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visionOSでのSharePlay体験

はじめに

2024年にAppleからVision Proというヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)が発売されます。そのVision Proに搭載されているのがvisionOSです。
ここではvisionOSで開発を行うために必要な情報をまとめていきます。

なお、書いている内容はAppleから公開されているWorld Wide Developer Conference(以下、WWDC)の動画や、Design Guidelinesに書かれている内容を参考にしています。ページの最後に参考にしたWebページのURLを貼っています。詳しく知りたい方は参考先のURLも見てみてください。

SharePlayはiOSやmacOSでも利用でき、複数人で様々な体験を共有できるFrameworkです。visionOSでは、SharePlayを使うと仮想空間で複数人が体験を共有できるように拡張されています。

visionOSでのSharePlay

SharePlayでは最大5人でコンテンツを共有できる
出典:WWDC23 空間コンピューティング向けのアプリ構築のための準備

SharePlayはGroup Activities Frameworkによって実現されています。
例えば3Dモデルを共有すれば、ユーザー間で向き、大きさ、アニメーションが同期され、異なる場所にいても簡単にコラボレーションする事ができます。

SharePlayでは、FaceTimeを使って各ユーザーの空間内にペルソナと呼ばれる他のユーザーの顔が表示されます。こうすることで、ユーザー同士がペルソナを通じて、まるで同じ空間に居るように対話ができ自然なコミュニケーションが行なえます。

コミュニケーションとは、言葉を交わすだけではありません。ジェスチャーや表情など非言語コミュニケーションも重要です。visionOSではそういった非言語コミュニケーションもSharePlayで実現されています。

SharePlayでは自分を含めて最大5人でコンテンツを共有することが可能です。コンテンツは参加者全員が同じ方法で体験できるように共有されます。ただし、音量などの環境はユーザーごとの環境によって独立することができます。

ウィンドウの上部に共有中(緑色のShared)か表示される
出典:WWDC23 Design spatial SharePlay experiences

SharePlayで共有するウィンドウは共有と非共有なものを共存可能です。また、共有と非共有が明確に表現されていて、ウィンドウ上部に共有中(緑色:Shared)か非共有(灰色:Not Shared)が明示されています。非共有から共有にドラッグアンドドロップでコンテンツを移動することも可能です。

Special Persona Template

SharePlayでコンテンツを共有する場合には3つのテンプレートが準備されています。

Side-by-Side Template

映画やテレビのようなメディアを共有するのに最適
出典:SharePlay Apple 開発者向けドキュメント

Side-by-Side Templateではユーザーは横並びに隣り合った状態になり、共有コンテンツは正面に配置されます。これは、映画やテレビの様にメディアを一緒に視聴する様な体験に適したテンプレートです。
ただしこのテンプレートでは隣り合ったユーザーではなく、共有コンテンツに注目する形になるため、表情など非言語なアクションが伝わりにくくなる可能性があります。

Soround Template

ボードゲームのような机を囲むようなシーンに最適
出典:SharePlay Apple 開発者向けドキュメント

Soround Templateは共有コンテンツを中心にユーザーは囲むように配置されます。これは、机の上にボードゲームを置いて集まって遊ぶ様な体験に適したテンプレートです。
ユーザーはコンテンツをそれぞれ異なる角度から見るようになるため、共有コンテンツは3Dモデルの方が適しています。また、共有コンテンツと同時に他のユーザーの表情などが見えるため非言語なアクションが伝わりやすくなります。

Conversational Template

リビングで机を囲んで談笑しながらBGMに音楽を流すようなシーンに最適
出典:SharePlay Apple 開発者向けドキュメント

Conversational Temaplteは中心点を基準にユーザーは囲むように配置されます。Soround Teamplateとの違いは共有コンテンツは円の中心ではなく、円に沿って配置されます。これは、リビングで机を囲んで談笑しながら、共有コンテンツとしてBGMで音楽を流すシーンの様な場合に適したテンプレートです。

まとめ

iOS等ではすでに存在しているSharePlayのFrameworkですが、visionOSならではの体験ができるようになっています。SharePlayを使えば遠く離れた人とオンラインでいつでもつながることができ、しかもその場に居るような体験を提供することが可能です。オンラインとオフラインの間のような体験が実現されると思うと今から楽しみです。

あとがき

visionOSについて現時点で書ける範囲での本を書きました。2023/11/12(日)の技術書典15で販売するのでよろしければ。

visionOSの開発をみんなで勉強するためのvisionOS Developer Communityを始めました!

参考


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