ヒヤシンスの枯れる頃
中学の合唱祭の時、「お前一生懸命歌いすぎじゃね」と言ってきた同級生が蒸発したと聞いた。
同じ歌を歌ったのに、怪獣には心があるのにお前には無かったなと思った。
私とその同級生は元より仲が良いという訳ではなく、私がテニス部であちらはサッカー部で、テニスコートとサッカー場が隣り合っていたので少し話すくらいの仲だった。
とある昼休み、テニスをしたい、テニスラケットを貸してくれと、同級生に乞われたのでしぶしぶ貸した。昼休みが終わり「テニスむずいわー初心者だわー」と笑顔で返してきた。
放課後の部活の時間になって、ラケットカバーをはずすと、ガットが3本切れていた。たしか張り替えたばかりのはず。
顧問と担任と私とで本人に問い詰めると、サッカーボールやらでかい石やらをテニスラケットで打っていたとのこと。
弁償してもらったはずだけど、その後の記憶はあまり残っていない。
玄関に置いたヒヤシンスの花が枯れてきた。鮮やかな青紫がしなびて濃い青色になっている。
そういや同級生の持ってたエナメルバッグ、こんな濃い青色だった。
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