マガジンのカバー画像

ともみの部屋 #2

294
伊佐知美の、世界一周の旅とエッセイ。2016年10月〜
運営しているクリエイター

2018年8月の記事一覧

夏の風秋に近づくこと、お願いもう少しだけ認めさせないでいて【日本・東京→新潟】

夏の風秋に近づくこと、お願いもう少しだけ認めさせないでいて【日本・東京→新潟】

この夏は、いつもより「夏をしていた」気がする。ただそれは、海に足をつけたり花火を見たり、浴衣を着たりしたことだけが理由ではなさそうだった。

今年の夏は、例年よりもずっと暑かった。地球全体で、そう言っていたような。

夜眠る前に冷房を消したのに、やっぱり蒸し暑くて夜中にどちらかが起きて、「ぴっ」と音をさせたこと。扇風機を回すのか、除湿にするのかで少しだけ逡巡したこと。午前中に家の近くのカフェに行く

もっとみる
時折、すべては嘘なんじゃないかと思う|島本理生『夏の裁断』

時折、すべては嘘なんじゃないかと思う|島本理生『夏の裁断』

時折、すべては嘘なんじゃないか、と思うことがある。嘘、というのが言い過ぎたのなら、本当は求めていない極めて薄っぺらい雲の上に、空想と妄想と願望が抱かせた國に、少しだけ生きたこと。

まともに生きる、という普遍が今の世の中になさそうなことには、私以外のひとも気がついているだろう。であれば「私のしあわせ」を探し定義してゆくしかないのだが、果たしてそれは薄氷に喜劇を積み重ねるようなものであっていいのだっ

もっとみる
集まる理由が欲しかった。それを「居場所」と呼ぶのだろう #旅と写真と文章と

集まる理由が欲しかった。それを「居場所」と呼ぶのだろう #旅と写真と文章と

「やっぱりそれを、みんなと共有していきたいなと思っている」と、その人はインタビューの最後に言った。私が尊敬する、ニュヨーク在住のライターの、佐久間裕美子さん。

■生きるって簡単じゃない。だからこそめいっぱい走ろう、私たちはひとりじゃないから|『ピンヒールははかない』著者・佐久間裕美子

「共有」すること、そして「共感」することの大切さと、それへの切望と渇望が、自分の中に。いえ、みんなの中に、流れ

もっとみる