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ショッピングクレジット③ キャッシュレスはすぐそこに

90年代の店舗側にとって、クレジットカードと肩を並べた重要な決済手段
「ショッピングクレジット」のお話

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ご近所さんだから、
3回払いでいいですよ

電気店などの顧客は、近所の人相手の商売。しかも商品の設置だけではなく、取扱い説明やアフターサービスで普段から自宅にも上がり込むのが当然の時代。商店街や地区会の集まりでも一緒になるような、ほんとに近所の人たちに商売をしていた。

当然客の懐事情も想像がつくし、地域のつながりがあるから、支払いが苦しくなってもそう簡単に逃げもしない。口約束や台帳管理だけでお店が顧客に直接月賦販売をして毎月取り立てたり、農家や漁師には現金が入る時期まで待つなどして、集金をしていたのだ。

三河屋さんが地域の住宅を回り、口約束で商品を勝手口に置いて行って、月末に集金して回るサザエさんの世界と同じように、地域内で商売が回っていた時代の話だ。

この時代にあって町の電器屋さんの「顧客管理」とは
顧客ごとのお宅事情を知り尽くし、次に買ってもらう商品の提案をする営業管理でもあり、
その販売代金を回収するとともに、あとどれくらい商品を売り込めるか、顧客の懐具合も把握するという債権管理でもあった。

ご近所さんじゃないけど、
分割払いできますか

それが社会の経済成長とともに徐々に隣町へと、その先へと営業範囲を広げ、商売が手広くなっていく。

支店展開やチェーン展開へと歩を進めるにともなって、顧客管理、なかでも債権管理が難しくなってきたところに入り込んできたのが信販会社だった。

それまでの店と客との流れに沿って、決まった購入商品ごとに単発での月賦取引を交わし、その与信部分と債権回収から先のお店にとっての面倒ごとを請け負うことで店に重宝され、ショッピングクレジットは店へのお役立ちビジネスとして展開されていった。

客側の感覚としても、町の電気屋さんとの関係性で分割払いしていたものが、支払う相手が変わっただけなのだ。

この経緯から、ショッピングクレジットは耐久消費財を手に入れるためのものであり、町の電気屋さんの延長上にある、生活に溶け込んだ決済手段として受け入れられていた。

クレジットカードが広がっていく過程で、「カード破産」という言葉が独り歩きした頃があり、(限度額の範囲内で)いくらでも使える「クレジットカードは怖いもの」だが、店との信頼関係で成り立つ「ショッピングクレジットは健全なもの」というイメージを持つ人は少なくなかった。

カー用品や家電など、高額品の接客の際に「月賦で払える?」と聞かれ、「今日から使えるクレジットカード作れますよ」といちおう提案すると、「借金漬けにする気か!?」と怒られることもままあった。

クレカとインフラの普及が
次の時代を生む

ショッピングクレジットの利用を重ねることは、客をクレジット利用に慣れさせ、クレジットカードへの抵抗を和らげ効果もあり、クレジットカードも徐々に広がりを見せる。

カード会社は、店と客との間を取り持つ「ショッピングクレジット」から、客と直接の関係もつ「クレジットカード」に軸足を移し、直接客を相手にできるようになった。

ショッピングクレジットはクレジットカードへの勧誘の1つのプラットホームとなり、申込書記入の際に「☑同時にカードを申し込む」にレ点を入れるだけでカードを作れるようになった。

当初は「カードは怖いから」と断っていた客も、ショッピングクレジットの利用を重ねる内に、「カード作れば申込書を毎回書かなくていいんだよね?」とレ点を入れてショッピングクレジットを卒業していった。

こうしてクレジットカードの普及がますます進むのと並行して、90年代後半にはインターネット回線とともにクレジットカード決済でのレジ通信機能も拡充していったことで、決済機能の可能性が広がった。

2000年代初頭、デビットカード(J-Debit)が生まれる。これは銀行のキャッシュカードをそのまま利用した決済で銀行口座から直接引き落とすもの。基本的には残高の範囲内での利用となるため、必須であるレジ通信機能の拡充に伴って生まれたものだ。

クレジットへの抵抗感が弱まる中、インターネット回線とレジ通信機能が広がった。

さあ、土壌は整った。
まもなく「キャッシュレス時代」が
次の幕を開ける

つづく


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