私がピラティスを止めた理由パート2(ちょっと小難しい内容ですが、一般の方々にも知ってもらいたいです)*追記2022年9月26日後日談あり

なぜか「私がピラティスを止めた理由」(リンク)だけ異様にアクセス数の多いこのブログですが、先日慢性腰痛持ちのクライアントから「ピラティスを始めてから腰痛が少なくなった。なぜだと思う?」と質問されてそれに答えたのをブログにしたいと思い、書いています。

まずは何の先入観、情報もなしに以下の動画を見て、その動きを真似できるかどうか想像してみてください。できれば音声を消して見てみてください。


おそらく健康な人であれば誰でもできる動き(エクササイズ)だと思います。リフォーマー(ベッド、台のようなもの)に寝て、足をバーに置き、膝を伸ばしたり曲げたりするだけです。

それが「ピラティスのリフォーマーエクササイズ」ということになると以下のような指示が加わります。

・足は拳大の大きさで開いてバーの上に置いて
 (他にも様々なポジションあり)
・腕は体の横に置き、リラックスしたまま
・目線は天井に向け、首肩はリラックスしたまま
・息を吐きながら(逆に吸いながらというメソッドもあり)
・体幹はニュートラル(もしくはインプリント)に保ち
・足の内側に意識を向けながら
・膝がスナップしないように(カクンとならないように)
・膝を伸ばしていき
・息を吸いながら(吐きながら)体幹はニュートラルのままで
 膝を曲げていく

これはあくまでも今、私が勝手に想像した指示で、もちろんインストラクターやクライアントの目的により、さらに多くの指示が加わったりします。


はたして動きをそこまで

複雑化する必要ってある???


多分、こう書いてもピラティスインストラクターの皆さんは「当たり前じゃボケ!正確にやらんと怪我するし、効果がないぞ!」って言うでしょう(笑)そんなあなたに私から一言

嘘つけ!(笑)



例えば、ボールを投げる時、わざわざ

「足の幅は◯◯センチひらいて、体は斜めに保持し、体幹を回旋しながら肘を曲げつつ腕を後方に引き、ボールを離す瞬間に体を前屈気味に持っていき・・・


って説明するのも疲れるわい!!!(笑)

ちなみにあるリサーチでは「体の内部に意識を向けるのと外側に意識を向けるのとでは、後者のほうがパフォーマンスは上がる」と言われています。具体的に言うと、ボールを的に向かって投げる時、的をめがけて投げる(意識を外側に向ける)のと、投げるフォームを意識して投げるのとでは前者のほうが的に当たりやすい、ということです。(注:プロスポーツやダンスではフォームは重要になります!)これについては本家ブログ「プロセスアプローチ」シリーズ「体幹トレーニング神話」を参照してみるとさらに詳しくわかります。)

前回の「私がピラティスを止めた理由」でも書きましたが、ピラティスをインストラクターがクライアントに勧める理由、一般の方々がピラティスをやってみようかと思っている理由、それは「ピラティスは骨格筋痛に効果があるから」だと思います。それについてはリサーチで「他のエクササイズメソッドとピラティスとでは効果に違いがない(同様に効果がある)」とはっきりと証明されています。(リンク1)(リンク2)(リンク3)


ちなみに肩こりや腰痛などの骨格筋痛解消のためのエクササイズ(リハビリ)を処方する時に重要な事の一つが「クライアントが簡単にでき、続けられる」です。一般にピラティスのスタジオで行われている複雑なやり方、やたら「◯◯はしないようにして◯◯しましょう」とかは控えるべきです。なのに

なんでわざわざ小難しい説明を加えながらピラティス独自のエクササイズをさせる(する)の???



で、最初の私のクライアントからの質問への答えとして、私は

「あなたは仕事のストレスが強く、いつも不眠気味。なのにいつもウェイトトレーニングとかランニングとか体にとって”きつい”ことをしたがる。ピラティスのような”やさしい”トレーニングのほうが今のあなたの体にはあっているからだ。それとピラティスは効くという思い込み(プラセボ)もある」

でした。またクライアントは続けて、

「でもピラティスのリフォーマーエクササイズをやっていると股関節に効いている感じ(負荷がかかっている感じ)がして、とても気持ちいいけど、それはなぜか?」と聞いてきました。

その答えは明白で、それはその部位(この場合股関節に)意識を向けているからで、上でも述べたように体の内部(一部)に意識を向けることで逆に動きの効率性(efficiency)が悪くなっている、とも考えられます。それでもそのクライアントが以前に行っていたようなハードコアなエクササイズでなく、ピラティスのようなやさしいエクササイズがその体に合っているのだと思います。

動きの効率性(efficiency)については、「私がピラティスを止めた理由パート1」の中でも紹介したロンドンのPolestarピラティスのインストラクター向けのワークショップで私も気付かされた事でもありました。

当時(2012年頃)の私もピラティスである特定の筋肉に負担をかけて、筋肉や関節を鍛えて・・・という考えに固執していたのですが、そのワークショップでPolestarの先生が「今日はみんなでefficiencyについて考えましょう」といい、数々のピラティスのエクササイズのefficientな動き(効率的な動き)について学びました。これが「私がピラティスを止めた理由パート1」でも書いた私がその当時学んでいたピラティスとPolestarのピラティスの大きな違いでした。


それはさておき、もしピラティスのエクササイズそのものがやってて楽しいというのであれば、それはそれでOKです。誰からも非難される理由はありませんが、一回のプライベートレッスンに日本だと5千円から1万円払うの?グループレッスンに1回数千円で週に数回通うの?


まあ、(値段が高くても)楽しければいいよね!(笑)



PS.上で紹介した私のクライアントですが、その後ピラティスにどっぷりはまってしまい、1日に2回(計2時間)クラスに行くほどで、しかもインストラクターに指示された以上のスプリングを付け(負荷を重くし)リフォーマーをガンガンやってしまって、腰痛が悪化しました。もちろん、インストラクターの指導が悪いというわけではありません。あくまでも個人で「もっと!もっと!」とやってしまいました。私が上で指摘した通りです。


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