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朗読劇版のTHE FIRST TAKEを目指して

100年越しの初恋~KLM~が終幕しました。
顔合わせから本番・打ち上げまでを一日で行うという実験企画でした。参加してくださった演者の皆さん、ご来場くださったお客様、ありがとうございました。

何を隠そう、演者とスタッフが一番スリリングなこの企画。
会場となった溝ノ口劇場さんの全面的な協力、過去公演で何度もオペを担当してくださった優秀な音響スタッフの皆さん、つい先月の公演で照明や映像オペレーションを手伝ってくれたスタッフの皆さんに恵まれたからこそ、成立した企画だったと思います。

芸とは本来、反復練習を通して「磨き上げられるもの」なので、稽古もなしで板の上に上がるなんて無謀だという声があるかもしれません。ですが、演劇興行においてはこの「稽古」がやっかいです。とにかく時間がかかります。

時間は有限です。稽古の拘束時間も含めて高額なギャラが出ているわけでもないため、その時間を奪われれば奪われるほど、役者は他の何かを犠牲にして舞台に立たなくてはなりません。

他の仕事(バイト含む)の時間、家族との時間、友達や恋人との時間……
そういったものを否応なしに削っていき、ちょっとずつ無理がたたっていく。そして結局、大好きだった舞台から離れてしまう……そんな人たちばかりいるのが現実です。

稽古の時間をゼロにすることで、稽古の場所代なども全てキャストのギャラに還元することが可能になります。その結果、通常の演劇以上のギャラが払えるという好循環も生まれます。

さて今回やってみてですが、自分の中で明確な課題と発見がありました。というのも昨今増えている「インプロ(即興劇)」とは違い、「何が飛び出すのか」という純粋な楽しみでは作品を観ることが出来ないのが原因でしょう。脚本・演出という立場で作品を観てしまえば「ここはこう見せたい」「役者にはこう演じて欲しい」という希望がどんどん湧いてきてしまいます(笑)まあ当然と言えば当然なんですが。「ここは稽古してればなぁ~」という歯がゆさが多々ありました。

それでも勘のいい人、経験豊富な人、準備が出来ている人――すなわちプロと呼ばれる人たちは、最初からこちらの想像を超えるもの、唸るものを見せてくれます。逆に、今回は若手をたくさん器用したため、そこまで届かなかった演者さんもいます。ですがそれはそれとして、その演者さんが何かを学んだり、覚醒するきっかけの一つになれれば幸いです。やっぱり何事も、トライ&エラーだと思います。

100年越しの初恋は、まだまだ続きます。
3年連続で公演を打ち、チームAから始まりチームMまで来ました。チームZまでやるのが当初の目的なので、来年の夏にもまた再演を打ちたいと思っています(もちろん、脚本全文公開でオーディションを行う予定です)

これを読んでいる方は、次は是非演者としてご参加くださいませ!




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