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政治講座ⅴ1718「温故知新に学ばない四面楚歌の中国共産党」

 中国大陸を舞台に繰り広げられる王朝の興亡の背景には飢餓や疫病がある。なぜ王朝の滅亡につながっているがと言うと易姓革命と言う思想がある。世界は天の子、つまり「天子」によって統治されるが、その統治者=「天子」に任せられないという「天」の意思表示は、天変地異による農作物の不作による飢餓の発生や疫病の大流行によって「天の声(天の命令)」が届けられるといわれる。今般の武漢疫病の大流行がその天の声であろうか。中国の「元」の紙幣には「天滅中共」と落書きされたものが流通していると聞く。人民には「天滅中共」が刷り込まれているのであろう。もうそろそろ中国共産党を引き下ろす人民が立ち上がる易姓革命が起こるのであろう。
 2200年前に秦の始皇帝が法家の法制度で中国大陸を統治したが、15年で滅びた。法の罰則が厳しすぎて、万里の長城などの無用の長物に過大投資して、重税にあえぐ民衆の不満の蓄積。それに従うべき者たちがその罰則を恐れて居直ったのが反乱に繋がった。それは、再度、指摘するが、万里の長城、兵馬俑に代表されるインフラ整備・巨大建造物などの無駄と思えるほどの浪費が農民の生活を圧迫したのである。まさに、現在の中国共産党の疫病対策の失政(ゼロコロナ)による国民の経済を脅かし、あらゆる企業の活動をとめた。そのうえ、資金の流れを止めることによって、不動産投資経済の首を絞めて、中国経済を止めた。残された膨大な債務問題(融資平台・理財商品)などが、中国の財政破綻を引き起こしている。秦の滅亡の状況がまさに今の中国共産党の支配する中国の状況とが酷似するのである。
秦の始皇帝の没後、再び動乱となり、次に登場するのがご存じの「項羽と劉邦」である。「項羽と劉邦」に該当するのが「AUKUS(オーカス)」であろうか。「秦」は「項羽と劉邦」によって滅ぼされるのである。
丁度、そのころ《「史記」秦始皇本紀にある、秦の趙高が、自分の権勢を試そうとして、鹿を馬であるといつわって皇帝に献上した故事から》人を威圧して、まちがいを押し通すことのたとえ。習近平趙高が成り立つのである。
習近平の中国経済光明論はまさに趙高の「鹿を馬と言わせる」ことに等しい。国家的被害妄想が病的になり、手のほどこしようのないレベルに病状は悪化しているのである。
 自国の経済政策の悪化を自国の失政と反省することなく、他国勢力の経済戦の工作と断じて、中国は外国勢力の攻撃を受けているという被害妄想で経済不況はその表れであると断じている。「四面楚歌」の妄想に苛まれているのが中国共産党であろう。手の施しようがないのである。
歴史は繰り返されるのである。温故知新
である。
今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2684年4月5日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国が東アジアの経済成長の足を引っ張る?―独メディア

Record China によるストーリー

独ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは2日、「中国が東アジアの経済成長の足を引っ張る?」とする記事を掲載した。写真は中国。© Record China

独ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは2日、「中国が東アジアの経済成長の足を引っ張る?」とする記事を掲載した。

記事はまず、「世界銀行がこのほど公表した東アジア・太平洋地域の経済見通しによると、同地域の今年の成長率は前年の5.1%から4.5%に鈍化する」と伝えた。

そして「注目に値するのは、中国を除く東アジア・太平洋地域の今年の成長率は4.6%と予想されているが、中国を加えると4.5%に下がるということだ」と指摘した。

記事は「世銀は、中国の今年の成長率が4.5%に鈍化すると予想している。中国の李強(リー・チアン)首相は3月、今年の経済成長率目標を5%前後に設定すると表明したが、世銀は中国について、新型コロナウイルス感染症のパンデミック後の経済回復の鈍化、地方政府の多額の債務、不動産市場の低迷、人口高齢化や貿易紛争などの長期的な構造的要因のいずれもが、国内経済を圧迫していると見ている」と伝えた。

記事はまた、「中国はより均衡の取れた成長軌道への移行を目指しているが、代替の需要促進要因を呼び起こす探求は困難であることが判明している。中国政府が企業活動を促進するために不動産建設への依存から経済を転換するのにはまだ長い道を歩まなければならない。単に資金を支出するだけでは問題は解決しない。中国にとっての課題は効率的な政策を選択することだ。財政刺激策では構造的不均衡は解決しない。必要とされているのは、より強力な社会福祉やその他のプログラムであり、それによって家計の支出が増え、需要が高まり、それが企業の投資を促す」とする世銀の東アジア・太平洋地域担当チーフエコノミスト、アディティヤ・マトゥー氏のコメントも紹介した。(翻訳・編集/柳川)

知中派の大物投資家、レイ・ダリオが恐れる中国の「100年に1度の大嵐」

William Pesek によるストーリー

知中派の大物投資家、レイ・ダリオが恐れる中国の「100年に1度の大嵐」© Forbes JAPAN 提供

中国の「失われた10年」に関する話は、市場も中国政府も普通はもう気に留めないだろう。だが、あのレイ・ダリオが、アジア最大の経済大国の「100年に1度の大嵐」を警告しているとなると、さすがに耳を傾けざるを得まい。

世界最大のヘッジファンド、米ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で大富豪のダリオは、中国やその政策当局者らと長い付き合いがある。中国本土市場への進出を狙っていた彼は、長い時間をかけて中国政府関係者と親密な関係を築いてきた。

中国をあまりに熱烈に支持してきたため、米国では政治家から批判を浴びることもあったほどだ。ブリッジウォーターの内部でも数年前、中国をめぐる立場から、当時のデビッド・マコーミック最高経営責任者(CEO)とのあつれきが生じた。ちなみに、共和党員でジョージ・W・ブッシュ政権で財務次官を務めた経歴もあるマコーミックは、ペンシルベニア州から連邦上院選挙に再び立候補している。

長年、中国に入れ込んできた中国通にして巨額の資金を動かす投資家であるダリオ。その彼が中国経済の悲観的なシナリオに言及し、中国が1990年代の日本と同じ轍を踏むことに警鐘を鳴らすとき、それは注目に値する。ダリオはビジネスSNSの「LinkedIn(リンクトイン)」に投稿した5000ワードほどの論考で、米中の対立が事態をさらに悪化させかねないとも強調している。

膨大な負債が積み上がり貧富の格差が開くのと並行して、国内外で大きな権力闘争が生じ、自然界が激変し、テクノロジーの大きな変革が進むとき、『100年に1度の大嵐』が起こる可能性が高まる」とダリオは書く。

ここでダリオは、中国の習近平国家主席が2018年に示した認識を変奏している(編集注:同年10月の党中央委員会全体会議で、世界は「100年に1度の局面の大きな変化」に直面しているとの認識が示された。習はこれ以前、以後にもこの言葉を用いている)。習は当時、中国は景気減速やドナルド・トランプ政権の米国との対立激化に直面していると認めていた。ただ、その後、中国の状況は急激に悪化した。

それは新型コロナウイルス禍の影響のためでもあれば、習政権の規制面での不手際のせいでもあった。たとえば2014年ごろ、習のもとで中国は透明性が高まり、外国の大手投資機関が活動しやすくなると信じていた外国の投資家は、いまはもう中国への熱が冷めてしまっているに違いない。

また、中国のアリババ集団の華々しいニューヨーク上場に触発され、中国のテクノロジー部門に大きく賭けていた投資家にとって、習はかなり気の滅入る存在になっている。2020年後半のアリババ共同創業者ジャック・マーに対する処置をはじめ、中国共産党による取り締まりは、中国の大富豪の実業家たちに、本当に報告すべき相手は誰なのかを思い起こさせた。その相手は株主ではなかった。

中国のこうした状況、さらにはデフレの到来も踏まえて、ダリオは中国経済の将来を日本経済の過去と重ね合わせて見るようになっている。もちろん、そうしているのは彼に限らない。中国の不動産危機がもたらす衝撃は、日本がいまもなお払拭しきれていない不良債権問題と響き合う。

たしかに、日経平均株価は史上最高値を更新するなど絶好調だ。しかし日本経済は足踏み状態が続き、急速に進む人口高齢化や先進国で最大の公的債務といった問題も山積している。日本銀行が25年におよぶゼロ金利からの脱却に苦慮してきたことを指摘するだけでいいだろう。日銀は3月、ようやく利上げプロセスに着手したが、世界の投資家からは嘲笑され、その後も円安が進んでいる。

日本の失われた数十年の背景に「バランスシート不況」(企業や家計が債務の返済を急いで投資や消費を抑える現象)があったように、ダリオやその一派が心配しているのも中国の債務の推移だ。ダリオは、中国はデレバレッジ(過剰債務の圧縮)を加速させると同時に、1990年代前半の日本よりも早い段階で利下げを行うべきだと主張する。

「私見では、これ(デレバレッジと利下げ)は2年前に行われるべきだった。もし行わなければ、おそらく、失われた10年につながってしまうだろう」(ダリオ)

ダリオは、中国は本来はもっと広範な発展ニーズにリソースや関心、エネルギーを注ぐべきなのに、過剰な信用のためにそれがおろそかになっていると懸念する。「負債が返済できないほど大きくなり、貧富の格差も広がると、(信用創造から購買力、繁栄へとつながる資本主義の)サイクルは逆回転し始める」と警告する。

とはいえ、中国が再び経済の好循環を生み出すのは容易だとはダリオも考えていない。「振り子が再び、毛沢東主義・マルクス主義的なやり方の方向に振れるのかは、誰にもわからない」とダリオは記す。「障害となるのは、より直接に意思疎通を図るのは中国の指導部の伝統的なやり方ではないという点だ。そして、現在の中国はまさに、より伝統的なやり方に回帰しているので、幹部らが直接的なコミュニケーションをするのが難しいのは理解できる」

言うまでもなく、重要なのは、習がもっと将来を見据えたやり方に思い切って舵を切ることだ。習は国家主席に就いてから数カ月後の2013年秋、「資源配分で市場に決定的な役割を担わせる」と約束していた。だが、実際はそうならなかった。

習はそれどころか、香港がかつてのように資本主義の中心地であり続けることすら許容しようとしない。これらは、習が先月、中国を訪問した米企業幹部らに与えてみせたような安心感と矛盾する。

中国詣でした米企業幹部は、アップルのティム・クック、ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン、チャブのエバン・グリーンバーグ、フェデックスのラジ・サブラマニアム、ファイザーのアルバート・ブーラ、クアルコムのクリスティアーノ・アモンの各最高経営責任者(CEO)といった面々だ。

彼らは習から中国経済は「健全で持続可能」だと聞いたそうだ。なるほど、習のチームが中国経済変革に本気で取り組めば、そのとおりになるかもしれない。中国政府も、改革の機運を取り戻し、100年に1度級の大嵐を避けるために、何が必要なのかはわかっているはずだ。政府がいますぐ、より切迫感をもって行動すれば、中国に賭けたのは間違っていなかったと世界のダリオも胸をなでおろせるだろう。(forbes.com 原文

米英豪の潜水艦計画、台湾巡る中国の行動抑止に貢献=米国務副長官

Michael Martina David Brunnstrom によるストーリー

U米国のカート・キャンベル国務副長官は3日、米英豪による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の潜水艦プロジェクトが台湾に対する中国のいかなる動きも抑止するのに役立つ可能性があると示唆した。 2013年1月撮影(2024年 ロイター/Toru Hanai)© Thomson Reuters

Michael Martina David Brunnstrom

[ワシントン 3日 ロイター] - 米国のカート・キャンベル国務副長官は3日、米英豪による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の潜水艦プロジェクトが台湾に対する中国のいかなる動きも抑止するのに役立つ可能性があると示唆した。

AUKUSにはインド太平洋地域で台頭する中国に対抗する取り組みの一環として、オーストラリアが米英の支援で原子力潜水艦を導入する計画が盛り込まれている。ただ3カ国はこれまで、台湾を巡る緊張の高まりとAUKUSを公に結び付けることには消極的だった。

こうした中、キャンベル氏は米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)で、AUKUSの潜水艦は「(台湾)海峡両岸の状況を含め、さまざまなシナリオにおいて大きな影響を及ぼす」とし、「外交面に加え防衛面でも緊密に協力することで、平和と安定が強化される」と述べた。

バイデン米大統領は今月10日に国賓待遇で岸田文雄首相をワシントンに招き、2国間の首脳会談を実施予定。その翌日にはフィリピンのマルコス大統領を招き、3カ国の首脳会談を開く。

キャンベル氏はこれらの会談で、日米関係の「大規模な近代化」のほか、米国・日本・フィリピンによる南シナ海などへの関与の強化が示されると指摘。「南シナ海を含む地域で緊密な連携と関与を確約するなど、前例のない3カ国間の関与が示される」とした。

また、日米首脳会談は安全保障パートナーシップの「歴史的な」更新をもたらし、「重要な軍事・防衛装備品の共同開発、共同生産の可能性について、日米がより協力的に取り組むことを可能にする」一歩になるだろうと述べた。

ウクライナについては、ロシアが侵攻初期に後退した後、中国がロシア軍の再編成を助け、ロシア軍は「ほぼ完全に再構成された」と米政府は見なしていると語った。


【習近平の大誤算】若者の失業率約18%、富裕層の国外脱出加速、米輸出規制で“科学技術立国の夢”が泡に

2022.12.21 週刊現代

将来を見限った人々

経済成長の足かせになっているのは、長引く不動産不況。恒大集団をはじめとする多くの不動産デベロッパーが資金繰りに窮し、住宅の完成と引き渡しが滞る事例が各地で発生。これに対抗する形で、住宅購入者たちがローンの支払いを拒否する動きも頻発している。直近10月の不動産販売は前年同月比23・2%減と、不調ぶりが著しい。

不良債権処理の市場となる競売すら機能していない」と語るのは、ジャーナリストの姫田小夏氏だ。

「これまで、ある程度の不動産はアリババなどが運営するオークションサイトといった競売市場に出せば、買い手がつく傾向にありました。ところが昨今は、市場が動かず、在庫が積みあがっている状況です。

たとえば、破産した巨大民営企業が手放した、上海の一等地にある、建築面積1万㎡を超える20戸の高級戸建て群が'21年8月に競売にかけられました。査定額は総額16億元(約320億円)と、上海競売史上、屈指の高額案件です。昔なら投資物件として人気を集めそうなものですが、誰一人入札者は出ませんでした」

当然、国も低迷する不動産市場に対して金融面の救済措置に動いた。11月21日には、政府の指示により国有銀行が相次いで不動産会社向け融資枠を設定。その額は3兆1950億元(約63兆円)とケタ違いの規模に上った。しかし、これで市場が回復するかといえば、そう簡単な話ではない。中国の不動産大手幹部は弱音を漏らす。

「今回の支援策の対象は最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)など有力な企業に限った話。恒大集団など過剰債務に陥っている企業はことごとく対象外です。習近平は問題を先送りにしたに過ぎませんよ。実際、支援策発表後も住宅販売は相変わらず低調です」

科学的分野の危機

せっかくのテコ入れも空振りに終わってしまいかねない不動産市場。同様に危機感を抱いているのがテクノロジー市場だ。習近平が夢見た「科学技術立国」も昔の話、今やその道は閉ざされている。

決定打となったのは、アメリカ・バイデン政権による対中輸出規制の強化だ。そこには先端的な半導体を製造するのに不可欠な米国製の装置や人的資本が含まれていた。この輸出規制が続けば、それだけハイテク分野の技術も発想力も削がれていく。科学的技術で世界をリードするという野心の実現も難しくなる。

経済が停滞し、これ以上の技術発展も見込めないとなれば、もう中国に将来はない—先見の明がある者ほど、こう考えて祖国を見限り、国外に脱出していくという。ITベンチャー企業を経営していた深圳から'21年に日本に移住してきた40代男性はこう語る。

「'22年は『中国を脱出する』という意味の『潤』という単語がSNSで流行し、資産をシンガポールや日本などに移し、脱出を図る富裕層が急増しました。さらに最近、企業レベルでも将来性の乏しい国内での事業を切り捨て、海外に出て行こうとする向きがあります。

その一つが、民間企業の海外視察ブームです。12月6日には、浙江省が1万社以上の企業を率いて、6日間の欧州視察ツアーを行ったことが報じられました。表向きは省レベルの海外投資戦略の一環ですが、経営者の中にはこれを機に、拠点の海外移転を決める者も多いと聞きます」

中国人経営者たちの憂いの目は、急速な少子高齢化の波にも向けられている。国連が発表した最新の中国の人口予測によれば、2047年までの人口の減少幅は総人口の6%にあたる約9000万人に上る。また、平均年齢も現在の38・5歳から50歳に急上昇する。

党内部もバラバラ

それでいて、これから有望な働き手となるであろう16〜24歳の若年層の失業率が高止まりを続けているのも問題だ。背景には求職者と求人側とのミスマッチがある。

「10月の失業率は5・5%とほぼ横ばいですが、一方で若年層は17・9%と高い水準にあります。原因は、1000万人の大台を超えた大卒者にあります。彼らには『大学に入った以上、こういう仕事に就きたい』という希望がある。特に習近平政権下の教育政策によって、『ブルーカラー=社会の底辺』という固定観念が根付いてしまったばかりに、仕事を選別するようになってしまった。結果として、ミスマッチが常態化しているわけです」(前出・阿古氏)

ゼロコロナ、経済、そして教育。習近平が主導したあらゆる政策がことごとく裏目に出ている。それが今になって様々な問題を引き起こしているのは明らかだ。にもかかわらず、習近平の暴走は止まらない。最高指導部を構成する党政治局常務委員や下部組織の政治局員は、自らの側近とイエスマンで固められている。習近平が「これをやれ」と言えば、拒否できる者などいない。

中国問題グローバル研究所所長で筑波大学名誉教授の遠藤誉氏は、共産党指導体制内の信頼関係の欠如が、中国の地殻変動の根底にあると指摘する。

ゼロコロナ政策の規制緩和も、実際には'21年1月には出されていました。しかし、現場を指揮する地方政府の役人たちは、『お上の指示に従って失敗したら自分が感染再拡大の責任を取らされる』と、自分自身が処罰される可能性に怯え、自らの保身のために2年近く動かなかったわけです」

そこで、中央は「規制緩和を守らない者は処罰する」と宣言。ここでようやく、各地方政府は「逮捕されるくらいなら」と緩和を実行に移したのだ。もはや信頼関係など存在しない。遠藤氏が続ける。

「そこにあるのは恐怖心です。恐怖による強権統治をやめないかぎり、どんな政策も現場との連携は取れないままで、中国は救われません」

幾多の危機に直面する中国。この国の地下で煮えたぎるマグマが噴出する日は近い。「週刊現代」2022年12月24日号より

習近平政権が掲げる中国経済光明論:悲観論や空売りはスパイ行為、危うい無謬神話とブードゥー経済学

2024.03.16

習近平政権が打ち出した中国経済光明論

中国の習近平政権が始めた奇妙な政治キャンペーンに「中国経済光明論」があります。
わが国の景気はいい、未来は明るい、大丈夫だ……。そう念じ続けて景気を上向かせるのだそうです。
2023年12月の半ばに、中国共産党と政府が開いた中央経済工作会議で正式に決めました。
「経済の宣伝と世論の誘導を強化し、中国経済光明論を高らかに唱える」会議のコミュニケにはこんな一文が盛り込まれました。出口の見えない不動産不況が象徴するように、中国経済の苦境はだれの目にも明らかです。何か手を打たなければならない。かといって妙案はありません。
人びとに「中国経済は明るい」とすり込むのをまじめな政策として打ち出したのは、習政権が切羽詰まっている表れに思えます。

悲観論を許さない言論統制

楽観論を振りまくだけならまだいいです。
たちが悪いのは悲観論をいっさい許さない新たな言論統制と結びつけているところです。
中央経済工作会議の直後、スパイ摘発を任務とする国家安全省がSNS上で発表した文章が、市場関係者に衝撃を与えました。
中国経済の衰えを唱える陳腐な決まり文句が絶えず現れている
文章は外国勢力が流す中国経済の「衰退論」はまったく根拠がないと断じたうえで、次のように指摘しました。
その真の目的は市場の期待と秩序をかく乱し、わが国の経済が好転する勢いを断ち切ることにある

何を意味するのでしょうか。

中国経済が悪いという情報は、すべて共産党の一党支配を覆したい勢力が流しているウソであり、徹底的に取り締まる。そんな警告にほかなりません。

中国経済の悪い面を伝えるだけで、スパイの濡れ衣を着せられるおそれがあるわけです。
少し前までは「経済にかぎれば、中国にも言論の自由はある」と信じられてきましたが、いまや過去の話です。

悪意のある空売りはスパイ行為

2024年に入って株安がきつくなると、中国証券監督管理委員会(証監会)は借りた株を売って利益を得る「空売り」の制限に乗り出しました。
 市場参加者がおそれるのは証監会でなく、国家安全省です。「悪意のある空売り」は中国経済の破壊を狙っているとして、スパイ行為にされかねません。これでは株を売ること自体、躊躇せざるを得ません。

何も語らない李強首相

2024年3月11日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)。
 李強首相は3月5日の政府活動報告で「超巨大市場」など中国経済の優位性をいくつも並べ「自信を強く持たなければならない」と訴えました。「光明論」に沿った報告です。
 24年の成長率目標は実質で23年と同じ「5%前後」に置きました。達成は「容易でない」とも強調しましたが、中国で実現しない「目標」がないことはだれでも知っています
今回から、全人代後の恒例だった首相の記者会見はなくなりました。
 李氏自身、不用意な発言で「中国経済をおとしめた」と責められるリスクは取りたくないにちがいありません。

思い出されるブードゥー経済学

ブードゥー(呪術)経済学」という言葉を世に広めたのは、第41代の米大統領を務めたジョージ・ブッシュ氏です。1980年の大統領選に向けた共和党の予備選で、対立候補のロナルド・レーガン氏が常識を覆す主張で支持を広げていました。「減税すれば逆に税収は増え、財政は均衡する
ブッシュ氏はそれを「おまじないで奇跡を起こそうとしている」とこき下ろしました。予備選を制したのはレーガン氏でした。もちろん、ブッシュ氏の批判が間違っていたわけではありません。
 第40代の大統領になったレーガン氏が大規模な減税に踏み出すと、米国の財政赤字はたちまち拡大しました。
「奇跡」は起こらなかったのです。

1988年の米大統領選に出馬したブッシュ氏は、あれだけ厳しく批判したレーガン氏の経済政策を引き継ぎました。
 そんなブッシュ氏を民主党の大統領候補が「ブードゥー経済学だ」と攻撃したのは当然です。

無謬神話をベースに経済政策を組み立てる危険性

おかしいことをおかしいと言う。論争があるから、民主主義の下では誤った政策が修正されます。
習近平国家主席への批判が許されない中国では、まちがっているとわかっていてもそれを口には出せません。
無謬神話が作り出す罠です。習近平政権の経済政策は、習主席の判断が常に正しいという前提で組み立てられています。しかし、どんな指導者でも間違いを犯すことはあります。
批判を受け入れず、誤りを認めようとしない姿勢は、かえって経済政策の失敗を招く危険性をはらんでいるのです。
中国経済光明論に危うさを感じずにはいられません。
 習近平政権の無謬神話に基づく経済運営は、いずれ破綻をきたすおそれがあります。そのとき、最も大きな犠牲を払わされるのは、ほかでもない中国の人々なのです。

参考文献・参考資料

中国が東アジアの経済成長の足を引っ張る?―独メディア (msn.com)

政治講座ⅴ711「歴史は繰り返される『易姓革命』と『天滅中共』の呪い|tsukasa_tamura (note.com)

米英豪の潜水艦計画、台湾巡る中国の行動抑止に貢献=米国務副長官 (msn.com)

知中派の大物投資家、レイ・ダリオが恐れる中国の「100年に1度の大嵐」 (msn.com)

習近平政権が掲げる中国経済光明論:悲観論や空売りはスパイ行為、危うい無謬神話とブードゥー経済学 (nikkeimatome.com)

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