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来る4月CPIに向けてのTom Leeの予想

イントロ

皆さん、こんにちは。
今週は主だった経済指標の発表が少なく、株式市場は個別の決算に反応する一方で、インデックスは全般に緩やかな上昇を見せました。
ただ、売買ボリュームはそれほど膨らまなかった印象で、その大きな要因の一つが来週に迫った4月のCPI発表待ちであることは間違いないでしょう。

今回は、先日出演したCNBC番組のインタビューでTom Leeが今後のインフレ動向についてコメントしていましたので、ここで紹介します。


インフレは急激に低下する

A lot has to do with CPI remaining stubbornly high. Powell talked about the lag in housing. Home prices are stabilizing and rents are getting back to traditional rates of growth, but it is reported in CPI at 12%. Auto insurance is non-housing which is rising at 21%. That is because auto rates are jumping. That is not going to keep going. Once that starts to normalize, you think of median inflation of 1.8%. I think inflation will cool dramatically. I don't know when, but it will be some time in the second half of the year.

Interview on CNBC television@5/6/2024

まず初めに番組アンカーから、なぜインフレの低下とそれに伴う株価の上昇を予想するのかと問われます。

和訳(意訳含む)「CPIは依然として高止まりしており、それが市場のセンチメントを下げる方向に働いています。ただし、Fedのパウエル議長も指摘したように、この高止まりしたCPIは住宅関連によるものです。住宅価格は安定化しつつあり、賃貸価格も通常の上昇率に戻ってきています。それでも先月のCPIの中では+12%となっていました。また、住宅以外では自動車保険が+21%の上昇でしたが、それは自動車価格が急上昇したためで、継続して上昇するようなものではありません。これらの上昇が正常化すれば、CPIはその中央値である1.8%程度に近づくでしょう。個人的には、インフレは急激に低下すると見ています。それがいつ起こるのかは分かりませんが、今年後半のどこかの時点と言えるでしょう。」

Tom Leeは一貫して、今年中にインフレは低下してFedが利下げを開始すると発言してきていますが、今回のインタビューでの発言ではその自信度合いが上がっているように感じます。

当然のことながら、先日紹介したように、リアルタイムで提供される民間のインフレ統計データも把握しての強気姿勢だと思われます。


ウォーレン・バフェット

また同じインタビューの後半で、先日行われたBerkshire Hathawayの年次総会における、バフェット氏の経済に対する弱気姿勢に対してコメントを求められたTom Leeは、以下のように見解を述べました。

I understand where he's coming from. I think if someone said what are they anxious about, then it is the fiscal deficit or size of the deficit.
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(Interviewer) I'm not sure it was that. He was asked about that. That wasn't his issue. The issue was – I don't want to put words in his mouth – the strength of the market and whether it's potentially overpriced
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He's steering a huge ship. He has to think in longer terms. To us, earnings growth is accelerating. Q1 earnings are up 7%. Three groups are down 20%: energy, healthcare, and materials. Energy and healthcare flip to positive next quarter. You know there's a lot of pent-up demand. Capital spending is picking up. There's $6 trillion in cash on the sidelines.
People have been cautious for more than two years. The risk/reward is pretty good. I don't know maybe Warren's lenses are more for 10 years out and that is when you would be cautious, but I think the next year looks good.

Interview on CNBC television@5/6/2024

和訳(意訳含む)「彼が現在の経済状況に悲観的な理由を推測すると、おそらく巨大に膨張した財政赤字を心配しているのではないでしょうか。」

番組アンカー「いや、彼は財政赤字に対しては問題視していないと言っていました。むしろ現在の株価が過大評価されているといったニュアンスでした。」

和訳(意訳含む)「もちろん彼は巨艦を操舵しているのですから、より長期的な視点を持っているのでしょう。私たちにとっては、直近の決算の利益成長は+7%と加速しています。これは20%も利益が低下したエネルギー、ヘルスケアそしてマテリアルセクターを含んでの値です。このうち、エネルギーとヘルスケアセクターは来期はプラスの利益率となるでしょう。
また、ペントアップ需要、設備投資は上向きですし、6兆ドルの現金がいまだに眠っています。センチメント面では、人々は2年以上も投資に消極的でした。つまりリスク・リターンはとても良い環境なのです。おそらくバフェット氏は10年先を見越しているのでしょうが、短期的にはポジティブな環境だと思います。」

最新のミシガン大消費者信頼感指数

以上のように、Tom Leeは4日前のインタビュー時点ではインフレ低下に対し、かなり楽観的でしたが、今日発表されたミシガン大消費者信頼感指数では、インフレ期待が3.5%に急上昇しました。

これに対して、Tom LeeはXで下のようなデータを示し、歴史的にミシガン大のインフレ期待はガソリン価格に連動すると指摘しています。


最後に

CPIが本当に米国のインフレ状況を正確に把握しているか、という点に対してTom Leeは懐疑的ですが、それでも株式市場にとっては大きな転換点となりえる経済指標であることは確かです。
ですから、5/15/2024に発表される4月のCPIは要注目のイベントとなるでしょう。

それでは。

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