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[1] ナトリウムイオン電池とプルシアンブルー類似体 大久保將史


  1. シアン化物なんで俺はちょっと気に食わないんだが。

  2. また、ナトリウムデンドライトができた時に怖いから、俺は水系でやってもらいたいと考えているが、そういう取り組みも既に有るので割愛する。

  3. 本稿で詳述したPBAの課題は,元素戦略プロジェクトの後継であるデータ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト研究拠点として東京大学に設置された「再生可能エネルギー最大導入に向けた電気化学材料研究拠点」(拠点長:杉山正和,2022-2032年)62や,JST GteXプロジェクト「資源制約フリーを実現する電池開発」(チームリーダー: 駒場慎一,2023-2028年)63で取り組むことが予定されている。

  4. ここに書かれているように「元素戦略プロジェクトの後継」なのでLiを使わず枯渇懸念のまず無いNaを使うってことのほか、Liより枯渇懸念の有るNi(Electrochemical Impedance Analysis for Li-ion Batteries (2018).)を使わないってのがキモなわけ。

  5. また「再生可能エネルギー最大導入」とあるように、定置型が主目的になっているわけ。Liイオン電池なんか使っていては金がかかってしゃーないからだね。

  6. ・・・このような状況で,2012年にJ. B. Goodenough は PB,およびPBAがナトリウムイオン電池の正極材料として利用可能であることを初めて報告した10。この初報での電極特性は,上述した今西らの非水系Li+電解液における結果と同程度であり,注目を集めるには至らなかった。しかし,その翌2013年にGoodenoughは構造内の[Fe(CN)6]欠損量を抑制したPBAを用いて充放電容量120 mAh/g,平均反応電圧3.4 V vs. Na/Na+ を達成し,層状酸化物や酸素酸塩の正極材料と同等の特性を得ることに成功した23。重要な点として,このPBAはNa+を含有した組成で合成されており,Na+を含まないハードカーボン負極と組み合わせてロッキングチェア型ナトリウムイオン電池(Fig. 1)を構築できる。更に2015年にGoodenoughは,Fe のみで構成されるPB(プルシアンホワイト(Prussianwhite, PW)と呼ばれる組成)やMnとFeで構成されるPBAについて,[Fe(CN)6]欠損量を最小限に抑制した試料を合成し,充放電容量150-160 mAh/gを反応電圧3.03.6 V vs. Na/Na+ で達成した24,25。このoodenough の一連の取り組みは大きく注目され,以降の関連する論文数が大幅に増加した。・・・

  7. 10. Y. Lu, L. Wang, J. Cheng, J. B. Goodenough, Chem. Commun. 2012, 48, 6544-6546.

  8. 23. L. Wang, Y. Lu, J. Liu, M. Xu, J. Cheng, D. Zhang, J. B. Goodenough, Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 1964-1967.

  9. 24. L. Wang, J. Song, R. Qiao, L. A. Wray, M. A. Hossain, Y. D. Chung, W. Yang, Y. Lu, D. Evans, J. J. Lee, S. Vail, X. Zhao, M. Nishijima, S. Kakimoto, J. B. Goodenough, J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 2548-2554.

  10. 25. J. Song, L. Wang, Y. Lu, J. Liu, B. Guo, P. Xiao, J. J. Lee, X. Q. Yang, G. Henkelman, J. B. Goodenough, J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 2658-2664.

  11. まあ、正極活物質は何から何までGoodenoughですわ。

  12. 一般組成式Na2‒4y MN [MC (CN)6 ]1‒y·nH2 O の PBA をナトリウムイオン電池の正極材料に使用した場合, Na2‒4y MN [MC (CN)6 ]1‒y·nH2 O ↔ (2‒4y)Na+ + (2‒4y)e‒ + MN [MC (CN)6 ]1‒y·nH2 Oの充放電反応が得られる。この反応から取り出せる理論容量は,[MC (CN)6 ]欠損が無いMN = MC = Feの理想系(y = 0)で171 mAh/g となる。この理論容量はリチウムイオン電池の正極であるLiFePO4(理論容量170 mAh/g)と同等であり,実用化のために十分な充放電容量と言える。ただし,これは理想系(y = 0)において得られる容量であり,[MC (CN)6 ]欠損量の増加に伴って,充放電容量は減少する。従って,電極特性に優れたPBAを得るためには,[MC (CN)6 ]欠損量を低減する合成プロセスの確立が重要となる。

  13. 一方,反応電圧に着目すると,Na+脱離に伴い2種類の酸化還元中心(MNとMC)が電極反応に寄与するため,2 段階の電圧平坦部を示すことが予想される(Fig. 4)。MNとMCはシアノ基を通じた強い電子的相互作用を持つため,形式価数変化と反応電圧を直接結び付ける単純な記述には注意が必要である。しかし,例えばMCについて,Cr3+/Cr2+ は1.9 V vs. Na/Na+ 程度 32,33,Mn3+/Mn2+は2.7 V vs. Na/Na+ 程度26,Fe3+/Fe2+ は 3.4 V vs. Na/Na+程度24の反応電圧を示すことが報告されている。MCはシアノ基の強い配位子場により低スピン状態にあり,原子番号が大きくなるほど有効核電荷が増加して単調にフロンティア軌道は低下し,反応電圧が上昇する。一方,MN においては,Mn3+/Mn2+は3.6 V vs. Na/Na+ 程度25,26,Fe3+/Fe2+ は 3.0 V vs. Na/Na+ 程度 24,Co3+/Co2+ は 3.3 V vs. Na/Na+ 程度34,35 であり,その反応電圧には一貫性が無い。これは,MNは高スピン状態にあるため,フロンティア軌道が原子番号変化に対して単調に変化しないためである。単純には,「Mn2+はt2g 3eg 2の安定配置でありその酸化反応は生じにくく高電圧となり,Fe2+はt2g 4eg 2の不安定配置でその酸化反応は生じやすく低電圧になる」といった考え方ができる。なお,Ni3+/Ni2+は高電圧が期待されるが報告例は無い。ナトリウムイオン電池の正極材料としては,反応電圧を高くするためにMC = Feのみが検討対象となる。

  14. まあ、こんな材料です。

  15. 活物質粒子はサブミクロンサイズの微粒子で、これはLFPなどと同じだが、LFPのほうが炭素被覆してさらに造粒してと使い勝手の良い形にできることと比較するとやや厄介な材料と言えるでしょう。

  16. 使われるのはこのへんでしょうね:

[2] 次世代パワー半導体、本命材料「窒化ガリウム」が見えてきた | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

  1. んー、どうだろう?

  2. この話はデバイスよりは単結晶育成の話なんで俺のフィールドじゃないんだけどね。まあ、安くなればBEVに使えるので。

  3. 高耐圧な縦型FET構造の高効率パワーデバイスを作成するための半導体結晶として、その実用化と利用拡大に期待が集まる窒化ガリウム(GaN)基板上に成長した高品質なGaN結晶である「GaN on GaN」。富士通は、既存のSi基板やSiC基板上に成長させた従来のGaN結晶に比べてケタ違いに欠陥密度の低い特徴を生かすことで、縦型デバイスだけでなく、中耐圧の横型パワーデバイスや高周波デバイスにおいても、利用メリットが出てくる可能性があると考えている。

  4. 縦型の実現に不可欠なGaN on GaN、量産体制が整えば横型にも展開 現在、富士通は、環境省プロジェクト「革新的な省CO2実現のための部材や素材の社会実装・普及展開加速化事業」の枠組みの中で、GaN on GaNの潜在能力を引き出した横型構造のGaN HEMTを開発。同時に、開発したGaN HEMTの携帯電話基地局用送信モジュールへの適用、および将来的な電源向け高性能GaN HEMTのサーバー用電源への適用を見据えて、GaN HEMTの優れた性能を引き出すための回路技術とシステム技術も開発している。 GaNデバイスには、HEMT構造の横型デバイスとFET構造の縦型デバイスの大きく2種類がある。このうち、前者は650V耐圧以下の応用に適用され、スマートフォン用急速充電器などの電力変換用パワーデバイス、もしくは携帯電話基地局などのパワーアンプ用の高周波デバイスとして、応用市場が急拡大している。一方、後者は1000V耐圧以上の応用への適用が想定されている、シリコンカーバイド(SiC)よりも高効率なデバイスとなることが期待され、電気自動車(EV)のインバーターなどへの応用が見込まれている。 ただし、縦型デバイスは、まだ商品化されていない。素子中の電流の通り道となる垂直方向全体をGaNで作る必要があり、その量産に不可欠な大口径で高品質なGaN基板を安価に供給する体制が構築されていないからだ。 縦型デバイス実現の必要条件となるGaN on GaNだが、応用分野は縦型デバイスだけに限定されるわけではない。大口径・高品質な基板の量産技術が確立され、利用を支えるエコシステムが確立されれば、横型デバイスの性能も底上げする可能性がある。中耐圧パワーデバイスや高周波デバイスを作成する基板として利用されていた、Si基板やSiC基板上に成長させた従来GaN薄膜よりも、電力効率、スイッチング性能、信頼性を向上させる際の阻害要因となる結晶欠陥がケタ違いに少ないからだ。 安価なGaN基板が潤沢かつ安定的に調達できれば、デバイスのさらなる性能向上に向けて、従来基板に代えて採用したいと考えるデバイス技術者は多い。

  5. GaN on GaN基板をGaN HEMTの作製に適用し、その効果を検証 既に富士通は、2020年時点で、2インチの半絶縁性GaN on GaNを用いて横型デバイスであるHEMT構造の高周波デバイスを形成して、デバイスレベルでの適用効果を検証(図1)。現時点で商用化されている高周波デバイス向けGaN HEMTよりも効率が高まり、世界最高効率に当たる82%を達成していた。従来デバイスの量産に利用されているSiC基板上に形成したGaN結晶の欠陥密度は10^8/cm2レベルだが、その際の試作・検証に利用したGaN on GaNの欠陥密度は10^6/cm2以下と2ケタ小さかった。同社は、実現した高効率化は、こうした欠陥密度の低減によるものとみている。ただし、その時点では、どれぐらいの欠陥密度になるとどれぐらいの改善効果があるのか、定量的な知見が得られてはいなかった。 その後も同社は、素子構造と製造プロセスを最適化し、さらにより欠陥密度の低いGaN on GaN基板を適用する研究を継続させている。そして、既存の量産デバイスよりも電力損失を半減させた高効率デバイスの実現を目指している。

  6. 基地局用デバイスの動作条件を念頭に、素子構造とプロセスを最適化 現在、富士通は、携帯電話基地局で用いる送信モジュールの動作条件を想定してGaN HEMTの素子構造と製造プロセスを最適化している。 既に防衛や気象観測に用いられるレーダーのように短パルスを瞬間的に出力するような用途の高出力パワーアンプでは、GaNデバイスの利点が生かされている。しかし、携帯電話の基地局向け高出力パワーアンプでは、平均電力の低減効果は実現できるが、電力レベルの異なる信号を連続して増幅する必要があるような動作条件での効率を高めることが困難だった。 富士通は、想定した動作条件に適応可能な高性能で高効率なGaN HEMTを実現するため、送信する信号の歪(ひずみ)を生み出す要因である「ドリフト」と呼ぶ結晶欠陥に起因するオン電圧の変動位現象からの回復時間を検証した。ひずみの抑制が実現すれば、無線通信規格への準拠に向けたデジタルディストーションなどひずみを補正する回路の規模を小型化できる可能性がある。 さらに、デバイス動作時の温度上昇を抑制するためデバイスの裏面に炭素系高放熱材料を接合した。利用する材料の候補として、多結晶ダイヤモンド、SiC、グラファイトを想定し、実際にGaN HEMTに接合して動作検証した結果、すべての材料において、デバイス温度の上昇を抑制する効果が得られた。

  7. ちなみにSiC基板だと最初から・・・って話ですが(笑)。

  8. GaN on GaN採用による効果を、システムレベルの性能向上につなげる 先述したように、富士通は、GaN on GaNを用いた高性能なGaN HEMTの適用を見据えた、携帯電話基地局用送信モジュールとサーバー用電源の高効率化技術も同時開発している。まだ、GaN on GaNを利用したGaN HEMTの開発が完了したわけではないが、その実現を見越して、将来デバイスの潜在能力を最大限まで引き出すための回路レベルやシステムレベルでの改善にも取り組んでいる。 携帯電話基地局用送信モジュールの開発では、GaN HEMTの高周波デバイス周りの回路を工夫することでサイズを従来比1/4に縮小し、同時に電力効率も向上させて電力消費の抑制や放熱機構の簡略化を目指した技術開発を推し進めている。現時点では、市販されているGaN on SiCを用いたGaN HEMTを利用し、回路レベルでの改善を進めている。2024年以降に基地局用送信モジュールに開発した省電力化技術を適用する予定である。 サーバー用電源の高効率化技術の開発では、出力容量2kWの電源ユニット中のパワー半導体の実装密度を高めるパッケージ技術と共に、サーバー内の電源ユニット稼働数の最適化をソフトウエア的に工夫するアダプティブ制御で、高い電力変換効率を維持する技術を開発している。ここでアダプティブ制御は、サーバー動作時の負荷電流変動に応じて、数百ミリ秒のオーダーで電源ユニットの稼働数を変えて、常に高効率な状態に制御するもの。現在は、市販されているGaN on Siを用いたGaN HEMTを使って技術開発を行っているが、今後、GaN on GaNを利用して作製したオン抵抗や入出力容量を低減したGaN HEMTが完成すれば、GaN on Siから置き換える考えである。

  9. 縦型の話、一つも出てこんかった(笑)。

  10. 通信のほうはまあ・・・そっちはいいのよって感じかな(笑)。

  11. 単結晶基板の質ってのは非常に大事なわけ。だからGa2O3でもαよりβだろうなって言ってんの。るつぼが高価でも。

[3] 次世代パワー半導体「窒化ガリウム」の決定打、縦型の実用化なるか | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

  1. まあできるかもしれんけど・・・裏面に放熱用のSiCまたはダイアモンドを貼るの?(笑)

  2. 今後、大きくなっていくだろうけど、まだ2インチだ。SiCは既に6または8インチだ。

  3. 物性面で炭化ケイ素(SiC)よりもパワー半導体への適性が高いとされる窒化ガリウム(GaN)の社会実装を加速するためには、縦型GaNデバイスの実用化が欠かせない。そのためにはGaN on GaNの構造を実現するための、結晶品質が高いGaN自立基板(GaNの単結晶基板のこと。表面に活性層となるGaN膜を形成して利用する)が必須になる。 環境省の「革新的な省CO2実現のための部材や素材の社会実装・普及展開加速化事業」では、次世代のGaN技術の社会実装プロジェクトに取り組んでいる。本事業にパナソニックホールディングスや大阪大学、豊田合成などと共同で参画し、高品質・大口径のGaN自立基板の量産技術の確立に取り組む三菱ケミカルに、最新の開発状況を聞いた。

  4. 複数の結晶成長法のいいとこ取り 三菱ケミカルは、大阪大学が「Naフラックス法」で作成したGaN基板を種結晶とし「アモノサーマル法」を使って、高品質・大口径のGaN基板を低コストで量産するための技術開発に取り組んでいる。 Naフラックス法とは、大阪大学と豊田合成のグループが開発している、高品質で大口径のGaN単結晶を成長させることができる技術である。ポイントシード法と呼ぶ、大口径基板上に分散配置した複数の小さい種結晶を個々に育成し、最後に合体させて大きな単結晶を造る新技術が創出されたため、高品質で大口径のGaN基板を作成することが可能になった。一方、アモノサーマル法とは、人工水晶の量産技術として工業的に確立している結晶成長技術を応用した、量産展開が容易なGaN基板の成長法だ。 Naフラックス法、アモノサーマル法ともに高品質な結晶を得られる技術であるが、前者は結晶の成長速度が遅いこと、後者は自前で大口径の種結晶を造れないことが弱みだった。そこで三菱ケミカルは、大口径化に強いNaフラックス法で種結晶を作成、成長速度が速いアモノサーマル法でバルク結晶を造る技術を組み合わせ、両者の長所を“いいとこ取り”してGaN自立基板の本格的な社会実装に挑む(図1)。すでに三菱ケミカルは、Naフラックス法とポイントシード法を併用して作成した直径2インチのGaN結晶を種として、アモノサーマル法でバルク成長させることが可能であることを確認している(図2)。今後は、4インチ、6インチの基板作成に取り組む予定だという。同社は、「2インチ基板を試作した際の感触では、大口径化しても大きな問題は発生しないのではないか」と語っている。

  5. Naフラックス法とアモノサーマル法の相性は良好 Naフラックス法とポイントシード法を併用して作成した結晶を種としたGaN基板の作成には、ある懸念点があった。 まず、ポイントシード法で複数の種結晶を起点に単結晶を成長させるため、結晶成長の過程で結晶同士が融合する際に、「ボイド」と呼ばれる小さな空洞が生じてしまう。Naフラックス法では「Ga面」に結晶が成長するが、アモノサーマル法ではその裏面に相当する「N面」に結晶が成長する。N面にボイドがある状態でアモノサーマル法で結晶成長させると、このボイドが原因で結晶欠陥が発生してしまう。そこでNaフラックス法で十分な成長膜厚を確保し、N面側を研磨して種結晶として利用することで、アモノサーマル法で高品質な結晶が得られることを確認した。 次に、Naフラックス法の特徴であるが、結晶内の一部にNaが凝集する「インクルージョン」ができてしまう可能性がある。でき上がった単結晶を種にしてさらに結晶成長させる際に、このインクルージョンが存在すると破裂してしまう可能性があった。実際、「HVPE法(ハイドライド気相結晶成長法)」と呼ばれる、一般的なGaN単結晶の成長手法を適用する場合には、1000℃以上の環境下で気相成長させる必要があるため、インクルージョンの抑制が必須となる。 三菱ケミカルが結晶成長に成功した理由は、同社が採用するアモノサーマル法では、600℃とHVPE法よりも低温で、100MPa(1000気圧)以上の高圧環境下で成長させているからだ。「Naフラックス法とポイントシード法を組み合わせて造ったGaN種結晶と、アモノサーマル法の相性はよい」(三菱ケミカル)という。 また、いったんアモノサーマル法でバルク結晶が造れてしまえば、これをスライスして種結晶として再利用できる。工程が長くなるポイントシード法からスタートする必要がなくなり、種結晶の供給スループットを大幅に向上させることができる。

  6. 種結晶が手に入れば8インチの成長も可能に 三菱ケミカルのGaN自立基板の事業では、同社が原料供給やウエハー加工などの役割を担い、インゴット(バルク成長させた結晶の塊)の製造は日本製鋼所に委託する。日本製鋼所では、4~8インチのウエハーサイズの成長が可能な製造装置がすでに複数台稼働しており、2025年ごろをメドに本格生産に移行して月産1000枚(4インチ換算)の量産を始めるという。 現時点で技術が検証されたのは2インチ、3インチ、4インチのサイズであるが、Naフラックス法などをベースとした大口径の種結晶が手に入れば、6インチ、さらには8インチのバルク結晶の成長が可能であるとしている。

[4] サンケン電気が驚きの世界最先端マイコン、22nm・ReRAM内蔵・RISC-V | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

  1. これはホントに驚きの内容なので。

  2. 中堅アナログ半導体メーカーのサンケン電気が、世界最先端と推察される32ビットマイコンの開発を進めている。開発中のマイコンには、現在市販されているマイコンには見られない、複数の特徴がある。すなわち(1)22nm世代というマイコンとしては非常に微細なプロセスで製造、(2)不揮発性メモリーとして、ReRAM(Resistive Random Access Memory:抵抗変化型メモリー)内蔵、(3)サンケン電気が独自設計したRISC-VベースのCPU(Central Processing Unit)コア、(4)DSP(Digital Signal Processor)コアとイベント処理コアも独自設計し、RISC-Vコアと組み合わせて、いわゆるヘテロジニアスコンピューティングを実現、である。

  3. PC向けのマイクロプロセッサー(MPU)の後を追う形でマイコンの製造プロセスも微細化してきたが、40nmプロセスで足踏み状態になっている。28nm以降のプロセスでは、プログラム格納用のフラッシュメモリーの内蔵が難しいためである。そこでマイコンメーカー各社はフラッシュメモリーに代わる不揮発性メモリーの採用を検討している。例えば、スイスSTMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、18nm FD-SOI(Fully Depleted Silicon On Insulator)プロセスで造る、相変化メモリー内蔵マイコンを開発中である。2024年下期にサンプル出荷を、2025年下期に量産出荷を予定している。

  4. ReRAM内蔵のマイコンを22nmプロセスで造ることを表明しているマイコンメーカーは現時点では見当たらず、サンケン電気のマイコンはユニークである(図1)。同社は、22nmが平面トランジスタプロセスの最終世代であることから、それを選んだという。トランジスタ構造が変わり、設計の手間が増えるFinFETプロセスを好まないユーザーはこのプロセスを選ぶことが予想され、ファウンドリーの投資/生産能力増強が見込まれるためとする。ファウンドリーの22nmプロセスでは、チップ内蔵用不揮発性メモリーとしてReRAMとMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory:磁気抵抗メモリー)が用意されているが、ReRAMの方が安価といわれている。

  5. サンケン電気が開発中のマイコンは、CPUコアもユニークだ。現在、市販されている32ビットマイコンでは、英Arm(アーム)製CPUコア(Armコア)が主流である。Armコアより自由度が高いRISC-Vコアは注目されているものの、RISC-Vコアマイコンを積極的に展開してきたのは中国メーカーだけだった。大手メーカーでは、ルネサス エレクトロニクスがつい先日(2024年3月26日)に、RISC-Vコアマイコンを発売したのが最初である。今回サンケン電気は、オープンなRISC-V命令セットをベースにして、独自にRISC-Vコアを設計した。同社はRISC-Vコアに加えて、DSPコアとイベント処理コアも独自設計し、開発中のマイコンに内蔵する。DSPコアとイベント処理コアを併用することで、高速処理を可能にする。

  6. アナログ半導体メーカーのサンケン電気が、最先端マイコンを開発できる背景には、同社が日立超LSIシステムズのミックスド・シグナル・マイコン事業を2014年に買収したことがある。これによって、マイコン開発エンジニアがサンケン電気に移籍した。今回のマイコンの開発リーダーを務める山崎 尊永氏(技術開発本部 パワーデバイス開発統括部 システム開発部 シニアマイスター)も、日立超LSIシステムズから移ってきた一人だ。同氏によれば、開発中のマイコンが内蔵する独自設計DSPコアの源流は、日立超LSIシステムズにあるという。一方、独自設計のイベント処理コアは、サンケン電気入りしたことで初めて開発できたとのことだった。「アナログICの詳細を知ることができ、それと組み合わせるマイコンに必要な処理が分かった。その処理を具現化したのが、イベント処理コアだ」(同氏)。

  7. そういう相乗効果が有りましたか・・・。

  8. 日本総崩れの気配が有る中、頑張ってほしいもんです。

[5] パナソニックインダストリーがUL不正40年、日本企業に道を誤らせる「闇」 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)


  1. 不正40年ってなかなか年季が入ってますな・・・。

  2. Japan as No.1の時代にすでに・・・。

  3. 泥沼化という表現がぴったりだ。日本の製造業において米国の安全規格であるUL規格の不正(以下、UL不正)問題がさらに深刻さを増している。ここに来て、新たにパナソニックホールディングス(HD)の事業会社であるパナソニックインダストリー(大阪府門真市)がUL不正に手を染めていたことが発覚した(図1)。対象は車載部品や家電、半導体、各種電子機器の電子回路基板などに使う材料。出荷先は世界で400社に上る。

  4. UL不正は2020年10月に東洋紡が公表して以来、2021年1月に京セラ、同年5月に三菱電機、2022年1月に東レ、同年7月にダイセルミライズ(ダイセルの子会社、東京・港)、2023年5月にデンカとその持ち分法適用関連会社の東洋スチレン(東京・港)が不正を行っていた事実をこれまでに明らかにしてきた。そして今回、パナソニックインダストリーがここに名を連ねたというわけである(図2)。

  5. 問題が初めて明るみに出たのは3年以上も前であるにもかかわらず、いまだに不正を隠蔽し続ける企業があるのだ。しかも、UL不正が発覚したのは、いずれも世間に名の通った企業である。日経クロステックはこのUL不正を最初に報じた2021年4月の記事にこう記した。「最大の疑問は、このUL規格に対して不正を行っている企業が、果たして京セラと東洋紡だけなのかということだ」と。図らずもこの懸念は現実のものとなり、今なお問題は拡大に向かっている。

  6. パナソニックインダストリーでUL不正を行っていたのは電子材料事業部だ。同部が生産・販売する成形材料と封止材料、電子回路基板材料のうち、52品番で複数の不正行為が見つかった。

  7. 不正の内容は3つある。[1]非登録組成品の販売、[2]データ改ざん、[3]偽のサンプルでの受験──である(表)。

  8. UL規格は、認証を取得する際に企業がUL側に提出した組成と同じ組成の製品(材料)を量産することを要求している。ところが、パナソニックインダストリーは認証を取得した組成とは異なる組成の製品、すなわち「別物」の製品を造って顧客に出荷するという不正を行っていた。これが[1]の非登録組成品の販売である。 この不正行為は、成形材料と封止材料、電子回路基板材料の全てに見られた。まず、成形材料では17品番でこの不正が見つかり、四日市工場(三重県四日市市)で1980年代から現在まで生産し続けていた。このうち、11品目は難燃性の数値が未達だった。 封止材料については19品番がこの不正を行っており、これも1980年代から現在まで南四日市工場(同市)で生産を継続していた。こちらは全ての品番が難燃性の不足だった。 そして、電子回路基板材料では3品番でこの不正が発覚した。2品番はアユタヤ工場(タイ)で2003年から現在まで造り続けてきたもので、このうち1品番は耐トラッキング性の数値が未達だった。残りの1品番は南四日市工場で2011年から2021年まで生産していた。

  9. データの偽装と「替え玉受験」 続いて、[2]のデータ改ざんは、新製品についてUL規格の認証を取得する際に、開発目標の性能を満たしたと見せ掛けるために数値をごまかす行為だ。これにより、パナソニックインダストリーは性能未達の製品を生産・販売していた。改ざんが見つかった性能は、相対温度指数(RTI)と難燃性グレードの2つである。 このうち、RTIに関する改ざんが行われていたのは合計19品番。このうち8品番を郡山工場で2011年から、5品番を広州工場(中国)で2016年から、3品番を蘇州工場(中国)で2012年から、同じく3品番を台湾工場(台湾)で2011年から現在まで生産し続けていた。 一方、難燃性グレードにおいて改ざんが行われたのは合計5品番。郡山工場で2017年から現在まで1品番を、広州工場で2016年から現在まで2品番を、蘇州工場と台湾工場では共に2016年から現在までそれぞれ1品番を造り続けていた。 そして、[3]の偽のサンプルでの受験とは、「フォローアップサービス(FUS)」と呼ばれる、UL規格における定期監査における不正行為だ。UL規格では年4回、ULの検査員が抜き打ちで工場を訪れ、量産している製品がUL認証を取得した時の性能を維持しているか否かを確認するFUSを行う。 このFUSでは、ULの検査員が工場にあるペレット(成形前の材料)から特定のロット番号を指定。認証取得者(企業)に対し、その指定したロット番号の材料を使ってFUS用試験片(サンプル)を成形し、それをULに送付するように指示する。ULはそのサンプルを受け取ると、規定の性能を満たしているか否かを確認するための試験を実施。併せて、ULに登録されているID(材料特定情報)と量産している製品のIDの同一性を確認するための試験も行う。これらの試験の結果、「不適合」と判定された場合は1度だけ再試験が認められるが、それでも不適合なら、当然だがUL認証を取得した製品としての出荷を禁じられる。 パナソニックインダストリーはこのFUSにおいて、量産している製品とは異なる、性能に優れたサンプルを用意してULに渡した。要は、「替え玉受験」によって不正に合格(適合の判定)を得ていたのである。 同社は不正行為を公表した同日(2024年1月12日)に外部調査委員会を設置し、原因究明を行うと発表した。だが、同委員会の調査報告書を待たずとも、なぜパナソニックインダストリーがこうした不正に手を染めたのかは、先に不正が発覚した企業を分析すれば、手に取るように分かる。 これほど多くの大手企業が不正に走る現実から見て、日本の製造業ではUL規格認証の背景に道を誤らせる「闇」が広がっていると言わざるを得ない。

[6] 2023年「4大不祥事」から見えた"日本企業の懸案" 日大、ビッグモーター、ジャニーズ、宝塚… | 災害・事件・裁判 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

  1. 劣化もしているが、以前からあった問題が顕在化しているというのが多い。

  2. 2023年がもうすぐ終わる。振り返ってみれば、新型コロナウイルスの感染が本格的に収束し、通常の日常生活にかなりの部分で戻った1年だった。にもかかわらず、閉塞感から抜け出せない1年でもあったように思える。ロシア-ウクライナの戦闘は一向に収束しない中、イスラエルとガザでの武力衝突が激化、国際情勢は不安定となった。国内に目を移しても、岸田内閣の支持率は、特に年の後半に低下。政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑により、年末に最低を更新するに至っている。企業においても、大きな不祥事が相次いで起きている。時計の針が逆戻りしたように思える1年であったが、よく見ていくと、これまで問題視されてこなかった事象が顕在化したとも言える。ここでは、企業を中心とする不祥事について、この1年を俯瞰してみたい。

  3. 2023年に起きた主な不祥事を振り返る 今年に起きた、企業や団体の主な不祥事を下記にまとめてみた。【2023年に起きた主な不祥事(企業・団体)】1月~回転寿司チェーン店で顧客の迷惑行為動画が拡散。その後、外食チェーンで顧客の迷惑行為が相次いで問題化 3月 楽天モバイルの元部長、委託業者と共謀し巨額詐欺事件を起こす 旧ジャニーズ事務所の元社長故ジャニー喜多川氏の性加害問題がBBCで放送。以後、相次ぐ被害者の告発で問題は深刻化 5月 近畿日本ツーリストのコロナ関連事業業務委託費の過大請求が発覚 丸亀製麺 カエル混入 7月 ビッグモーター 自動車保険金の不正請求問題が顕在化 8月 日本大学 アメフト部の違法薬物問題が発覚 9月 宝塚歌劇団の劇団員が転落死。以後、いじめ・パワハラによる自殺疑惑が浮上 10月 大手受験塾 四谷大塚の講師が教え子の女子児童に盗撮 八戸市の駅弁製造会社「吉田屋」の食中毒問題 NTT西日本の子会社から個人情報928万件が流出 11月 サイゼリヤのサラダにカエル混入 都内のイベントで販売されたマフィンを食べた複数の客が腹痛や嘔吐を訴える 12月 銀座カラー破産、顧客への返金、施術が行われず ホストクラブの高額売掛金問題で警察庁一斉立ち入り ENEOS社長、セクハラで解任 ダイハツで174件の不正行為が判明し、全車種出荷停止(一覧:筆者作成)

  4. まず、世間を騒がせた大きな事件を見ていこう。 ビッグモーター保険金不正請求、旧ジャニーズ事務所の性加害問題、日大アメフト違法薬物問題、宝塚劇団員の転落死事件が「2023年の4大不祥事」と言ってよいだろう。これらの問題には、以下のような共通点が見られる。1. 個人の不祥事に留まらず、組織全体のコンプライアンスの機能不全ともつながっている 2. 以前から問題は存在していた(かつ、それに気付いている人も少なからずいた)にもかかわらず、十分な改善策が取られてこなかった 3. 初動対応に失敗し、問題が拡大し、長期化した これらの事件は、2023年に新たに起こったものではなく、「以前からくすぶっていた問題が、2023年に顕在化した」と見るのが正しいだろう。ビッグモーターに関しては、2022年から保険会社の自主調査で水増し請求などの不正が発覚、2023年に国土交通省・地方運輸局からの行政処分や立ち入り検査を受けている。 旧ジャニーズ事務所での性加害問題に至っては、過去に起きた事件である。 日大の問題も長期化した(写真:東京スポーツ/アフロ)日大アメフト部の薬物問題は今年に起こった事件ではあるが、同じアメフト部で、2018年に部員による「危険タックル事件」が起きている。この度の事件は、5年を経ても組織の「健全化」が図られていないことを印象づけることになってしまった。 宝塚歌劇団のいじめ問題は、過去にも週刊誌で報道されたことはあったし、2022年にも「週刊文春」でハラスメント問題が報道されている。 つまり、過去の問題が組織の内部、ケースによっては外部からも見過ごされていたということになる。 初動対応を見誤ったのも、経営陣側に「これまでもやってきたが、大きな問題にはならなかった」「さほど深刻な問題ではない」「このまま乗り切れるだろう」といった見通しの甘さがあったためだろう。 この12月には、新たに発覚したダイハツの不正行為も加わり、「5大不祥事」と言えるようになるかもしれない。ダイハツの場合は、「初動対応に失敗した」とは必ずしも言えないが、上記の1、2を満たしており、重大かつ深刻な問題へと発展してきている。 たった1年のうちにこれだけの大問題が頻発していることを鑑み、まだ問題が顕在化していない企業も、自社の行動が現代の倫理基準に適合しているのか、いま一度見直す必要があるだろう。

  5. 顧客の迷惑行為には毅然とした対応を 2023年は飲食・食品がらみのトラブルも頻発した。コロナの収束によって外出機会が増えたことで、今年は店舗を起点とする“炎上案件”が目立った。今年の初めに、「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」の回転寿司チェーンにおいて相次いで顧客による迷惑行為の動画・画像が拡散、「寿司テロ」と呼ばれるに至った。それにとどまらず、うどん店「資さんうどん」、牛丼店「吉野家」、しゃぶしゃぶ店「しゃぶ葉」、ラーメン屋「ラーメン山岡家」などでも、顧客の迷惑行為が拡散して問題となった。コロナ前は、従業員や店員による、いわゆる「バイトテロ」が目立っていたが、今年の迷惑行為は、顧客によるものが多く見られた。その背景には、一般の人々が気軽に動画を配信するようになったことや、迷惑行為を行ってアクセスを稼いだり人々の注目を集めようとしたりする「迷惑系YouTuber」の影響もあるようだ。顧客による問題行為に対して、企業側が厳しい対応を講じるようになっていることにも注目したい。スシローの運営会社「あきんどスシロー」は、迷惑行為を行った少年に対して損害賠償を求める訴えを提起、「くら寿司」に関しては、警察に被害届を提出、迷惑行為を行った顧客は逮捕されるに至った。これまでは、「企業よりも顧客が偉い」という考え方が一般的で、顧客の行為に対して企業が法的手段を講じることに対しては風当たりも強かった。しかし、最近では企業側を支持する声が優勢となってきている。もはや、企業は顧客の迷惑行為に泣き寝入りする必要もなくなっているし、むしろ毅然とした態度を取るほうが、支持を集める時代に変わってきている。

  6. 顕在化する企業の「コンプライアンス格差」  以上で述べてきた以外にも、情報漏洩、詐欺事件、セクハラ・パワハラ、売掛金を巡るトラブルなど、2023年はさまざまな不祥事が起こった。こうして見ていくと、日本の企業、その他の組織は、時代の流れに乗れていないだけでなく、むしろ退化してしまっているようにも見受けられる。実際には、すべてがそうとまでは言い切れない側面もある。12月13日、アジア企業統治協会(ACGA)は、アジアの企業統治(コーポレートガバナンス:CG)を評価する「CGウォッチ2023」を公表。日本は前回(2020年)の5位から急伸し、1位のオーストラリアに次ぐ2位に上昇している。この評価は、企業のコンプライアンスを評価したものではないが、世界市場で評価されるために日本の行政も企業もそれぞれ尽力していることは間違いない。実際に、株価を見るとこれまで低迷してきた日本株は今年に入って上昇に転じている。日本企業がグローバル市場で見直され始めているようにも思える。投資家、取引先、消費者のいずれにおいても、グローバルで評価されるためには、倫理基準もグローバル水準に揃えていく必要がある。旧ジャニーズ事務所の性加害問題が、英BBCのドキュメンタリーで取り上げられたのがきっかけとなって国内でも問題化されたこと、その後、スポンサー(広告主)企業が相次いで所属タレントの起用を終了すると発表したことが象徴的だ。多くの日本企業は、コンプライアンスをグローバル基準に合わせているし、そのための努力も行っている。一方で、今年に不祥事を起こしたような、企業や組織の中には、依然として組織内部の特殊な慣行や旧態依然とした価値観にとらわれている組織も多い。言ってみれば、日本企業の間では「コンプライアンス格差」と言えるような現象が起こっていると言える。2023年の一連の不祥事を見ると、コンプライアンス面の整備が遅れている企業も、もはやそのままではいられなくなっている――ということを示しているように見える。伝統や慣習を盾にして、変化を受け入れないという選択肢は、もはや取ることができなくなっていることは、肝に銘じておきたい。

[12] 米石油企業が原油市場でシェア拡大、OPECプラスの牙城に食い込む (msn.com)

  1. (ブルームバーグ): 米国の石油企業がロシアやベネズエラ産原油に対する制裁措置の恩恵を受けている。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」がかつて支配していた市場に食い込んでいる。

  2. 西側諸国が2022年に対ロシア制裁を発動して以来、米国の原油輸出は月間ベースの記録を5回更新。ベネズエラに対する貿易制限が4月に延長される見通しの中、制裁対象国の原油において屈指の輸入国であるインドで、米国産の原油が取って代わりつつある。

  3. こうしたシフトは、米国産原油の世界市場シェア獲得に制裁措置が大きく寄与していることを浮き彫りにする。ロシアのウクライナ侵攻を受けてエネルギーの流れが混乱し、米国産原油に新たな吸引力が生まれた。同侵攻後に欧州とアジアへの出荷が急増し、米国は世界有数の原油輸出国に転身した。

  4. OPECプラスが供給量を抑制している中で、米国の生産が記録的な水準に上っていることも、米国の産油企業が国外市場で足場を拡大する一助になっている。原油現物価格はこれを反映しており、ヒューストンのウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は昨年10月以来の高値近辺で取引されているほか、別の米原油指標であるマーズの価格もそれほど離れていない。

  5. 問題は原油価格が下がったときに輸出量を維持できるかだが・・・。

  6. ブラック・ゴールド・インベスターズのヘッジファンドマネジャーに転身したベテラン石油コンサルタントのゲーリー・ロス氏は、「米国の生産量は増加しており、OPECとロシアの生産は減少している。従って、当然ながら米国は市場シェアを拡大することになる」と述べた。

  7. 第3位の原油輸入国であり、ロシア産原油の買い手としては中国に次ぐ2位のインドで、直近では米国産原油の流入が見られている。データ分析会社ケプラーによると、インドへの米輸出は3月に急増しほぼ1年ぶりの高水準になる見通しだ。


近年はシェールより海底油田のほうが熱い:エクソンvsシェブロン CEOがガイアナの海底油田で異例の応酬 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

  1. 【ヒューストン=花房良祐】米国の石油メジャーであるエクソンとシェブロンがともに関与する南米ガイアナの海底油田を巡り対立を深めている。シェブロンの他社買収による参画は契約上阻止できるとしてエクソンは3月上旬、国際仲裁に訴えた。18日から始まった国際会議の場で、両社のCEOはそれぞれを非難する異例の応酬をみせた。「いきなり仲裁に訴えられて驚くしかなかった」。米ヒューストンで18日に開催した国際会議「CERAWEEK」。世界のエネルギー業界の関係者が集まる会議の講演で、シェブロンのマイケル・ワース最高経営責任者(CEO)は皮肉気味に話した。エクソンが3月上旬、自社を国際仲裁に訴えたことが「想定外」の不当な動きだったと言外ににじませた。一方「契約事項は入念にチェックしていたので、自信はある」と自社の正当性も強調した。争いの種は、南米ガイアナ沖の巨大な海底油田。2015年、最初に油田を発見したのはエクソンだった。油田は27年には日量120万バレルを生産する予定で、ガイアナはこれだけで一躍、有力産油国になる。海底油田はエクソンが45%の権益を持つ操業主体(オペレーター)で、石油会社の米ヘスが30%の権益を有している。波風が立ったのは、シェブロンが23年10月にヘスを530億ドル(約8兆円)で買収すると発表してからだ。巨額を投じるシェブロンは、当然、ガイアナの権益を手に入れることを見込んだ。だが、ここでエクソンが待ったをかけた。共同事業体の契約によると、エクソンはヘスの権益が第三者に移転するのを阻止する権利があるとして、シェブロンの参画に反対したのだ。3月上旬、ついに国際仲裁裁判所に訴えた。その後、2社のトップは沈黙を守ってきたが、衆人の目が集まる国際会議で相手への不満が爆発した格好となった。19日のシェブロンのワース氏の発言は、実はエクソンのダレン・ウッズCEOの前日18日の「攻撃」を受けてのもの。ウッズ氏は18日、国際会議の場でヘスの権益の自社買い取りを検討していると話し、シェブロンをけん制していた。2社は世界の複数の事業に共同参画している。米国のメジャー同士の係争は珍しい。それだけ、ガイアナの油田は優良資産であるともいえる。エクソンの狙いは条件闘争との見方もある。シェブロンの参画条件を厳しくして、その分、自社の事業収入を増やす布石にするという指摘だ。国際仲裁の判断がでるには5〜6カ月かかる見込みだ。シェブロンのヘス買収の完了目標は24年前半。手続きが遅れるのは必至で、2社の対立もさらに深まる可能性がある。

参考(2010年とだいぶ古いがコストはこんなもんだ):海底油田の世界的現状


by T. H.



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[1] Materials/Electronics

  1. Fermi Level (2018).

  2. Vacuum Polarization, and Polariton (2018).

  3. Current Status on ReRAM & FTJ (2023).

  4. Fermi Level 2 (2023).

  5. Vacuum Polarization, Polaron, and Polariton 2 (2023).

[2] Electrochemistry/Transportation/Stationanergy Storage

  1. Electrochemical Impedance Analysis for Li-ion Batteries (2018).

  2. Electrochemical Impedance Analysis for Fuel Cell (2020).

  3. Progresses on Sulfide-Based All Solid-State Li-ion Batteries (2023).

  4. 国内電池関連学会動向 (2023).

  5. Electrochemical Impedance Analysis for Li-ion Batteries 2 (2023).

  6. Electrochemical Impedance Analysis for Fuel Cell 2 (2023).

[3] Power Generation/Consumption

  1. Electric-Power Generation, Power Consumption, and Thermal Control (2020).

  2. H2 & NH3 Combustion Technologies (2020).

  3. Electric-Power Generation, Power Consumption, and Thermal Control 2 (2023).

  4. H2 & NH3 Combustion Technologies 2 (2023).

[4] Life

  1. Home Appliances I (2021).

  2. Home Appliances II (2021).

  3. Home Appliances III (2023).

[5] Life Ver. 2

  1. Human Augmentation (2021).

  2. Vehicle Electrification & Renewable Energy Shift I-LXXXI (2022).

  3. Human Augmentation II (2023).

[6] 経済/民主主義

  1. 経済/民主主義 I-LIX (2023).

  2. 記事抜粋1-164 (2023-2024).


Published Articles' List (2004-2005, 2008-2011, 2015)

  1. researchgate.net

  2. Google Scholar

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