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チーム全員がバーレイザーになるために──ALL STAR SAAS FUNDが大切にするバリュー採用

ALL STAR SAAS FUNDが2019年に立ち上がり、早くも4年が経ちました。

最初数名からスタートした僕たちの組織はひとり、またひとり。丁寧に大切な仲間集めを継続して、今では11名の決して小さくないチームとなり、日々活動しています。

思い返すと僕は、ALL STAR SAAS FUNDが組成されてから、大変ありがたいことに、ほぼ全ての仲間集めに関わらせてもらいました。

僕たちの目指す理想の組織の状態を実現できているか?と聞かれると、まだまだ十分ではありません。

ただ、集まっている11名のメンバーそれぞれが、自分の持ち場で最大限の力が発揮できるようモチベーション高く挑戦出来ているように僕は感じています。

仲間と1on1をする中でも、前向きに目の前にあることを捉えようとするメンバーが多く、自分でやるべきことを見つけ挑戦するとても素敵な組織です。

自分たちのこれまでの採用活動を振り返ると、自社の採用活動で継続して良かったと思う採用活動のこだわりがありました。それは、「バーレイザー」という機能をALL STAR SAAS FUNDメンバー全員が意識し実践してきたことです。

この機能を持つことで、採用したい自社と、新しく仲間になってくれる方とで双方の見極め(=お互いの確認作業)を丁寧におこなうことができ、期待や認識のズレを最小限に抑え、入社後も前向きなコミュニケーションを継続しながら、挑戦できる状態が作れているように感じます。

今回は、僕たちが実践してきた「バーレイザー」という取り組みの振り返りを、まとめてみたいと思います。

今後採用活動を加速させたい方の何かヒントや、基本に立ち返るきっかけになると嬉しいなと思い整理してみました。

改めてバーレイザー機能とは?

ご存知の方も多いと思いますが、バーレイザーとは、元々Amazonがはじめた制度です。この言葉は、「バーを上げる人」という意味で、Amazonが社内の採用活動で導入したものです。

バーレイザーの役割は、単にスキルや能力を評価するのではなく、採用候補者がその会社で活躍できるか、また会社のレベルを向上させる存在となれるかを見極めること。

余談ではありますが、「Amazonのすごい人事戦略」によれば、著者が在籍していた当時のAmazonは、特別なメンバーだけがバーレイザーとなることができ、その人たちはわずか1,000人中10人程度しかいなかったようです。

人手が少ないスタートアップこそ、バーレイザーでフィット感をしっかり見る

僕自身、これまでスタートアップ企業の採用活動を第三者としてサポートしてきました。そこで感じた「危機意識」が、バーレイザーの重要性を強くしたのだと思っています。

採用活動は、日々の忙しさから人手が足りないことを理由に、どうしても採用基準を甘くしてしまうことがあります。これは、組織の課題を具体的に理解し、採用のペルソナイメージを解像度高く理解している、経営者や現場責任者においても、かなりの確率で発生してしまう問題です。

特にまだ会社が小規模の段階では、採用活動で見極めを担当する方も限られており、採用基準が甘くなりやすい。そこで僕は、支援先の企業に積極的にバーレイザー機能を導入することを推奨し、実践のサポートもしてきました。

その結果、採用企業においてはもちろん、採用候補者にとっても不幸なミスマッチを大幅に削減できました。この成功体験から、バーレイザー機能こそスタートアップに必要だと気づけたのです。

僕自身も、自社の採用活動に関わるようになり痛感しました。採用基準を常に下げない工夫は、頭でわかっていても本当になかなか難しいと。

なので、自部門の採用においては、採用フローで見極めが甘くなりがちな場面を整理し、ほかのチームやメンバーに積極的にバーレイザーの役割をお願いすることにしています。

採用バーを精度高く機能させるためにALL STAR SAAS FUNDがやっていること

では、僕たちALL STAR SAAS FUNDの選考についてお話しさせていただければと思います。選考活動において、僕たちはスキルフィットとバリューフィットという2つの重要な要素に注目して選考を進めています。1次選考や2次選考では、特にスキルフィットについて詳しく見極めます。

そして、バーレイザーは、一次、二次を通過した候補者に対して、見極めが甘くなりがちなバリューフィットについての見極めを行ないます。

▼ALL STAR SAAS FUNDの選考フロー

僕たちのチームにおいて、バーレイザーとなる人が絶対に譲れないポイントは以下の通りです。

「ALL STAR SAAS FUNDのバリューを体現し、チームを引き上げられる存在であるか」

状況によっては、選考を担当してきたメンバーと、バーレイザーで意見がわかれることも発生します。

ここで大切なのが、採用活動を進める関係者とバーレイザー担当が、正確に採用バーの判断基準を理解し、共通言語で議論できることだと感じてます。
例えば、「自社の雰囲気に合っていそう」という表現は曖昧で、それぞれ

人が異なるイメージを抱く可能性があります。曖昧な判断基準や共通の言語を持たない状態では、採用基準が不明確になり、判断が甘くなるリスクが高まるので注意が必要です。

繰り返しになりますが、関係者が採用バーの判断基準を正確に理解し、共通言語で議論を繰り返すこと。その積み重ねが、採用バーを精度高く機能向上していくうえで重要なポイントだと痛感しました。

社員のバリューの浸透度合いが、判断基準の理解を深める

僕たちの採用活動は、「チーム全体で進める」という特徴があります。そのため、各自がバーレイザーの役割を担う可能性があるのです。では全員がバーレイザーとなるためには何が必要なのか。

それは、メンバー全員が採用の判断基準であるバリューを深く理解し、共通認識であり、判断基準を揃えることが重要です。

「チームとして、共通認識が揃うようになったな」、と感じるエピソードであり、取り組みも紹介させていただければと。

僕たちは、以下のように5つのバリューを掲げており、この5つのバリューについて「理解を深める」「日常化する」活動を、日々の活動に取り組めたのは採用活動において判断基準を全員で揃えるうえで、非常に良かったなと感じてます。

定例の全社ミーティングで、互いの活動状況を共有し合い、バリューを具体的に体現している仲間に対して称賛のコメントを残す取り組みを継続して実施しています。

これは「VALUE KUDOS」といった取り組みで、バリューの体現者をお互いに称賛しあう取り組みです。(実はもともとは、数など制限なく記載可能だったのですが、あまりにも毎回数が多いので、厳選して「ひとり1つまで」と取り決めて運用しています。)

具体的な運用方法として、具体的に詳細したい「相手の名前」「どのバリューにはまるのか」「具体的なエピソード」の3つを記載するシンプルな運用方法です。

相手を称賛することは、文化として元々ありました。ただ、感覚的になっていた称賛の文化を、具体的にどのバリューの体現にフィットするのか当てはめていくことで、「チームサクセスとはこういう定義なのか」「信頼のサブスクリプションとはこういう行動なのか」と認識を揃えることができるのです。

また、バリューの存在を日常化するうえでもとても効果的で、みなさんの会社でも着手しやすいかと思いますので、非常にオススメです。

採用活動において自社で、判断基準になりうるものがあれば、その認識を揃え、共通言語に繋がってくるような取り組みを日々の業務に取り入れると良いかもしれません。

バーをあげることでの気づき

バーレイザー機能を取り入れて2つの気づきを得られました。
1つ目が、バーの基準を下げないという風土は、チーム全体で採用について当事者意識が生まれ、入社が決定した方に対して入社前から仲間意識を強く持てるようになったことです。

「早期にパフォーマンスを発揮いただけるよう、しっかりとサポートしなければ!」と部門を超えて、入社歓迎の食事会を提案するメンバーがいたり、自発的に入社後も個別に定期的に新しい仲間を気にかけ連絡したりするメンバーが自然と生まれています。

もう1点は、「バーレイザーという機能は、採用する側だけのものではない」ということです。バーレイザー機能を導入すると、一般的な選考フローよりも長くなります。

そのため、求職者体験として、ほか選考企業と比較したときに「選考活動が長い」という印象を与え、選考の途中辞退に繋がるのではないかと不安でした。

ただ、選考過程で「僕たちが採用にこだわる思い」を毎回丁寧に説明させていただいているのですが、共感してくれる方が多く選考の途中辞退は、ほぼ発生しなかったのです。

入社してくれたメンバーに選考体験を確認してみたところ、「むしろ、自分のキャリアを大切にしてくれているように感じ好印象だった」という感想は想定外でした。

採用バーを下げない取り組みは、「採用基準を厳しくもつ」という表層的なものではなく、判断基準を正しく持ち、長期的に一緒に働ける仲間を見つけることだと思います。

そして、候補者の方にとっても、判断基準が明確にあることは、数ある企業の中でキャリア選択をより確かなものにしていくための大切なヒントになるものだと学びました。

引き続き、採用基準を下げない採用活動にこだわり、僕たちはもちろん、候補者の方にとってもベストな決断になる採用活動を続けていきたいなと思います。

ちなみに、ALL STAR SAAS FUNDでは、支援先の制度構築や、経営やマネジメント層のスキルアップなど「組織とリーダーシップ」をテーマにサポートする新たな仲間を探しています。
(詳しくはぜひ、募集ページをご覧ください!)

もし、僕たちの活動やカルチャーに少しでも興味を持ってくれた方がいれば、ぜひカジュアルにお話できると嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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