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【全11章】BtoBエンプラ向けスタートアップ事業責任者の「攻略本」

事業責任者「攻略本」の概要

本noteは「デジタル領域の事業責任者として、事業(売上・利益)を成長させるために必要なナレッジ」を、私のスタートアップ役員としての実践経験・コンサルタントとしてのスタートアップ支援経験を元に体系化したものです。

総合商社→戦略コンサルタントから転職し、スタートアップで事業開発・事業責任者を始めてちょうど4年になるこのタイミングで、「当時に戻れるなら絶対に知っておきたかった・そうすれば失敗せずにもっと事業成長させられた」と思うナレッジを、改めて言語化して、凝縮して作成しています。

ただの「情報・知識」だけでなく、具体例や実践経験を交えて「明日から使えるナレッジ」としてまとめています。事業責任者として「P/L責任というプレッシャー」と「広大なカバー範囲」と戦いながら、日々事業成長を目指す皆さんにとって、実務で使える「攻略本」であるとともに、「個人としてのスキル & キャリアアップのロードマップ」にもなったら嬉しいなと思っています。


「攻略本」の想定読者

この攻略本の読者は、タイトルの通り「事業責任者」です。
「DXコンサル + マーケティングSaaS」を提供するスタートアップで事業責任者を経験し、デジタルマーケティング支援会社やSaaSスタートアップでコンサルティングをしてきた経験をベースに作成しているため、以下特性を持つ事業の責任者の方であれば、有用なナレッジを共有できるのではないかと思います。

  1. 0→1の新規事業ではなく、10→100とグロースさせていくフェーズの事業

  2. BtoB向け x デジタル領域のソリューション事業

  3. EC売り切り・SaaS提供のみではなく、プロフェッショナルサービスも含めた統合ソリューション提供

  4. 顧客はエンタープライズ企業で、ARRは2,000万円から1億円超を狙う

また、エンジニア・マーケター・エンプラセールスといったスペシャリストの方々以上に、大企業・コンサルといったジェネラリストとしてのキャリアを歩んできた方々にとって、ご参考いただける情報が多いと思います。

「攻略本」の全体像

本攻略本では、事業責任者にとって不可欠なナレッジを11章に分けて解説しています。

1章 事業戦略  |  将来から逆算した「事業の勝ち筋」と「戦略アクション」
2章 収益戦略  |  レベニュー組織を貫く「事業計画」と「ストレッチ指標」
3章 実行戦略  |  戦略を”絵餅”にしない「KPI設計」と「モニタリング」
4章 マーケティング  |  エンプラ向けBtoBマーケティングと、”引き算”の「ABM」「THE PODS」
5章 セールスイネーブルメント
6章 カスタマーサクセス
7章 カスタマーセールス
8章 RevOps
9章 事業開発
10章 採用戦略
11章 組織開発

ジャネラリストキャリアの方が「事業責任者になる準備」としてぜひ学んでほしい内容を、ギュッとまとめて網羅的に習得できる内容になっています。

「攻略本」の特徴

この攻略本の特徴は、単純に知識を共有するのではなく、❶体系的・網羅的な「カリキュラム」で必要な知識をインプットできる、❷その知識を実務の中でアウトプットして、実務に活かせるナレッジまで引き上げられるという2点です。
私自身、事業責任者として4年間もがき苦しむ中で、大量の書籍やコンテンツを読み漁り、学びをナレッジ化して、実務で試して効果を検証してきました。またそれらのナレッジは、コンサルとして支援先の企業でも実践し、成果を出してきたものになります。
この攻略本は、まさにこの4年間「事業責任者を科学してきた」結果を凝縮したものです。「自分が事業責任者を始める当時に戻ったら、最初にゼッタイに知っておきたい内容」を詰め込んだものになっています。
本攻略本を通してナレッジ化を最初にやり切ることで、実務の中で問題に直面した際に「自分で戻って確認できる・いつでも学び直せる」状態を構築できるはずです。この状態になれば、事業責任者としていつでも「カンニング」ができる状態になり、失敗のリスクを大幅に下げることができます。

ぜひ攻略本を使い倒してもらい、読んでおけば未然に防げるような失敗はぜひ回避してください。そして、その先にある事業価値の向上に向き合える時間を増やし、事業の成功確率をどんどん高めていっていただけたらと考えています。

「攻略本」作成の背景 | ①事業責任者はこれから超重要だから

そもそも「事業責任者」とは

この攻略本では、事業責任者を❶PL責任を持ち、❷組織・人事を管掌し、❸経営と事業のコミュニケーションする人材と定義しています。

株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

私はこの事業責任者が期待通りに成果を残せるかは、急激に成長する & 常に人材不足のスタートアップにおいて、会社の成長を左右する本当に重大なファクターだと認識しています。
サービスを生み出したあと、組織や仕組みを作り、実際に売上・利益を生み出し、事業を成長させていく。その重責を担うのが「事業責任者」という役割です。「VUCA」と言われる事業環境の変化が激しい中で、組織を率いて事業を舵取りしていく仕事は非常に難易度が高いですが、難しい仕事の連続だからこそ、飛躍的に成長するチャンスであり、大きく市場価値やキャリアを高められる転機にもなりえます。
そしてこの事業責任者は、圧倒的な「総合格闘技力」が求められるからこそ、大企業・コンサル出身のジェネラリスト人材に大きなアドバンテージがあります。成長を目指すジェネラリスト人材の方々には、この攻略本も活用しながら、ぜひ事業責任者にトライしてみてほしいです。

分業が進む中で価値が高まる事業責任者

今、事業責任者の価値は非常に高まっています。
スタートアップ市場が成熟する中で、先行するSaaS企業を中心とする積極的なナレッジシェアもあり、The Modelと言われる分業体制は当たり前になりました。分業制の中で各職種のナレッジは蓄積され、専門性も急速に高まっています。noteを開けば、マーケティングやカスタマーサクセス、エンプラセールス等、専門領域のナレッジが「本当に無料でいいの!?」というレベルで公開されています。
一方で、この分業による課題も出始めています。サイロ化と言われるような、組織間での連携難易度の高まりやデータの分断が課題視され始めているのです。その結果、専門的な各機能組織を束ねる、事業責任者やCheif Revenue Officer(CRO)、RevOpsといった横断機能にスポットライトが当たり始めています。

コンパウンドスタートアップが増えるほど必要になる事業責任者

加えて事業責任者の価値を高めているのが、「コンパウンドスタートアップ」といわれる複数事業展開を構想する企業の増加です。
ALL STAR SaaS FUNDの楠田さんが解説してくださっていますが、コンパウンドスタートアップが増えるほど、各事業の「事業責任者」を担えるBizDev人材の獲得競争は激化してきています。SaaS業界でのコンパウンド化・All-in-One化のトレンドは続いていくと思いますので、今後「事業責任者」人材の市場価値は一層上がっていくはずです。
事業責任者という役割の経験者が希少な今こそ、体系的にナレッジを習得して、「市場価値の高い事業責任者」を目指したいですね。

「攻略本」作成の背景 | ②事業責任者は難しすぎるから…

市場価値が高まる「事業責任者」ですが、一方で非常に難易度が高い役割でもあります。
具体的な難しさの要因かを分析するために、私自身の事業責任者の経験を振り返るだけでなく、コンサル支援先のスタートアップ事業責任者からもヒアリングをしてみたところ、「4つの共通項」が見えてきました。

 💡 事業責任者の難しさ
1.   「カバー範囲」が広すぎる
2.   「全く知見がない未経験の領域」でつまづきやすい
3.   「マイナス」の放置が「負のスパイラル」を生む
4.   「メンター」を見つけるのが難しい

1.  「カバー範囲」が広すぎる

事業責任者の難しさの主因は、その「圧倒的なカバー範囲の広さ」にあります。
事業責任者に抜擢される人材は、それまで限定的な領域(例:営業)で大きな成果を出してきた人材がほとんどだと思います。しかし抜擢後は突如、未経験の領域(例:採用)を含めた広範囲を「責任者」としてカバーしなければいけなくなります。

しかもそのカバー範囲の「全体像」を、始めから認識できているケースは稀なため、スタート地点から「何を・どれだけ・どの順番で」やればよいか不明確になってしまいがちです。
その結果、売上責任というプレッシャーがある中で、①気になる部分から「手当たり次第に」施策を打ち、重大な課題を後回しにしてしまう、②改善すべきと分かっていても未経験な領域で最適な施策が分からず「放置してしまう」といったことがよく起こります。
このカバー範囲の広さが「最適な意思決定(優先順位づけ)を阻む壁」となり、事業責任者の成功のハードルを大きく高めています。

2. 「全く知見がない未経験の領域」でつまづきやすい

事業責任者としての成功に大きな影響を与えるのは、スキル・能力以上に「セオリーやアンチパターンを知っているかどうか」だと確信しています。もちろんスキル・能力は必要ですが、それ以上に「必要なことを抜け漏れなく知っていること=知識の幅」が実はかなり重要です。
なぜなら事業責任者になるとカバー範囲が急に広がり、「解像度の低い未経験な領域」でも意思決定を迫られることが一気に増えるからです。その時にセオリーやアンチパターンを知っていれば、意思決定の品質を担保でき、ショートカットして成果を出すことができます。
これは私自身の経験だけでなく、コンサル先のスタートアップでも同じ状況で、高いスキル・能力を持ち、成果を出してきた事業責任者が、「全く知見がない未経験の領域」でつまづくケースを沢山見てきました。
広いカバー範囲をすべて自分で「できる」ようになる必要はないですが(時間がいくらあっても足りない…)、事業の最終意思決定者として、専門性を持つメンバーの力を最大限発揮してもらうためにも、必要な領域のことを網羅的に学び、事前に最大限解像度を高めておくことは、事業を成長させる上で必須の行動です。
そしてこれは「努力次第で誰にでもできる」ため、事業の成長可能性を高める上で、非常に確実性が高く、コスパも良いアクションなはずです。

3. 「マイナス」の放置が「負のスパイラル」を生む

事業責任者にとって最大リスクは「同時多発的に問題が起きること」です。
そして事業責任者にとって悩ましいのは、何か1つの要素で問題が起きたとき、対処療法的にその場しのぎの対応を続けていると、他の要素でも連なって問題が起きてしまうことです。
この「負のスパイラル」に陥ると、短期で何とかしないといけない問題に忙殺されて、事業成長や組織強化といった、事業成長にとって重要な取り組みに時間を割けなくなります。
例えば私が経験したのは以下のようなケースです。

【営業】売上が足りない→自分が先頭に立ち、顧客期待値を高めて大型受注を獲得
【運用】高い期待値で受注した案件で、運用水準が低くて炎上...自分が介入して運用管理を行い短期的には乗り切るが、運用チームが疲弊 & 自分の時間もなくなる...
【組織】運用チームの退職が出始めて、受注したくても案件が獲得できない状態に...
【営業】その結果、さらに売上が足りなくなる...
【戦略】気づいたら目の前の販売と運用の問題に忙殺され、商品や組織を強くしていく活動が全くできない...

事業責任者のカバー範囲が広すぎるため、解像度が低い未経験の領域で、問題に気づかない・施策を適時適切に打てないといった事象が起きがちです。その結果「マイナス」状態が放置され「負のスパイラル」を招いてしまうのです。
本来ははじめに「事業の各要素がお互いにリンクしていること」を認識できればよいのですが、日々幅広い業務に奔走する事業責任者が、何も教えられずにこれに気づくのは難易度が高すぎます(もはや無理ゲー…)。
そのため、問題が起きてから「負のスパイラル」に気づき、事業成長が止まってしまい、苦しむ事業責任者が後をたたないのです。

4. 「メンター」を見つけるのが難しい

事業責任者として成功を更に難しくしているのが、「体系的・網羅的にコツを教えてくれるメンター」がなかなか見つけられないことです。
特に常に人数の足りていない成長スタートアップや、前任者が退職して急遽抜擢されたケースでは、最初からセオリーやアンチパターンを教えてもらえる幸運は期待できないと思います。また、事業の状況は刻一刻と変わっていくため、前任者のアドバイスが上手く当てはまらないケースも多いはずです。
その結果、「最初に分かっていれば...」という問題を避けられなかったり、大きな失敗に気づかず後で苦労したり、と「非常にもったいない」事態が頻発しています。
これらの課題を解決して、余計な失敗を避けるためには、メンターの代わりになれるような「網羅的・体系的な攻略本」が必要なはずです。

事業責任者の難しさのまとめ

事業責任者は「解像度がない未経験の領域」で失敗しやすく、また適時適切にアドバイスをくれるメンターを見つけるのも難しいため、優秀な事業責任者でも簡単には成果を出せない状況が生まれてしまっています。
こういった「ただ知らない・解像度が足りないだけ」で起きているこれらの課題を解決して、事業の余計な失速要因を取り除きたい、そのためのガイドブックを作りたいというのが、この攻略本を作るに至った想いです。

「攻略本」作成の背景 | ③世の中に情報は既にあるから

非常に難易度の高い「事業責任者」という役割ですが、どうすればその成功確率を上げられるでしょうか。
社外メンターを見つける、トップレベルの企業に転職して経験者から学ぶ等、効果的な方法もありますが、人脈があるか・転職できるかといったハードルもあり、誰しもが簡単に採れる選択肢ではないと思います。
そこで、事業の成功確率を高めるために私が強くおすすめしたいのが**「最初に体系的・網羅的に整理されたナレッジをインプットしきること」**です。この攻略本はまさにそのために作りました。
世の中には書籍やnoteなど良質なコンテンツが沢山あり、必要なタイミングで適切な情報にアクセスできれば、解決策につながる貴重なヒントを得ることができます。一方で幅広い業務に奔走する事業責任者が、膨大な情報から質の高いものを選別し、抜け漏れなくインプットしていくのは、かなりハードルが高いはずです。
そのためこの攻略本では、書籍やSNSの発信情報を引用しながら、必要なナレッジを体系的・網羅的に学べる内容に整理しております。
テストマーケティング的に何人かの事業責任者に確認してもらう中で、この攻略本を通したナレッジのインプットは、「誰もが絶対にやるべきで」、「誰でもすぐに始められ」、「非常にコスパよく事業の成長可能性を高められる方法」だと確信しています。

「攻略本」の全体像・カリキュラム

再掲になりますが、この攻略本では、事業責任者にとって不可欠なスキルを11章に分けて解説しています。

1章 事業戦略  |  将来から逆算した「事業の勝ち筋」と「戦略アクション」
2章 収益戦略  |  レベニュー組織を貫く「事業計画」と「ストレッチ指標」
3章 実行戦略  |  戦略を”絵餅”にしない「KPI設計」と「モニタリング」
4章 マーケティング  |  エンプラ向けBtoBマーケティングと、”引き算”の「ABM」「THE PODS」
5章 セールスイネーブルメント
6章 カスタマーサクセス
7章 カスタマーセールス
8章 RevOps
9章 事業開発
10章 採用戦略
11章 組織開発

さっそく次の章から、具体的なカリキュラムを見ていきましょう!


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