エストニア移住後に、留学先のデンマークに行ってみた
2016年9月以来、6年ぶりのデンマーク、コペンハーゲン。
私は大学を休学してデンマーク発祥の全寮制の成人教育機関フォルケホイスコーレに6か月行ったあと、3か月くらいヨーロッパを旅したり、ホスト宅で働きながら泊めてもらうサービスworkawayをしたり、日本人向けの短期フォルケホイスコーレプログラムの手伝いをしたりしていたのです。
友だちに会いたかったのと、移住したいと思ったときに浮かんだ国はデンマークとエストニアだったから、イースター休暇に行きました。
デンマークとエストニア
近くも遠くもない国ですが、むかーし、エストニアはデンマークの支配下にありました。エストニアの首都タリン(Tallinn)は「デンマーク人の街」って意味で、タリンの旧市街地には”Danish King’s Garden”があるし、タリン市の紋章はデンマークの王章から来ている。(あとでちゃんと調べて加筆します)
またまたデンマーク🇩🇰の国旗は、エストニアとの戦争で勝ったときに降ってきたものだと言われてる(デンマーク人の友人も知っていた)。
だかはタリンの旧市街地は、コペンハーゲンと似てるものもあります。
デンマークはイメージのように北欧の文化。エストニアは、言語はフィンランド語に一番近く、文化は歴史的な背景から、東欧×北欧×ロシアな感じなのが、7か月住んでの感想です。
コペンハーゲンの街に着いて早々に思ったのは、6年前は気付かなかったけど、街が意外と汚い。笑
タバコの吸い殻、ペットの💩、ポイ捨てとか…イースターの祝日でパーティーが多かったのもあるだけろうけど、渋谷のセンター街レベルの汚さをたまに目にしました。
コペンハーゲンの方が道路整備や自転車道路は整ってるけど、タリンの方が街はきれい!
食事
スーパーやカフェで、古い記憶がよみがって、「あーー、デンマークのこれ恋しかった!」と思うものがあった。
例えば、デンマークの代表料理、オープンサンド。エストニアは、スーパーにライ麦パンは売ってても、デンマークのように豪華に盛り付けたオープンサンド(smørebrød)は少ない。
コペンハーゲンの小さめのスーパーにも、どーーんとオープンサンドの具コーナーがあって、オープンサンドの食文化を感じた。
他にはケーキ。エストニアのケーキはクリームでデコレーションされたものやマジパンが入ったものが多くて、デンマークのようにDrømecake(Dream Cake, ココナッツキャラメルが上に乗ったケーキ)とか焼いたケーキは少ない印象!
あとデニッシュとカルダモンがたっぷり入ったシナモンロールも、デンマークらしいベーカリーで、エストニアではあまり見かけないかもなぁと思いました。
オーガニック事情
コペンハーゲンの物価はやっぱり高いけど、オーガニック製品の値段はそこまででもないかも?と感じたのが嬉しい発見でした。
見たり買ったりしたオーガニック商品
レバーパテ300円(19.5DKK,
オレンジ 6つ250円(16.5DKK,
りんご1kg 360円(24DKK,
じゃがいも1kg 180円(12DKK,
ヨーロッパは全体的にじゃがいもが安いと思う高めのアイスクリーム 2種類 600円(40DDK, €4.6)
高めのベーカリーでお茶とペイストリー2つ110円(63DKK, €8.5)
高めのベーカリーでカフェラテとペストリー2つ 1700円(102DKK, €13.7)
全体的な物価はコペンハーゲン>東京>タリン
だけど、生活品のオーガニック商品の値段はタリンと同じくらいかな?と思った。
カフェや外食というより、スーパーに並んでるオーガニック商品はあんまり高くない。
タリンだと、オーガニック製品の値段はそうでないものと比べるとちょっと躊躇したくなる値段だけど、コペンハーゲンの場合はもっと気軽に買える値段だった。50円プラスとか?
にしても、オーガニックカフェやオーガニック製品の多いこと!さすがオーガニック先進国です。タリンでももっと増えてほしいなぁ!!
サステナビリティ
デンマークに住む友人と話していると、”sustainable”とって言葉をよく耳にした。
「テスラはサステナブルな選択だ」とか
「その解決策ってサステナブルじゃなくない?」とか。
Uber, Boltのようなtaxi配車アプリViggoも、電気自動車のみでサステナブルを唄ってた。
昼間の市街地5kmで185DKK(2780円)って出たので使わなかったけど。笑
こっちに来てたからタリン、パリ、コペンハーゲンに行ったけど、1番電気自動車を見た街でした。充電ステーションもいたるところにあったのは、6年前との大きな違い。
なにやら友人曰く、政府が補助金を出してるらしい。友人の彼と、別の友人の親の車がテスラで、テスラが人気なんだな〜と感じました。
天気
天気ね〜、デンマークは冬も自転車乗れるし、花も咲いてたし、運よく晴れてた。
タリンは風が強く、今年は特に雪が多かったから、ザ・雪国。
12月にフランス行ったとき、マフラーも手袋もいらなくて荷物になったのを覚えてる😅
今の日没は20:30ごろで、サングラスしてる人も多い。冬のコートにサングラスって変な感じするけど、ヨーロッパでは当たり前の光景な気がする。
コペンハーゲンも日差しが強かったので、日焼け止めを持ってくればよかったです。
エストニアのJOIKってオーガニックコスメブランドの下地を使ってるのですが、日焼け止め成分入ってなかった、、😭
日本だと下地にSPF入ってるの当たり前だけど、こちらじゃ当たり前じゃないよなぁ、と。
当たり前と思ってることが当たり前じゃない。自分のなかの自明性を解体していくのは、海外生活でおもしろい部分。
住宅事情
古い建物をリノベーションしてるのは、タリンもコペンハーゲンもよく見る。
一方違うのは、コペンハーゲンは家賃も高いし、家探しが大変なこと。
カップルや友人同士で1LDK, 3DKとか大きめのフラット(英語のflatってなんて言うんでしょうね、日本のアパートとマンションの間みたいな?まぁマンションですね)をシェアしてる人も多い。
タリンは物価の割に家賃が安い印象。一人暮らしが当たり前だし、割と新築でキレイな物件も見つかる。
あとは個人的に大きいのがお風呂。
海外在住邦人が、ビニールプールみたいのにお湯を溜めてお風呂にしてるのをたまに見るけど笑、デンマークはシャワールームが小さいのです。マジで日本のアパートのトイレくらい。
「バスタブ(浴槽)にアクセスできる国に住みたい」
と思ってエストニアを選んだのもあったから、この5日間でたまたま訪れた友人宅3軒とも、シャワールームが小さいのを見て、
「エストニアのお風呂とサウナとスパを捨ててこの国で暮らせるかな…」と勝手に思ってました。
エストニアは、旧ソ連時代の建物にバスタブはよくついてる、と友人が教えてくれました。
エストニアはシャワーのみ、バスタブのみ、シャワー&サウナのいずれかのタイプが多いです。
ヨーロッパの特徴は、緯度が高いがゆえに冬は日が短く、夏は日が長いこと。
4月中頃の今で、日没は20:30頃である。
どうしても身体が「明るい=活動時間」とみなしてしまうので、調子が狂う。
晩ご飯が遅くなったり、旅行中はまだまだ時間ある!と思って歩き過ぎたり。
昨日も20時近くにスーパーに行こうか迷ったけど、いや日本だったら暗いし面倒くさくて行かないな、と思い辞めたのであった。
冬の暗さに比べたら100倍マシだけど、時計を見ながら生活リズムを作らないとなぁと思う。
人柄
留学中はあまり注意して見てなかったからか、東京とタリンに比べて、デンマークは店員さんとスモールトークしたり、陽気だなぁ〜この人たち、と。スペインとかイタリア行ったらどう感じるんだろう。笑
オープンサンド(Smørebrød)が食べたくてそのお店にあるか聞いたら、「ここならあると思う」と他のお店を教えてくれたり、
Wiseのクレジットカードで支払ってたら「Wiseが一番だよね!」ってレストランの店員さんが話しかけてくれたり。
東京やNYの都会の人の冷たさとは違うのか似てるのか。エストニア人は物静かで、ストレートに議題に入り、個人主義な感じ…?
コペンハーゲンとタリン、1人暮らしかシェアハウスなのか、車社会なのか自転車社会なのかの違いもあると思うけど、コペンハーゲンの方がグループで行動してる大人をよく見た気がする。笑
タリンは車なくてもぜんぜん生活できますが、車とペットを持つハードルは東京より全然低い。郊外に住んでたり、子どもがいたりすると車持ってる人が多いかなぁ。
フィンランド人はもっと静かというジョークはよく聞くけど、エストニア人も静かなんですよねぇ。
パートナーシップ
エストニアでも事実婚、連れ子とかはよく耳にするけど、長年パートナーがいる子とのガールズトークは、結婚するかしないかじゃなくて、子どもを持つか持たないか、の話題になっていた。
デンマーク人の女友達は「ボーイフレンドのお父さん(たしか)はモロッコ出身で、お母さんはデンマーク出身。宗教の関係でお父さんだけ断食してたけど、他はみんな気にせずイースターの食事しててねぇ」と笑いながらに語る。
別のデンマーク人の女友達に「このあとの予定は?」と聞くと「彼女に会いに行く」と。
タリンもアジア人は増えてきたけど、やはり”マイノリティ”であり、”見た目が違う”ことを意識せざるを得ない。
同性婚の合法化はまだ、LGBTQ+の話もあまり聞かない。そんな街とは”diversity”の定義が異なりそうだなぁと思った。
コロナと戦争、2つのパラレルワールド
デンマークは早々にコロナ規制を完全撤廃した国で、エストニアも最近なくなった。
どうせ厳しくないだろうけどデンマークの入国規制チェックしなきゃ〜と思って旅行前に調べたら、「あぁもう完全になくなってた、そうだわ。」と思い出した。
マスクもワクチン証明書の提示もなし。12月のフランス渡航の際は、EUのワクチンパスポートのチェックがあったけど、今回は何もなし。「アフターコロナ」の世界観である。
コロナ前のように旅はしなくなるのかな、と思っていたけど、少なくともヨーロッパでその空気は薄い。1年間で2か国留学してた子もいたし、海外でバケーション過ごす人も多いし。
その一方、日本は緩くなったにしろ、まだ入国規制が厳しい。日本国籍の私でさえ、何かミスして入れなかったら嫌だなぁ〜と思っている。
デンマーク留学中に出会った日本好きのクロアチア人の友人と6年ぶりに再会。
「日本に行きたかったけど、規制が複雑過ぎて諦めた」と言っていて、「わかる〜。日本語母語話者の私でも、政府の規制の案内はわかりにくいことあるし、日本国籍の私でさえ複雑だから」と伝えた。
コロナで分断されたパラレルワールドである。
はたまた、少しヨーロッパから目を右にしたウクライナでは、ロシアとの戦争が起こっている。エストニアでも他人事ではないが、デンマークでもだった。
デンマーク留学中に出会ったウクライナ人の友人(上のクロアチア人の友人も共通の友人)のお姉さんが難民としてデンマークに来ていた。私の友人自体は今アメリカに住んでいて、家族をアメリカに引き寄せようとしたけど、法律が複雑すぎて断念。
知り合いが多くいるデンマークに引き寄せて、クロアチア人の友人がたまに気にかけたり、出掛けたりしている、とのことだった。
帰りのポーランド経由の飛行機も、荷物の手預け場所でデンマーク語を話す男性1人と赤ちゃん連れの女性が2組で待っていた。
会話から家族じゃなさそうだなぁと思ってみていたら、女性たちはおそらくウクライナからの難民で、男性は仕事かプライベートか、その人たちの手助けをしていた。
エストニアのFacebookグループでの質問や知恵を求めるのを聞いてると、政府単位で難民を受け入れるよりも、家族や知り合いの伝手で国境を逃れる人も多いのに気づく。
GWのようなイースター休暇を楽しむ人々と、戦争から命をかけて逃れてきた人々ー。
正反対の状況の人が行き交うパラレルワールドが、空港では存在していた。
デンマークかエストニアか
6年ぶりに友人と会う嬉しさはなんとも言えず、昔話に花を咲かせながら過ごしていた。
コペンハーゲンのいいなと思ったところは、オーガニックの普及率、自転車が主な交通手段であること、日本食材やおいしいアジア料理とか都会の選択肢の多さ。
反対に気になるところは、住宅事情(お風呂がないこと)、修士号を持っていないと仕事を探すのが難しいこと、永住権やビザのハードルの高さ(4年間連続の雇用もしくは8年の滞在+デンマーク語B1レベル)、学生ビザでは週20時間までしか働けないこと。
ビザは本気で調べてないので、色々探したら手段はあるのかもしれない。移民も多いし。
デンマークを妥協して移住先をエストニアを選んだのではなく、サステナブルなサービスを提供しているスタートアップで働きたいって思いがあったから、エストニアに来た訳で。(寒いけど)
エネルギー、都市設計の面ではデンマークの方が、理念に共感する企業があるのかもしれないし、チャンスを掴みにいかないことには何も始まりません。
EUの永住権を取得する大きな目標は変わりなく、心がときめく方に行けばいいのかな、とひとり思ってました。生活者として、一人間として、自分自身に還ること。
留学中のように、デンマーク人が大半の全寮制の学校で暮らすのと、エストニアとは言え国際的な職場で働いて(大学院は休学中)森のなかで一人暮らしするのもだいぶ違う。
デンマークの留学時代に比べると、外国人の友人が多く、エストニアでの現地の友人・ネットワークづくりが今の課題。まぁ、行動するしかないですね!
イースター何してるの?とこっちの友人が連絡くれたのも嬉しかったし、デンマークで友人宅に泊まらせてもらったり、会ってくれる人がいたのも嬉しかった。
留学時代とは違う視点で見るデンマークは、クールであったかい国でした。
カメラで撮った写真はまたInstagramやFacebookにあげる!!!(SDカードを忘れ、祝日でお店が閉まるなか、個人店で友人が値引きまでしてくれて手に入れたのです。感謝🥲)
自分に還る場所を足元から作っていこうと思います。
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