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ヨーダの物語 81

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。そしてジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、修行が始まった!!
 一方、ギークは・・。


   *

 黒く光る大きな羽根をもつ船が宇宙空間を移動していた。星全体を雲が覆い、常にどこかで絶え間なく雷が光り豪雨の降る、銀河の地図にも載っていない惑星へそれは入っていった。その船にはギークが乗っていた。全身黒ずくめで、幾重もある襟に、肩の部分はサイドに突き出していた。
 青く美しい髪は長く、胸あたりまで下ろしていた。前髪のすき間から顔の左半分を覆う鉄仮面が見える。
 船は上空からドス黒い雲に入ると、稲妻でものすごい音と振動があり、そこを抜けると豪雨が待ち受けていた。海では荒波が崖に容赦なく打ちつけ、その崖の上に、巨大なドーム型の建物があった。
 ギークの乗った船が近づくと巨大で分厚い鉄の扉が開き、入っていった。扉が閉まると無数の電灯がつき、着陸後ギークは船から降りた。そこは、レイゴウの研究所兼、工場となっていた。
 ギークがガラス張りの通路を歩く。ガラスの向こうでは生産労働用ドロイドがひっきりなしに動き回り、戦闘用ドロイドを作っていた。ドームの端の方では、大きい工事用ドロイド数十体によって建物の拡張工事がおこなわれていた。
 ギークが歩いた先にはレイゴウの研究室があり、門衛のドロイド2体に挟まれて中に入ると、レイゴウが背中を丸めてモニターを見ながらキーボードをたたいていた。その横で執事ドロイドであるZO-443は、火花を散らしながら半導体の基盤のようなものを作成していた。
 「マスター、到着しました。アウトリムのR地方の星のほとんどは我々に従うとのことです。一部の星は従わない意志を示したので、近々ドロイド軍を送ると予告しておきました」
 「うむ、始めから殲滅しても良いが、いちおう慈悲の態度は示さないとな。
 ・・しかし、シューマ博士は長年の研究でとんでもないモノを考えていたな。あと数年で実現できそうな設計もあれば、やつのアイデアに科学技術が追いつくのが数百年はかかるモノまである。今はそれらの優先順位をつけるのに精一杯じゃ。この作業は、おぬしにもZO-443にも任せることはできん。また、この作業は銀河でも屈指の天才の脳内を見ているようで、至高の楽しみでもある」
 レイゴウが悦にひたってしゃべるのを、ギークは黙って聞いていた。
 「さて、ジェダイ評議会の動きはどうだろう?」
 レイゴウはモニターを見つめたまま言った。
 「おれが『交渉』しに行った星に三人のジェダイの斥候がきましたが、まとめて処分しておきました。評議会にはおれが殺したことは伝わっていると思います」
 ギークは、役人が上司に業務連絡をするように、淡々と応えた。
 「さすが我が弟子よ。これでいよいよ評議会も事態の深刻さに気づき、重い腰をあげて我々に総攻撃を仕掛けてくるやもしれんな」
 「その前にこちらから仕掛けるおつもりでしょうか?」
 「その通りじゃ。生産中のドロイド軍の数がそろい次第、実行に移すとしよう。おぬしにとっては、おぬしが全てのジェダイを倒し、最も強い者であることを証明することができる。そしてフォースの使い手はこの世でわしとおぬしだけになり、その時こそ、我々の手によって銀河の支配がなされるのじゃ」

 (ヨーダの物語 82につづく)