の
『栄養こそが最高の医療である』

世の多くの人は、今でも
「病気になったら病院に行けばよい」
「病気を治すのは医者」
「栄養なんかで病気が治るか!(予防ができるか)」
と思っているはずです。

そのような中、長年臨床現場に従事する医師が
「栄養こそが最高の医療である」
と断言していることに意味があります。

この記事では、著者自身が「コアな部分」と言っている章の中から、さらに分子栄養学の核心を書き表している、と私が思ったページを抜粋して、解説を加えます。 

あらためて最強の栄養学、分子栄養学の基本的な考え方を整理して、今後の予防に役立てていただきたいと願っています。

記事の内容は
①細胞には本来、病気を防ぐ力が備わっている
②分子栄養医学は従来の栄養学と何が違うのか
③細胞の主成分はタンパク質と脂質
④酵素とホルモン、ビタミンとミネラルの重要性

【前編】では、①と②を取り上げます。
(記事の文末に動画を貼付しています)

①細胞には本来、病気を防ぐ力が備わっている

分子栄養医学は、体内の細胞にとって必要かつ十分な量の栄養素を摂ることによって、細胞の機能を最適化することを目指します。

すべての臓器は細胞からできていますから、細胞の機能がよくなってくれば、すべての臓器の働きがよくなってきます。

逆にいえば、不調や疾患を抱えている人は、ある特定の臓器の細胞だけが機能不全を起こしているというより、身体全体の細胞がうまく機能していないのです。

たまたま症状として出ているのが特定の臓器の症状であり、放置していれば、他のいろいろなところに不調が出てきます。

ひとつひとつの不調に明確な病名がついていない、少なくとも今の医学では病気とみなされていないから、医師も患者も問題視していないだけです。 

しかし、本来、病気というのはどこからが病気でどこからが健康と、あるところからハッキリ境界があったり、クリアに分かれるものではないのです。

ただ、人間は心理的に何らかの答えを求める性質があります。
患者さん自身も◯◯病と診断された方が納得するし、医師も説明がしやすいのです。

分子栄養医学では、病気と診断される以前の不調も含め、体に起きている問題を栄養という視点から統合的に見ていきます。
(抜粋ここまで)

ここでのポイント1つ目は、
すべての臓器は細胞からできているので、細胞の機能がよくなれば臓器の働きもよくなる。
つまり、摂るべき栄養素、摂るべき摂取量は、臓器に着目するのではなく、細胞を中心に考える必要があるということです。

もちろん、特定の臓器に対して効果が高い栄養素もあります。
眼のピント調整に働くルテインやアントシアニン、記憶力の維持に働くイチョウ葉などは有名です。

ただ、これら栄養素がその役割を十分に発揮するためには、眼や脳を構成する細胞が必要な栄養で満たされて、細胞の機能が高いことが前提です。
臓器ではなく、細胞にクローズアップするのが分子栄養学です。

ポイント2つ目は、
そのように考えると、特定の臓器の症状であっても同時に全身の不調が進行している、ということです。

たとえば肺炎患者の場合、肺以外の臓器は何の問題もなく元気だということは通常あり得ません。

病名診断はつかなくても、いわゆる「未病」状態です。
いつ全身病に移行するのかわからない、爆弾を抱えて生きると言っても大げさではありません。

だからこそ、すべての臓器を構成する細胞の機能が重要です。

②分子栄養医学は従来の栄養学と何が違うのか

糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素の働きととらえ方については、分子栄養医学も従来の栄養学も共通です。

大きく違うのは、主食やバランスの考え方です。

従来の栄養学・・・糖質(炭水化物)を中心とした食事
分子栄養医学・・・タンパク質と脂質を中心とした食事

従来の栄養学は、慢性的に食料が足りずに多くの人が栄養欠乏状態だった時代を出発点にして組み立てられています。
戦前・戦後すぐの食料不足の時代には、すばやくエネルギーになる炭水化物をしっかり食べることが、生き抜いていくための最優先課題でした。

とくに、激しい肉体労働に従事する人々の食事は米中心で、おかずは二の次でした。
(現代の先進国では)糖質の摂りすぎによって健康に悪影響を及ぼしているケースが多く見られます。 

それに対して、タンパク質と脂質が充分に摂れている人は多くありません。 

タンパク質は体(細胞)をつくる材料であり、代謝や心身の機能を司る酵素やホルモンの成分にもなります。
脂質はエネルギー源としても、また細胞を覆う細胞膜の材料としても重要です。

酵素を正常に機能させるには、補酵素としてビタミンとミネラルが充分に必要です。

分子栄養医学は、糖質の代わりに良質な脂質をエネルギー代謝に使い、タンパク質で細胞の代謝回転をよくして、ビタミン、ミネラルの働きによって細胞の機能をフルに発揮されることを目指します。
(抜粋ここまで)

ここでのポイントは時代背景です。

食料難の時代「まずは生きる」ために必要なのは、タンパク質でもビタミンでもなく、カロリー欠乏にならないことです。
お肉も玉子も高価で庶民には手が届かなかった時代、米を中心とした炭水化物でカロリーをキープするのは必須です。

また、この時代は第一次産業(農林水産業)に従事する人が圧倒的に多く、消化カロリーも桁違いであったために、お米をたっぷり食べる必要がありました。

しかし、その延長線上で現代の食事を組み立てると、健康を害してしまうのは自明の理です。

今は体を動かさずに仕事をする人がほとんど。
にもかかわらず、炭水化物ばかり摂るから肥満や糖尿病だらけになります。

また「まずは生きる」時代はとっくに終わり、
「より健康になる」時代です。

エネルギーにしかならない炭水化物ばかり摂っても、健康になれるはずがありません。
その代わりに摂るべき栄養素が、タンパク質と良質な脂質、そしてビタミンとミネラルです。

ところが、厚生労働省が定めている
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
では、 男女すべての年代で、
1日の食事から摂取するエネルギーの
50〜65%を炭水化物から摂ることが推奨されています。

この70年前後で小幅な変更はあったのかもしれませんが、これでは戦中戦後と大きく変わりありません。
令和の現在でも続く従来の栄養学で予防はおぼつかないのは、このあたりに理由がありそうです。

では、糖質(炭水化物)を減らして、その分タンパク質と良質な脂質のウエイトを増やす理由。
それについて【後編】で解説します。

本の購入サイト(Amazon)はこちらです。


【前編・まとめ】

全ての臓器は細胞からできているので、細胞の機能がよくなれば臓器の働きもよくなります。
摂るべき栄養素は、細胞を中心に考える必要があります。

また、特定の臓器の症状であっても、全身の不調が進行している可能性があります。

従来の栄養学は、戦前戦後の食糧難の時代に端を発しているため、糖質(炭水化物)が中心です。
一方で分子栄養医学は、良質な脂質をよりエネルギー代謝に使い、タンパク質で細胞の代謝回転をよくします。

記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。 


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