「いい事ばかりはありゃしない」忌野清志郎の言葉。
(忌野清志郎の言葉28)
アメリカのロックバンド、THE BANDは、忌野清志郎がリスペクトした
バンドの一つ。その影響を色濃く感じるのが、
「いい事ばかりはありゃしない」という曲だ。
THE BANDの楽曲「ザ・ウェイト」にインスパイアされてつくったと
清志郎自身がインタビューで答えている
いい事については語られず、
悪い事ばかりが綴られていく。
スピード違反、予期せぬ妊娠、仕事のヘマ。
酒を飲んだら悪酔いして、駅でウトウト、ゲロを吐く。
涙ぐんでもしょうがない、
金が欲しくて働いて眠るだけ、と結ばれる。
何もかもうまくいかない。誰にでもそんなときがある。
やるせなさ、むなしさ、怒りを抱えながら、酒をあおるときもあるだろう。
しかし、そんなときに、この曲を聴いても絶望感におちいることはない。
それは、タイトルに救いがあるからだと思う。
いい事なんかありゃしない
ではなく
いい事ばかりはありゃしない
歌で語られている今のその前は、
いい事ばかりだったとにおわせている。
今を耐えれば、またいい事がいつかやってくる、
そんな希望を抱かせる曲だと感じる。
この曲について、ファンの間で
よく語られているのが「月光仮面」という表現だ。
「月光仮面」が来ないとは、月のもの「生理」が来ないの意。
妊娠したかもしれないということだ。
そして、清志郎は月光仮面というキャラクターを
登場させる事で、
男と女をうまく対比させている。
月光仮面は、日本の覆面ヒーローの元祖。
オートバイで現場に駆けつける。
男は、バイクが来たことを嘆き(スピード違反)。
女は、バイクが来ないことを嘆く(妊娠)。
う〜ん、お見事。
時間をかけて、じっくりと
練り上げられた作品だと感じる。
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