自分で自分をコントロール出来ない事ほど怖いことはない。自分では理解しているはずなのに、人間とはそんなに良くできた生き物では無いが故一瞬の気の迷いから間違えを起こすことは珍しくない。自分の中の自分を制御できなければその先に待つものは、暴走であり、そして破滅である。

最近太った。明らかに太った。どう考えても太った。定量的に質量が増加した。自分の腹部に自分では無い何を吸収合併し新たなる大きな生命体としての体を成した。

今まではどれだけ暴飲暴食を犯しても決して咎められる事の無い人生であった。しかし今の私は食べ過ぎればその分身体が重くなっていく。これは決して身体が頑丈になっていくのではなく、むしろ脆くなっている事がドラゴンボールの世界とは違う部分だ。

そんなこんなで私の中で暴飲暴食が見事に七つの大罪の仲間入りを果たした。この事実を学生時代の私が耳にすれば驚くのであろう。それと同時に今の私は、学生時代の私の七つの大罪に「消しゴムの角を使う」が含まれている事に同じくらい驚いている。

そんな状況に焦りを感じ、意識的にサラダを食べようと考える短絡的単細胞動物な私は、食事の際にサラダ枠でパスタサラダを食べていて大丈夫なのだろうか？

パスタって明らかに炭水化物なのにそれを食うことで健康志向ポイントが貰えるのだろうか？ポイント付与ルールの詳細の部分に小さな米印で「※ただし炭水化物は対象外です」とか書いていないだろうか。

そもそもパスタなんて場所によっては主役を張れるくらいのポテンシャルの持ち主なのだから、君がこんなポジションにいていいのだろうか。まるで大谷翔平が相撲をしているみたいだ。絶対に他の場所でプレーした方が輝けるよ。それどころか、水原一平が相撲やっているみたいな「仲間だと思っていた実は敵だった」と言うような状況が、モバイルバッテリーでモバイルバッテリーを充電しているようでなんだかやるせない。

サラダチキンも、じゃがりこのサラダ味も、マクドナルドのフライポテトも全部サラダ枠として可決されるべきではない。そんな浅すぎてくるぶしも浸らないような主張が通るほど、今の私の脳内委員会は責任感の無い集まりではない。

そんな考えから今一度気を引き締めて、食前に野菜ジュースを一口飲んでから家系ラーメンを食べることを心がけようじゃないか。自分の中の「食べたい自分」を飼い慣らしてコイツを味方に付けようじゃないか。

ただひとつ自分の中にいるこの強大で強靭で絶大な怪物を完璧に制御できたとしても、シンジ君とエヴァンゲリオンの関係のように、はたまたナルトと九尾の関係のように、大切な人を守れるほどの力を手に入れられる訳ではない事がコイツのたちの悪い部分である。