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ウクライナ戦争に関する私見 烏賀陽弘道

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2022年2月24日の開戦以来、ウクライナ戦争について分析した論考を書き続けいています。無料で読めます。価値があると思われたらカンパ・サポートしてください。
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#市街戦

ウクライナは欧米の軍事介入を諦め   ロシア経済の息切れを待つ      ロシアは世界経済を人質に瀬戸際戦略 ウクライナ戦争に関する私見6     2022年3月27日時点

巻頭写真:2017年、ロシア債権への投資を勧誘する楽天証券ウエブサイトより。 ゼレンスキーの国会演説(2022年3月23日)の文面を精査したついでに、その各国での演説の内容をインターネットで見て回った。各国議会にどういう言葉を話したのかが東京にいながら全部わかるのだから、これもネット時代の戦争の興味深いところである。 すると、あることに気がついた。イタリア、フランス(同22〜24日)など欧州各国はもちろん、アメリカ連邦議会でのリモート演説(2022年3月18日)でも「軍事

ゼレンスキー国会演説から学ぶ    「外交言語のリテラシー」       本当に重要なのは「何を言ったのか」より「何を言わなかったのか」       ウクライナ戦争に関する私見5    2022年3月25日

2022年3月23日、日本の国会に向けてウクライナのゼレンスキー大統領が12分間のオンライン演説をした。生中継である (巻頭写真はウクライナ政府大統領府公式ウエブサイトより)。 戦争のさなかに、交戦当事国の指導者が、外国の議会に直接(ネット経由だから厳密には『直接』ではないのだが)語りかけるという出来事そのものが、インターネットで世界が「ひとつの情報空間」に統合された新しい時代の戦争を象徴している。 (下)衆議院ウエブサイトで公開されている動画 前回本欄で書いたように、

スマホ+SNS時代の戦争ニュースを      理解するためのメディアリテラシー          国際世論を戦場に          「ハイブリッド・ウオー」が進んでいる      ウクライナ戦争に関する私見4       2022年3月23日

<前置き1>今回も戦争という緊急事態であることと、公共性が高い内容なので、無料で公開することにした。 <前置き2>今回もこれまでと同様に「だからといって、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を正当化する理由にはまったくならないが」という前提で書く。こんなことは特記するのもバカバカしいほど当たり前のことなのだが、現実にそういうバカな誤解がTwitter上に出てきたので、あらかじめ封じるために断っておく。 1963年生まれの私は、ソ連が崩壊したとき28歳だった。その時はすでに記者と

キエフ市街戦の犠牲者は数万人?       回避にはゼレンスキー撤退しかない      欧米は亡命を計画      ウクライナ戦争・私見メモ3        2022年3月9日現在      

巻頭写真: "Motherland" is a monumental sculpture in Kiev on the right bank of the Dnieper. Located on the territory of the Museum of the History of Ukraine in World War II. Photo: Aleksandr Mokshyn, October 18, 2021 ●ロシア軍に銃撃された英取材チーム ウクライナ戦争の取

ロシア軍は得意の「恐怖戦略」を実行     抵抗すればするほど殺戮されるウクライナゼレンスキーを国民はどこまで信頼する?2022年3月6日時点         ウクライナ戦争に関する私見メモ2

巻頭写真:"Ukrainian flag in the city of Kharkov." January 24, 2022, iStock. ●正規軍によるテロリズム ロシア軍はウクライナで「抵抗すればするほど国は破壊され、より多くの市民が死ぬ」という「恐怖戦略」を採用していると思う。相手に恐怖を与え「早く抵抗をやめた方が被害が少なくて済むよ」と誘う。 これは2回のチェチェン戦争(第一次:1994〜96年 第二次:1999〜2009年)でロシアがチェチェン人の抵抗を屈服

ウクライナ戦争の今後         キエフ包囲戦はあるのか?       2022年3月4日時点での私見メモ  Twitterへの投稿まとめ

2022年2月24日、ロシア軍が国境を越えて隣国ウクライナへの侵攻を開始した。以下の本文は、それから1週間が過ぎた同年3月2日〜3日にかけて、個人的な備忘録として書いたものだ。一部をTwitterで公開した。 僭越ながら、私はコロンビア大学の国際公共政策大学で修士課程を終了していて、国際安全保障論の心得が多少ある。昨年12月に「世界標準の戦争と平和」(悠人書院)という初心者向けの国際安全保障の本を復刊したばかりだ。自己紹介代わりにアマゾンの著者ページをリンクしておく。 こ