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7.キリンの仔(淀井敏夫)

文化勲章受章者を彫刻家であり、東京芸術大学で美術学部長を務めていた淀井敏夫さんの作品、『キリンの仔』。ブロンズ作品が多い淀井さんの作品の中で、こちらの作品が白セメントでつくられているのは、この作品が小野田セメント社が協賛した野外彫刻展の出品作品だったからなのだろう。

この野外彫刻展は、セメント会社である小野田セメントがスポンサーとして協力しており、作家に材料や制作費を提供した他、作品の一部は小野田セメントが買い上げて、日比谷公園や日本各地の施設に寄贈を行った。この作品展の企画自体が、企業とセメントのPRの一環でもあった。企業が芸術のパトロンとなって、芸術文化の発展に寄与した。

淀井さんにとって、キリンは彫刻作品の格好のモチーフだったようで、日比谷公園の『キリンの仔』以外にも、大小さまざまな作品が残されている。ほとんどがブロンズ作品のようなので、白セメントでつくったものは珍しい。野外彫刻展用につくったものだからであろう。

淀井さんの作品としてはもう一つ、日比谷公園の国際通り側に『鴎(実際のタイトルは旧字体)』という作品もある。こちらは、大きな噴水彫刻である。

朝来出身の淀井さんの作品は、あさご芸術の森美術館―淀井敏夫記念館―の常設展示として鑑賞することもできる。

参考資料

淀井敏夫
https://ja.wikipedia.org/wiki/淀井敏夫
「鷗」(かもめ)
https://www.kurotani.jp/gallery/2643

「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。